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ダンジョンコアを手に入れたのでチートする  作者: くろのわーる
フェイズ2 救援編

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美嘉 後編その1



 世界がフェイズ2に移行してからもう1年が経った。

 お兄ちゃんや優斗さんはもちろんの事、自衛隊に警察、消防や医療関係者など様々な有志の人々によって、世の中の混乱はピークを過ぎて、一先ずは沈静化したといえる。


 だがそれは急変した世界に適応出来なかった弱者達が淘汰された結果、自然の摂理によって訪れた一時の安定。


 休息も寝る間も惜しんで救助や支援をした者達にとっては残念で辛い結末となってしまったと言える。


 私達の中だと特に最前線で精力的に活動していた優斗さんが感じた無力感は相当だったようで協力要請が終わってからは無気力でぼーっとしていることが増えた。


 そんな優斗さんの近くには沙耶が付き添って、激励したり、慰めたりしているが心ここにあらずといった具合であまり芳しくないらしい。


 何とか元気になって欲しいけど、優斗さんには今、時間が必要だとお兄ちゃんが言っていたので私は陰ながら祈っておくことにする。

 頑張って優斗さん!


 それに私にはまだやらなければならない事がある。


 世の中の人達がモンスターに立ち向かう決意をして、日常のささやかな安定を手に入れたと安堵する暇もなく、世界はまた変容を見せ始めた。


 人々が落ちついたと思っていた日常は所詮、仮初めだったのだ。


 新たなる世界の変容。


 それは同時多発的に世界各地に新たなるダンジョンが発生した。


 発生したダンジョンの数は多くて、今この時も増え続けているのではと言われてる。


 確認した人がいないから正確なところは分からないけど、ダンジョン発生と時を同じくして、各地でのモンスター発生件数がもの凄く増加していると聞いているから私達は間違いなく関連があると思うんだよなぁ。


 やっと人々がまとまりかけて、安定期に入ったと思った矢先だったこともあって、各コミュニティは更なる防衛の強化を迫られ、蜂の巣をつついたように大騒ぎとなっているらしい。


 世間がそんな大騒ぎな中、私はコミュニティのひとつを訪れている。

 校門を抜けて、懐かしいグランドや桜並木に想いを馳せながら歩いていると校舎の前に代表者が待っていた。


「ようこそ、美嘉さん!モンスターが溢れて危ない中、お越し下さりありがとうございます!」


「いえ、こういう時にこそ協力する協定ですし、私も自分の母校や知り合いを守りたいと思うのは当然の気持ちですから」


 協定というのはお兄ちゃんが新たに始めた取り組みで地域の安定化を図った貢献活動だ。


 この活動を第一歩にゆくゆくはかつての平穏をもたらす探索者協会のような組織を創りたいと本人は言っていた。

 私もお兄ちゃんの考えに賛同して、支援を手伝っている。


 何故、ここなのかと言えば私とお兄ちゃんの母校である中学校を拠点とする集まりで私達の地元と言うだけあって、知り合いなどが多く避難していることもあって、交渉しやすかったからだ。


 挨拶してくれた人も中学校の校長先生で私が通っていた頃は全校集会でよく見た覚えがある。


「美嘉さんや陽輝君には助けられてばかりね。みんな本当に感謝しているのよ」


「そんな私達はただ自分が出来ることをしているだけなので……」


「だとしても素晴らしいことよ」


 あ〜、また話が長くなるのかと内心でため息をついていると校舎から助け舟が駆け寄ってくる。


「美嘉〜!」


 声を掛けてきたのは中学で同じクラスだった友達。


 友達が大声で呼び掛けてくれたおかげで私の存在に気付いた知り合いが次々と集まってきて、校長先生を遠くへと押しやってくれた。

 ナイス!マイフレンド!!


