第57話
正門で繰り広げられていた戦闘を見届けた後、俺は『魔除け石』を設置する為に静かにその場を離れた。
今回、持ってきた『魔除け石』は全部で20個、その内の半分、10個は俺と陽輝以外のメンバーが汗を流し、ハァハァ言いながら貯めたDPから交換した汗と汗の結晶だ。
学校という大きな敷地に対して、『魔除け石』がどれだけあれば大丈夫なのかわからなかったようで20個程、持たされた。
俺は学校の外周を回るように目測で等間隔になるように12個設置していく。
残りの8個は校舎や体育館の回りに気付かれないように置いてくる。
設置も終わり、目的も果たしたので学校を後にしようと思うがこの避難所にはいったい何人の人達が眠れぬ夜を過ごしているのかと思うと後ろ髪を引かれる想いだ。
それを思えば、自分はどれだけ幸運なのか信じぬ神に感謝しつつ、力強く次の目的へと踏み出す。
現在の時刻は間もなく深夜になろうという時間だ。
スーパーにたどり着くや薬局と同じように魔法を使い、店内へと簡単に侵入を成功させる。
店内の入口でカゴを手に取り、カートに乗せて押しはじめる。
そこでハッと気付く!
そう、今日は買い物に来たのではない。窃盗・・・じゃなくて、しらべるをしに来たのだ。
某有名RPGのコマンド風に言ってみた。
俺は入り口から続く、野菜コーナーにある様々な野菜を1つずつ、コマンドで『しらべる』を行い、もといアイテムボックスに収納していく。
1つずつ収納していては時間が掛かるが今後の社会状況を思うに生きる為にこのスーパーへと補給しにくる者もいるだろうと鑑みて、出来る限り残して置いてあげる。そう考えると薬局はすまなかったと思う。
根気よく作業を続けること数時間、終わったのはは午前2時を過ぎていた。
本日のミッションを済ませて、避難場所になっている学校へもう一度寄り、異常がないか確認してから帰路へとついた。
家に着き、静かに扉を開けて中に入るとリビングにはまだ灯りが付いていた。
ちなみにだが外に光が漏れないように不格好ではあるが隙間を覆うように遮光カーテンが画ビョウで止めてある。
俺がリビングに足を入れると同時に陽輝から労いの言葉がかけられた。
「お務め、ご苦労様です」
「なんかその言い方、引っ掛かるんだが起きてのか」
「優斗にだけ頑張らせるのも悪いからな。みんなも起きて待ってるとは言ってたんだがサイドステップのやり過ぎで疲れて寝てるぞ」
「まあ、サイドステップ初日では疲れるだろうな」
それにしても相手が男だろうが俺の為に待っていてくれる人がいるというのは嬉しいものだ。
恥ずかしいので間違っても陽輝には言わないがな。
それと俺は男好きではないと言っておく。
陽輝といつものやり取りをしていると、そこそこ張り詰めていた気持ちが落ち着くのがわかり、我が家に帰ってきたと実感する。
陽輝の対面のソファーに腰を下ろすと促されることなく、俺から話し始めた。
先に薬局、スーパーと滞りなく商品を回収出来たことを話してから、最後に実際に見てきた避難所の様子を簡単に教えると陽輝は考えるように黙りこんでしまった。
陽輝自身、俺同様に思うところがあるのだろう。
そのまま、特に会話が弾むこともなかったので二人だけの報告会はお開きとなった。
◇
翌朝、朝というには少し遅い時間ではあったが沙耶ちゃんに起こされて、また今日が始まる。
それにしても美少女に起こされる朝のなんと素晴らしいことか。
リビングでは既に親父さんと美嘉ちゃんがサイドステップを踏んでいたので「ちょっと、失礼」と言い、脇をすり抜けて入室。
みんなは既に朝食を済ませたようで直子さんが温めなおしてくれた朝食を摂る。
朝食を摂りながら、サイドステップを踏む二人を見て、朝から精が出るなと思っているとどうやら昨日の報告を陽輝がみんなに伝えてくれていたようで避難所のことを聞いて、少しでも力になればと頑張っているらしい。
朝食が終わると俺は昨日、確保した物をアイテムボックスから取り出して、ダンジョンコアに次々と登録していく。
