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ダンジョンコアを手に入れたのでチートする  作者: くろのわーる
フェイズ2 救援編

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64話

活動報告で月2で投稿って言ったけど、あれは嘘だ。何故ならこれが今月3話目だからね。



 ウチの自宅で今後どうするか話し合いをしていると家のチャイムがなる。


 略奪や力を持った探索者によるクランの台頭によって、世間が酷いことになっている今、わざわざチャイムを鳴らして訪ねてくる者とは何者か…。


 リビングにいた全員に緊張が走る。


 誰も動こうとしない中、ウチの家なので俺が確認の為にモニターを覗き込むとそこには軍服を着た厳つい中年男性が見えた。


 俺は軍服を見て、状況が呑み込めず動きを止める。

 そんな俺を不審に思ったのか陽輝もモニターを覗き込んでくる。


「知り合い?」


「自衛隊に知り合いはいないはず・・・」


 昨日まで俺はダンジョンコアの新機能、吸収させた物を登録出来る機能を使い、色々な物を充実させる為に不法侵入を繰り返していた。

 その記憶が蘇えり、まさかバレて捕まえに来たのかと勘繰ってしまう。


「俺が出る。優斗は隠れてろ」


 陽輝も同じ結論に辿り着いたのか、俺の代わりにモニターのスイッチを押す。


「はい、うちは変な宗教の勧誘はお断りしています」


 ここでそれを言える陽輝には脱帽だ。モニターに映る厳つい中年男性は困り顔で渋々といった感じで口を開く。


「すみません。宗教の勧誘ではありません。私は自衛隊所属の巌田いわた強兵きょうへい3等陸佐であります」


 何を隠そうこの男は元黒犬部隊の隊長。その人である。監視任務を放棄した処罰で黒犬部隊は解散し、隊長は降格処分を受けたが世間の非常事態を受けて、自衛隊に復隊(編入)されたのだ。


「本日は御影優斗さんと陣内陽輝さんに協力の要請をしに参りました」


 なぜ自衛隊が俺達に協力を要請しに来たのか意味がわからない。

 これが陽輝だけなら分からなくもない。なんせ陽輝は雷神として有名だから…。だが俺は無名の探索者。なのに俺と陽輝にとハッキリ言った。

 まさかダンジョンコアの存在がバレたのか…嫌な汗が流れる。


「怪しいと思われるかもしれませんがまずはお話しだけでもさせてもらえないでしょうか」


 モニター越しに映る巌田3等陸佐からは誠意が感じられた。


 家にいる全員がどうするのか優斗を見つめる。


「わかりました。『ピッ』けど茶菓子は出ませんよ」


「途中で切れたから茶菓子のくだりは聞こえなかっただろうな」


 陽輝の冷静なツッコミが痛い。玄関モニターのくせに俺をスベらせるなんて・・・。



 巌田3等陸佐をリビングに招き、ソファーを勧める。向かいにはなぜか陽輝の妹、美嘉ちゃんがどっしりと構えて座っていた。


「美嘉、こっちに来なさい」


 父親に言われて、不満ながらに移動する。そんな妹を見て、陽輝が溜息を吐いていた。


 俺達がソファーに座るまで立って待っていた巌田3等陸佐、長いので巌田3でいく。

 巌田3はソファーに腰掛けると俺達の顔を見渡す。

 その後ろには笑顔を張り付けた部下と思われる人が後ろで手を組んで立っている。


「まずは今回の協力要請に至った経緯を説明させてもらいます」


 そう言うと頭を軽くさげるので俺達もつられて頭を下げる。


「お二人やここに居られる皆様も知っているとは思いますがセカンドフェイズ以降、日本ではモンスターが町中に出現するようになりました」


 俺達は小さく頷く。


「これにより現在、我が国は未曾有の危機に瀕しております。これに対処する為、自衛隊や警察、また有志の民間団体が対応に当たっておりますが全く人手が足りておりません」


「「・・・」」


「この窮地を打開するべく、政府は実力のある探索者に協力を要請することを決めました」


 ここで直子さんがお茶を出してくれた。巌田3はありがとうございますと頭を下げて、続きを話し始める。


「失礼ながらお二人のことを我々は監視しておりました」


「「っ!?」」


 驚いたのは俺と陽輝だけではない。


「どうして俺達を監視していたんですか」


 口火を切ったのは陽輝だ。その目には場合によっては許さないといわんばかりに剣呑さを帯びていた。

 陽輝の意思を感じ取ったのか後ろに立つ笑顔の男の口が僅かに引き上がる。

 だが巌田3は動じない。


「陣内陽輝さん、あなたは数ヶ月前に探索者生命を断つ程の大怪我を負いましたよね」


 そこで俺達は大体を理解する。


「・・・」「・・・」


 沈黙を肯定と受け取ったのか巌田3は続ける。


「この世界にダンジョンが出来てから政府は秘密裏に力を持つ探索者を監視、管理する組織を作りました」


「それを俺達に言ってもいいのか」


 まだ、陽輝のターンなので俺は見守ることにする。


「セカンドフェイズ以降、監視対象者の多くに同じような協力要請を行っております。ただし、危険な思想の持ち主や素行に問題のある者には声を掛けていませんが・・・」


「・・・」


「陽輝さん、あなたは雷魔法を習得し、最速に近いペースでランキングを駆け上がった。そのことで監視対象になりました。だが大怪我を負い一度は我々もあなたの探索者生命は終わったと判断し、監視対象から外しました。しかし、信じられない報告があがってきた」


 あ〜、これは確実に俺がやらかしたやつだなと思いながら顔には出さないように努める。


「現代の医学では治せないはずの完璧な手足の再生。それをあなたは成した。正確にいうならば、御影優斗さんあなたがそれをやったと我々は推測している」


 陽輝は苦虫を噛み潰したような顔をし、俺の顔は引き攣っていた。と思う。


「勘違いしないで頂きたいのは我々はあなた達が成した回復の方法を教えろと言いに来たのではないと言うことです。我々はあなた達を監視する中でお二人が隠している力を知ったから純粋に協力して欲しいと頼みに来たのです」


 俺達が隠している力、それはダンジョンコアの力。


ゴクリ


 ダンジョンコアの力は個人の手には余る代物だという認識はあった。あったはずだ…。

 最初の内は使う時にも細心の注意を払っていたはずだったが…その便利でチートな力に溺れて注意を怠っていたのかもしれない。安易に使い過ぎた。


 どれだけ悔やんでも後悔後に立たず。ついにダンジョンコアの存在を公開する時が来たのかもしれない・・・。


「あなた達が持つ戦闘能力とアイテムボックスの力。それを我々に貸して欲しい。どうか検討してもらえないだろうか」


 そう言うと巌田3と笑顔さんは頭を深く下げ続ける。

 俺と陽輝は予想とは違う協力要請にズルっとソファーの上で転けたのだった。



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