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ダンジョンコアを手に入れたのでチートする  作者: くろのわーる
フェイズ2

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61話

 続きが読みたいと言ってくださった方々、ありがとうございます。

 ぬか喜びさせることになるかもしれませんが極力そうならないように頑張ろうと思いますので気長にそう気長に待っていてください。



 まだ、陽も昇りきらない薄闇の空。

 ダンジョンが近くに存在する街はどこも人の居住を心理的に遠ざけ、今では静閉な朝を迎えさせる。


 そんな街並みを見渡せるマンションから陣内宅を監視し始めてから1ヶ月が経つが未だに彼らの監視にはなんの変化も獲られていなかった。


 監視から1週間、一向に姿を現さない陣内陽輝に当初、彼らは病み上がりの為に室内で療養していると考えていたのだが洗濯物が少ないことに気付き、家にいないことを悟った。

 それでも監視の目を緩めることなく、交代で行いながらもそれぞれが情報収集に重きを置くように活動し始めた。


 そこで陽輝は学生ということでまずは学校に探りを入れてみたが現在は休学届けが出されており、やはり本人の所在を確認することは出来なかった。


 同級生や道行く学生に聞き込みをしても、返ってくるのは皆が彼の冒険者としての実力に恐れおののき距離を取っていたことばかり。

 また、学校の方も真面目に通っていなかったようでこれといった情報は何も得られなかった。


 では彼は何処にいるのか…。


 血眼になり、捜索する範囲を拡げても陽輝が病院を退院してからの足取りは途絶えて、近況の目撃情報は全く得られない始末。

 焦りを感じ始めた黒犬部隊は監視対象の情報を再度洗い直すべく、本部により詳しい情報の提供を要請した。


「まず、これまでの情報の確認を行う」


 全員が集まる一室に普段よりも厳しい声が響き渡る。

 それもそのはず、探索者としてそこそこ実力があるとはいえ、学生のひとりを監視するなど、彼等にとっては子供のお使いのような簡単な任務のはずだったのだ。


 それが蓋を開けてみれば、大の大人が雁首揃えて監視どころか、監視対象を確認することすら出来ていないのだ。

 これはプロとしての矜持が酷く傷つけられていた。


 しかし、彼等が無能というよりは陽輝自身が周りと積極的に交流していなかったのが大きな要因ではあるが彼等にはそんなことは関係なかった。


「陣内陽輝が退院してからダンジョンに潜ったという記録ログは本部のデータベースにはなかった」


 現在、探索者達はダンジョンに潜る際に探索者カードを専用の機械に通す必要があり、探索者達の入出を国の機関が把握出来るようになっていた。


 これにより、陽輝がダンジョンに長く潜っているという可能性は少なくとも彼等の中でなくなった。


「つまり、陣内陽輝はダンジョンの中以外にいるはずだ」


 そして、本日送られてきた資料を許に始めから精査していくうちにある人物が浮かび上がっていった。


「陣内陽輝の足取りは退院してからというもの掴めておらず、今ある情報は怪我を負う前と怪我が治り、退院するまでの期間しかない。そして、怪我が治ったと思われる直前に面会に来た青年がいるようだ」


 隊長のひと言に全員が手を止めて、視線を向ける。


 彼等はこれまでに聞き込み等の調査を繰り返し、陽輝の交流関係の少なさを知っていた為、家族以外では御影優斗は一部(大地の旅団など、怪我を負った際に救助に当たった者達やスポンサー関係)を除けば、初めて親しいと思われる人物であった。