 押し出された校長先生は「美嘉さん、それではまた後ほど」と言っていたが今日はもうお腹がいっぱいだ。

 先生とのお話って、なんだか疲れない?私だけかな……。

 

 群がってきた友人達と近況について、話しながらアイテムボックスから補給物資を取り出して、傍に置いていくとこのコミュニティに避難している人達が率先して、今月分の補給物資を運んでくれる。


 その際、心の底から感謝の言葉を掛けてくれるので来て良かったし、また頑張って補給物資を届けようと思えてくる。


 補給物資も出し終わり、友人達と楽しく会話をしていると水を差すように警戒の声が上がった。


「モンスターだぁ!!数が多いぞ!!」


 穏やかな気持ちを遮るように正門の方から襲撃を知らせる叫びが響く。


「モンスターの数は………………全員防衛級!!繰り返す!全員防衛級だぁ!!全員急げぇ!!!」


 監視役から放たれた焦燥感に駆られた最大級の警報にコミュニティ内は上から下へと慌ただしくなる。

 全員防衛級とはこのコミュニティで取り決められた危険度を表す言い方であり、危険度最高レベルの警報を表す。


 私の周りにいた友人達も思いがけない最大級と予測されるモンスターの奇襲に戸惑いを隠せないでいた。


「みんなは早く、防衛の準備に取り掛かって!」


「美嘉はどうするの!?」


「私は……」


 慌ただしい校内を見渡すとまだ朝ということもあり、みんなの動きがぎこちない。

 こんな状況では本格的な防衛体勢を敷くには時間が掛かると判断し、相棒の従魔達に声を掛ける。


「紅!蒼!翠!防衛体勢が整うまで私達がモンスターを食い止めるわよ!!」


ニャオー!ニャオー!ニャオー!


 相棒達の可愛く心強い返事に勇気を貰い、私は友人達へ「任せて!」と言わんばかりのウインクを送る。

 すると「頑張って!美嘉!私達も頑張るから!無理しないで!」と健気な声援に見送られた。


 防衛戦というものは準備が要だ。

 迫りくる敵に対して、ある程度の準備と対策を練ってあるからこそ、防衛戦は成立する。


 だが今回は意表を突かれ、みんなが浮足立っている。

 このままでは成す術なく、コミュニティが窮地に立たされると考え、さっき来た道を駆け足で戻ると正門付近では既に戦闘が始まっていた。


 私は時間的余裕はないと判断すると責任者らしき人物に声を掛ける。


「加勢します!」


「助かる!」


 正門ではグレイウルフなどの動きが素早いモンスターに侵入を許してしまい、そちらに手を取られてか校門を完全に閉じられていなかった。


「悪いがこいつらを何とかしてくれ!俺達はその間に校門を閉じる!」


「わかったわ!こっちは任せて!」


 校門は朝の警備体勢の為、必要最低限の人数しかいなかったことが災いしていた。


 でも大丈夫!この美少女高校生で淑女の私が来たからにはもう一歩も校内にモンスターなんて侵入させないわ!


「紅!蒼!翠!やっつけちゃって!!」


ガオー!!!


 校内に侵入された数は少なく、この数なら相棒達だけで十分だと確信すると校門に沿って、土魔法で作られた防壁の上へと跳び乗る。


 上から校門の先を見渡すとおびただしい数のモンスター達が町並みを駆け抜けて、迫って来ているのが解った。


 全員防衛級と言うだけあって、今まで見たこともないモンスターの数に私は戦慄する。


「(このコミュニティにいる人間を総動員しても防ぎきれないかも!?)」


 そう思わせるくらいにモンスターの大群は異様な光景だった。


「門を閉めたぞ!配備の奴らはまだ来ないのか!」


 校門の内側での戦闘はあっという間に終わり、私の従魔達も防壁の上に上がってくるが下は何の準備も進んでいない。


「(全然時間が足らないじゃない!)」


 モンスターの大群は刻一刻と迫って来ているのだ。

 最早、躊躇している場合ではないと防衛用の魔法を行使する。


「近寄る者を遠ざける茨の森よ!我が願いに……あ〜もう!」


 時間が惜しくなった私は詠唱プライドを捨てて魔法を発動する。


 アスファルトを割り裂きながら茨が道路を塞ぎ、近くの防壁に蔦を絡ませていく。


「翠!学校を一周しながら手薄なところがあったら同じように樹木魔法で強化して!」


ニャオ!!


 美嘉に言われた翠は器用に防壁の上を走っていく。

 

「(みんなの準備が整うまでなんとしても守り抜かなきゃ!!)」


 大切な仲間を守ると決意した美嘉の戦いが始まった。



次回は金曜日の同じ時間に投稿します。


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さすがスキルによる付け焼き刃の淑女… 言葉遣いのメッキが剥がれましてよw
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