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ダンジョンコアを手に入れたのでチートする  作者: くろのわーる
フェイズ2 救援編

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美嘉 後編その2



「紅!蒼!やるわよ!」


ニャオン!ニャオン!


「エクスプロージョン!!」

ニャー!(エクスプロージョン!)

ニャー!(ブリザード!)


 美嘉が使える魔法の中で最大範囲魔法が放たれた。

 エクスプロージョンはモンスターの濁流に大きな穴を空けるが後続のモンスター達によって、その穴も直ぐに埋まってしまう。


 紅や蒼が放つ魔法も同じようにモンスター達の流れを少しの間だけ止めることしか出来ない。


「もう!なんでこんなにもモンスターが来るのよ!エクスプロージョン!エクスプロージョン!エクスプローーージョン!!!」


 モンスターの大群に焦りを覚えた美嘉はエクスプロージョンを連発する。

 周囲の建物や民家はモンスターの流れを絞り、密度が上がったところを一網打尽にするのに有効な為、なるべく巻き込まないように魔法を放つ。


 モンスター達が美嘉や翠の茨の壁に接触してからまだ10分も経っていないが校門前は既に激闘の様相を呈している。


 このままでは自身の魔力が早々に尽きてしまうと考え始めた矢先、準備を整えたコミュニティの人々が駆け付ける。


「陣内先輩!時間稼ぎ感謝します!」


 防衛組を率いて来たのはまだ、あどけなさの残る青年。

 青年は力強い声で防壁の上にいる美嘉に謝辞を述べると次々と指示を出していく。


「魔法班と投擲班は防壁の上へ!土魔法班は防壁の補強へ!それ以外は投擲物の随時補充だ!急げ!」


 指示を受け、防壁に駆け上がってくる者達をよく見れば、中学時代に部活動や委員会、学校内で見知った顔が揃っていた。


「陣内先輩!加勢します!」

「陣内!先輩の凄いところ見せてやるよ!」

「美嘉先輩!私だって戦えるんですよ!」

「後輩!後は任せろ!」


「……みんな」


 激励の言葉に胸がジーンとする。はずだった。


「陣内先輩!今も好きです!付き合って下さい!」


「それはごめんなさい」


「ちっきしょー!!この流れならいけると思ったのに!」


 どさくさに紛れて、告白してきた後輩男子をバッサリと切り捨て、美嘉は窮地に現れた頼もしい後輩達や先輩達の姿を見て、気力が回復した気分だった。


 到着したばかりの仲間達は以前、美嘉達から支給されたスキルクリスタルでスキルを修得しており、頼もしい活躍を見せる。


 特に振られた後輩男子はここぞとばかりにアピールしているのか、誰よりも張り切っていた。


「私達も負けてられないわね!」

 

 遠距離攻撃主体の増援によって、モンスター達の勢いは緩やかになる。

 美嘉はこのチャンスを逃す訳にはいかないと茨の壁の強化に踏み切る。


「赤き茨の壁よ、生贄の血を持って、全てを拒む死棘と成せ!」


 美嘉の追加詠唱によって、茨の壁はモンスターの血を吸い、新たな力に変えて凶悪な棘を伸ばしていく。

 傷だらけになりながらも後少しで茨の壁を抜けられそうだったモンスター達は鋭くより強靭になった死の棘によって、その身体を串刺しにされて見る見るうちにミイラへと変貌する。


「「「・・・」」」


「美嘉先輩!流石です!」

「美嘉ちゃん!凄い!」

 

「ありがとう!みんな!」


 尊敬や羨望を抱く女性陣とは裏腹に男性陣は内心で戦慄し、震え上がっていた。

 特に告白した後輩は茨に捕まり、ミイラにされたモンスターを見て、恋心が吹き飛んでいた。

 以後、後輩君は美嘉に対して、礼儀正しく従順になったという。


 正門前はみんなの頑張りで緩やかだが停滞戦に持ち込めた。

 これは目の前にどんな障害があっても、人に向かって最短で襲い掛かって来るモンスターの特性も有利に働いていると言える。


 おかげで私は魔力の節約を考えて、みんなのフォローに周る余裕が出てきた。


「美嘉先輩!これより近接部隊が左右から挟撃を開始するみたいです!」


 魔法班と投擲班を指揮していた後輩君が進行状況を教えてくれる。

 それにしてもこの数のモンスターを相手にわざわざ外に出て、戦うのはデメリットが大きい気がするのだが……。

 困惑する私の表情を見て、後輩君が大丈夫ですから見ていて下さいと自信満々な笑顔を見せる。


「この正門前に広がる町並みには歴史や戦国時代好きな人達が考案した戦術陣が敷いてあるんです!」


「戦術陣?」


 聞き慣れない言葉に反芻するように聞き返してしまう。


「はい!戦術陣です!」


 後輩君の説明によると正門前に広がる町並みを通る道には意図的に瓦礫でモンスターが通れないように塞いだり、少数ずつのモンスターしか通れないように狭めた道路がいくつもあり、計算された迎撃ポイントが設けられているとのこと。


 また壁役や攻撃役を分担し、陣形を組むことで大群が相手でも少数での迎撃が安全に出来ると言う。

 歴史や戦いに疎い私にはよく分からないがきっと彼等なりに頑張ったのだろう。


「見て下さい!あそこです!」


 後輩君が指差す先には大盾と槍を携えた集団が統制の取れた動きで整列しながら歩を進めていく。


 彼等の先にあるのは左右をビルに挟まれ、大盾を4つも並べれば、道幅をほぼ塞いでしまう道路。

 そこに最前衛が大盾を地面に固定して壁を作り、その後ろに槍を構えた人達が並ぶ。


 大盾、槍、大盾、槍と列で3つ繰り返す集団が準備を整えると先頭の大盾使いが絶妙な『挑発』スキルで正門前にいる一部のモンスターだけを剥がして、自分達へと差し向ける。


 『挑発』スキルで引き寄せられたモンスター達は突き出された槍で串刺しになったり、大盾で受け止められて動きが止まったところで後方の槍で刺されて、トドメを刺されたりと見る見るうちに数を減らしていく。


 粗方、モンスターを片づけると隊列を素早く入れ替わる。その様は戦国時代に考案された鉄砲隊の三段撃ちを連想させた。


 近接部隊の戦いを見て、私は戦術陣を理解した。


 一糸乱れない動きは彼等の努力の賜物であり、この戦術は彼等の絶対に生き延びてやるという意思の現れなのだと。


「だから大盾や槍が欲しいって言ってたのね……」


「そうなんです!この戦法が出来るのは大盾や槍を用意してくれた美嘉先輩のおかげなんです!」


 大盾や槍はもともと株式会社MIKAMI製のものだ。


 お兄ちゃんの知り合いでもある御神さんや社員さん達が朝から晩まで汗水を流して、製作しているが現状ではまだまだ数が足りず、私達がこっそりとダンジョンコアに取り込みポイントで複製しているのだがこうして、役に立っているところを直に見ると感慨深いものがある。


 近接部隊の活躍もあり、正門前のモンスターは次々と数を減らし、後続のモンスター達の密度は確実に下がっていた。


 最初は絶望的だと思えた戦いに光明が見えてきたことに全員の気持ちにも余裕が出てくる。


「みんな!終わりが見えてきたわよ!この調子で戦いを乗り切りましょう!!」


「おおー!!」


 高い士気を維持したまま、コミュニティの戦いは後半戦へと突入していくのであった。



次回は水曜日の同じ時間です。


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