「この病院の面会記録を見る限り、面会に来たのは対象の父と妹、契約していた企業の担当者。そして、御影優斗という探索者の四人のみだ」


 隊長の言葉に皆、より一層聞き入る。


「俺の直感だがどうもこいつが臭いと思う」


 ここまでの聞き込み調査でも上がることのなかった親しい間柄と思われる僅かな手掛かり。


 隊長の言葉に部屋の空気は鋭くなる。


 全員が隊長の直感を信じていることもあり、無駄口を叩く奴はおらず、オタクが操作するパソコンのキーボードの音だけが室内に響く。


 カタカタとキーボードを打つ音が少し続き、そして音が止むと5人の視線は隊長からオタクに集まっていた。


 その視線にも全く気にしていないオタクはゆっくりとパソコンの画面を皆の方へ向けて話し出す。


「御影優斗、19歳。約2年前に探索者登録を行い、現在の探索者ランクはE。順位は100462位」


「まさに典型的なパッとしない探索者だな。陣内との接点はなんだ?同じ学校の先輩か?」


 不愉快そうに酔っ払いが聞く。この監視任務が始まって以来、まともな成果がなかったことで禁酒させられていた。その鬱憤が溜まっているのだ。


「そんなことより直接、そいつのところに行って締め上げればいいんじゃねか?」


 荒っぽい発言をするのはナイフ使い。ナイフ使いも進展のないこの監視任務に退屈し、イライラしていた。


「お前達、少し黙ってろ。オタクそいつの住所は解るか?」

「「・・・」」



 隊長の言葉には有無を言わせない威が込められており、流石の2人も黙るしかなかった。

 隊長の指示を受けて、オタクはキーボードに指を走らせる。


「となり町で車ならここから5分といったところ」


 視線をパソコンから外すことなく説明する。


「2年前に両親を亡くして、今はその両親が残した家で1人暮らし」


 隊長はオタクの説明を聞いて、顎に手を当てながら思案する。


「(この距離なら友人の可能性が高いか…1人暮らしなら陣内陽輝も気兼ねなく世話になれるか)」


 思案も大事だが隊長にはそれ以上に懸念していることがあった。

 それは酔っ払いとナイフ使いについてだ。さっきの発言から2人が不満を抱えているのは明白だった。

 そろそろ空気を抜いてやらねば、対象者に対して何を仕出かすか解らない。勿論、隊長である自分が命令すれば、2人は言う事を聞くだろうが枷が外れた時に止まれるか…。


「これから2班に別れて監視を行う」


 新たなる指示に隊員達の表情はそれぞれだ。


「第一班は俺と酔っ払いとオタクでここの監視を続行する」


「はぁん、マジかよ!?」


「私語を慎め、酔っ払い」


 酔っ払いの文句に強い視線を送るが酔っ払いは気にも掛けない。内心で軽い溜息をつきながら次の命令を言い渡す。


「第二班はナイフ使いと笑顔で御影優斗の監視をしろ」


「チッ!」


 こちらも舌打ちし、悪態をつく。


「恐らく監視対象は御影優斗の家にいる。お前達は極力接触を避け、発見次第報告しろ。以上だ」


 監視任務を開始してから約1ヶ月、やっと陣内陽輝に近付く足掛かりを掴んだ彼等だが世界は思いもよらない事態に移行する。



 皆様、お久しぶりです。

 さて、気付けば更新が止まって6年。

 プロットや設定集のデータが消えたり、感想で筆を折られたりと書く気力が失せていましたがチアーズプログラムという素晴らしいものを運営さんが始めたのでちょっと頑張ってみようかなと思い立ちました。

 しかし、残念なことに次話は今のところ未定です。というのも実はこの『ダンジョンコアを手に入れたのでチートする』の50年後を舞台にした物語を以前よりゆっく〜り執筆しており、近日中にでも投下しようと思っております。

 読むとあれっ?違わね?と感じるところ(伏線があるので)や『ダンコアチートする』の先の展開が少し解るネタバレなどありますが作者は気にしていません。

 気になる方は読んであげてください。ネタバレとかはちょっとって方は『ダンコアチートする』が完結する(可能性はゼロではない)まで待つか、読むのを我慢してください。

 読むも読まないも個人の自由ですので…。

 長くなりましたが今後ともよろしくお願いします。

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