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ダンジョンコアを手に入れたのでチートする  作者: くろのわーる
フェイズ2 救援編

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67話



 株式会社MIKAMI。この中部地方を中心に探索者用の武器や防具を製造する中堅メーカー。


 会社としての規模は大きくないが魔導工学の分野において、独自の技術を生み出し、それを装備に転用することでこれまでとは違う性能の装備を造る会社として探索者の間では有名だ。


 また、陣内陽輝が怪我をする前にスポンサーとしてついていた企業である。


「それにしても陣内君、あの怪我から復帰できて良かったよ」


「その節は大変お世話になりました。なのに元気になっても、挨拶に伺わず申し訳ありません」


「ははは、いいよいいよ。君も大変だったろうし、我々もあんな事になったり、こんな状況になって大変だったからね。それに大した支援も出来なかったからね」


 どうにも2人の会話は要領を得ず、蚊帳の外感が半端ないので俺は陽輝にどういうことって目線を送る。

 すると陽輝は俺の目線に気付いたのか関係を教えてくれた。


「御神さんはちょっと前まで俺のスポンサーをしてくれていたんだ」


 ちょっと前というのは大怪我を負う前だ。


「俺が大怪我を負うことになった件でも俺にレベリングさせることを周囲に反対してくれたり、探索者生命が絶たれた後も俺や家族のことを心配して面倒見てくれるって言ってくれたんだ」


「(陽輝、それはかなりの不義理じゃね?)」と脇腹を小突いてやる。


「(しょうがないだろ!俺だってあの時はそんな心の余裕がなかったんだよ!)」と小突き返してくる。


「何はともあれ、またこうして会えたことは嬉しく思うよ。こんな状況じゃなければ、もっと良かったんだかね、ははは」


 それは本当にそう思う。


「快談しているところ悪いが予定もあるのでいいか」


「「はい」」

「すまない、巌田殿」


「では2人にはここにある物資を持てるだけ持ってもらい、その後すぐに出発してもらいたい」


 目の前の物資はコンテナに例えると20個分くらいあった。

 物資の内容は食糧から武器など多岐に渡る。


 俺達は自衛官の指示に従い、次々とアイテムボックスに入れていく。

 その様子を見ている人達は至って普通で驚く様子がなく、俺の予想と違った。


 これには訳がある。優斗が渡したアイテムボックスのスキルクリスタルはすでに選ばれた者に使用されており、この基地の自衛官は皆初見ではなく、もうアイテムボックスの存在を受け入れている者が多いことに関係する。

 それと巌田3等陸佐より、過剰に反応しないよう指示が出ていたのも大きい。


「それにしても凄い量の武器ですね。集めるのに苦労したんじゃないですか」


「ここにある武器は御神さんから無償で提供されたものだ」


「無償で!?」


 俺と巌田さんの会話を聞いていたのか御神さんも加わる。


「こんな時だからね。うちの社員もみんなが助けあって乗り越えなければならないと思ってるんだ」


 御神さんは人好きのする笑顔だが何処か影が差していた。恐らくはこれだけの量の武器を準備するのに相当な無理をしたのだろうと予想がついた。


「それでこんなことを君達にお願いするのは気が引けるんだがアイテムボックスに余裕があったら出先で金属類を拾ってきてくれないか、巌田殿これぐらいはいいだろ?」


 巌田さんは少し考えるが俺に判断を委ねる。


「優斗君、君の判断に任せるが無理をする必要はない。君達にはこうやって協力してもらっているだけで充分なくらいだからな」


「御神さん、材料が不足してるんですか」


「ああ、こんな状況だから在庫も尽きてしまってね。苦肉の策で工場の周りから回収出来る物は全て回収したんだがそれでもまだまだ足りないと思ってる。協力してくれるなら取引き会社に声を掛けて、何とか生産までは取り付けようとは思っている」


「わかりました。確約は出来ませんが余裕があれば、拾って来ます」


「いや〜、悪いね」


 話ながらもアイテムボックスにしまっていけば、5分程で終わった。

 それと同時に陽輝とは別の車両が用意されており、俺はその車両を見て目をキラキラさせていた。


 同乗者には来る時に一緒だった草薙さんと何故か俺に対して、あまり好意的ではない目つきが鋭い人の他に2人が乗り込む。


 車両は装甲車と呼ばれるやつだと思う。4人が座り、一人が上部ハッチから上半身を出して警戒する。

 これから物資を配るために向かうのに俺はワクワクが止まらなかった。

 だって、装甲車なんて普通は乗れないよ。


「優斗君、装甲車に乗るのがそんなに嬉しいの?」


 話し掛けてきたのは草薙さん。どうやらワクワクしているのが顔に出ていたようだ。


「ちっ!ガキが・・・」


 不意に言われたことで自身が浮かれていたことに気付かされ自重する。


「ナイフ・・・桐ヶ谷1等陸尉、巌田隊長に口の利き方に気をつけろって言われただろう」


「わかってるよ!」


 桐ヶ谷さんはそれだけ言うと上部ハッチから上半身を出して警戒にあたる。


「はあ、気を悪くしないで優斗君。彼、君に手も足も出なかったことを根に持ってるんだ」


「持ってねぇよ!さっさと車を出せ!」


「ん?」

 桐ヶ谷さんとは初対面だと思うのだが草薙さんは何を言ってるんだろうか…。

 桐ヶ谷さんの指示で装甲車は走り出す。


「あ〜、協力要請しに行った時、巌田隊長が君達を監視してたって言ってたの覚えてる?」


「はい、覚えていますよ」


「その監視を担当してたのが巌田隊長と僕と桐ヶ谷1等陸尉とあと2人いるんだ」


「えっ!?そうだったんですか」


「草薙!余計なこと言うな!」


「はいはい、桐ヶ谷1等陸尉はちゃんと警戒して下さいね。で彼は君を尾行したんだけど、君の気配察知に負けて上手く尾行出来なかったのさ」


「ちっ!」


 気配察知を身につけてからは慣れる為にも常に使うことを意識してたが尾行されているなんて気付かなかったな…。


 装甲車が走り出して5分もしないうちに桐ヶ谷さんから報告が入る。


「前方にモンスターが複数だ」


 車両に緊張は走らなかった。もうみんな慣れているのだ。


「草薙さん、どうします?俺がやりましょうか」


「君は大事な協力者なのにいいのかい?」


 その声には俺を心配する色は一切含まれていなかった。




次回の投稿は12月9日です。そして、次話にてご報告があります。

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