美嘉 最終話
目を開けば、懐かしい天井が見える。
全身が酷く痛み、首を動かすだけでも一苦労する。
どうして私は学校の保健室で寝ているのだろう。
まだ、ハッキリとしない意識の中、手に感じる温もりに視線を向ければ、親友の沙耶が私の手を握りながら小さな寝息を立てていた。
ああ、そうか……私はみんなを守るために悪魔と戦ったんだった。
意識がハッキリするにつれて、熾烈だった戦いの記憶が鮮明になる。
戦いの最中はとにかくみんなを守らなきゃって、怯えている暇などないくらい必死だったけど、悪魔のことを思い返すと体が震え、涙がまた溢れ出してくる。
恐怖で握られていた手にも力が入ったことで寝ていた沙耶が私が起きたことに気付いてしまう。
「美嘉?……っ!?大丈夫だよ!もう大丈夫だから!」
泣きながら震える私を落ち着かせようと優しく、沙耶は抱きしめてくれた。
そして、紅、蒼、翠も痛む体ながら私に寄り添ってくる。
「大丈夫、このコミュニティは美嘉のおかげで守られたよ。みんなも無事だから」
私が一番知りたかったと同時に戦いの最後は記憶が曖昧で怖くて、聞けなかったことを沙耶は教えてくれた。
「……ホントに?」
「うん、今は陽輝さんと優斗さんが見張ってくれてる」
戦いの時は友人達を前にして、あんなにもカッコつけていたのに……。
沙耶のひと言で完全に緊張の糸が途切れた私は安心からか声を出して泣いた。
みんなにどれだけ情けないと思われようとこの涙はもう止められなかった。
やがて、泣き疲れた私は知らぬ間に寝ていた。
美嘉が再び眠りに入ったことで従魔達も消耗した体力を回復させる為、一緒に眠りへとつく。
視線の先で静かに眠っているのは自分と同じ未成年の女の子。
本来ならまだ親の保護下で暮らしているのが当たり前なはずなのに自分の親友は勇気を持って、コミュニティを多くの人を救った。
その事実が友人として、心配でもあったが誇らしくもあった。
「……美嘉、凄い頑張ったんだね。みんなもね」
沙耶の慈愛に満ちた声が保健室の中で微かに響く。
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防衛戦から2日後、今日はこのコミュニティを発つ日。
お兄ちゃん達やお父さんが来てくれたおかげでコミュニティの防壁は以前よりも強固で格好良くなり、沙耶と直子さんのおかげで友人達に死人は一人も出なかった。
私的にはこのコミュニティが一番思い入れがあるから留まりたいところだけど、困っているコミュニティは他にも沢山あるからそういう訳にはいかない。
コミュニティを襲ったモンスターの大攻勢はここだけじゃなかったのだから……。
お兄ちゃん達と共に次の支援先に出発する為、校門に向かえば、コミュニティのみんなが待ち構えていた。
「美嘉先輩!ありがとうございました!」
「後輩!ありがとな!後、陽輝も!」
「みんなが無事なのは美嘉先輩のおかげです!」
このコミュニティを救った英雄をみんなが笑顔で送り出す。
美嘉はその場に足を止めると笑顔で告げる。
「みんなを守れてよかった!」
その背中にはもう恐怖も迷いもなかった。
“母校を救った英雄”としてではなく、“大切な居場所を守りたかった一人の元生徒”として、友人達に見送られ歩き出した。
「美嘉先輩!ネコ耳姿が最高でした!付き合って下さい!」
「それはごめんなさい」
みんなが笑顔の中、2度目の告白も失敗した後輩のみが泣いていた。
これにて美嘉編は終わりです。
次は何を書くのかまだ決めていないので更新は未定です。