そんな地味な作業をしていた俺に陽輝から声が掛けられた。
「優斗っ!これを見てくれ!」
陽輝はサイドステップの順番待ちの時間にネットで探索者サイトを見ていた。
俺は作業を中断して、陽輝がいうページを見ていく。
そこは探索者達が情報を交換する板だった。
俺はそこに書き込まれた内容を読んでいく。
そこにはこう書かれていた。
『探索者カードの新機能を発見!』
これまでに国が散々調べ尽くしたはずの探索者カードから新機能が発覚したという。
そして、その新機能とは『パーティー編成機能』とのことだ。
そこでダンジョンコアにも新機能である登録が追加されたことを思うと、『セカンドフェイズ』が関係しているのではないかと直感的に感じた。
そんな俺の考察は他所に陽輝がまくし立てるようにスレッドの続きを読むように言うので読んでいく。
どうやら既に検証した強者達がいるようでそこには効果が書かれていた。
『探索者カード1枚につき、最大で8人までパーティーが組める』
『パーティーを組むとステータスにパーティー名が表示される』
『戦闘終了後、得た経験値はパーティーで均等に割り振られる。効果範囲は100m以内』
判明している効果はこれだけだ。しかし、この効果は大きい。
なぜなら、経験値が割り振られるなら、パーティーさえ組んでしまえば、パワーレベリングが可能になるからだ。
この書き込みを読んだ俺達は早速、パーティーリーダーを陽輝にして、6人でパーティーを組んでみる。
パーティーに入ってくれと言葉で申請し、相手が了承すれば完了らしい。
「なんか味気ないな」
俺も同意見である。
「そういえば、パーティーを組むとステータスに表示されるって書いてあったな」
俺はおもむろにステータスボードを表示する。
レベル24 御影優斗
パーティー:no name
スキル
・索敵Lv:10
・危険察知Lv:10
・気配遮断Lv:10
・棍棒術Lv:10
・剣術Lv:10
・体術Lv:10
・身体強化Lv:10
・カウンターLv:10
・威圧Lv:10
・魔法剣Lv:10
・重力魔法Lv:10
・影魔法Lv:10
・闇魔法Lv:10
・超回復Lv:10
・サイドステップLv:10
エクストラスキル
・地図
・アイテムボックス
・鑑定
確かにパーティーが追加されていた。
「確かにステータスにパーティー項目が追加されてるな」
みんなへ声を投げ掛けると皆、同様にステータスを見ていたようで反応はイマイチだった。
その後、パーティー名が『no name』なことに反応した、陽輝と美嘉ちゃんの間でパーティー名を争い、激しい口論が勃発。
案の定、俺が間に入ることになったが抜群な采配を発揮することなる。
その采配とは二人が提案するパーティー名を混ぜるというものだ。
陽輝が提案するパーティー名は『光の翼』。
対して美嘉ちゃんは『もふもふスター』。
なのでパーティー名は『光のもふもふ』となった。
翼の部分はどうなったかというと邪魔だったので俺が引き千切って捨ててやりました。
スターも同様に邪魔だったので叩き落としてやりましたよ。
その時の二人の顔といったら、とても良い顔をしてましたよ。勿論、俺から見てですけどね。
パーティー名も決まり、とぼとぼとサイドステップに戻る美嘉ちゃんを横目に俺も商品登録へと戻る。
それにしても、美嘉ちゃんのサイドステップにはさっきまでの勢いがない。いったい彼女に何があったのだろう。
非常に気になる。ぐっふふ。今の俺、凄く悪い顔をしていそうだ。
◇◇◇
『セカンドフェイズ』に移行してから、1週間が経った頃。
俺のミッションであった物品収集も完了している。
最終的に回ったお店は薬局、スーパー、ホームセンター、デパート、電気屋、靴屋、本屋、CDショップ、車屋等、店という店を荒らし、日常品から娯楽品まで節操なく、集めたと言っても過言ではないと思う。
そして、社会の状況もかなり変化してきている。
一向に進まぬ政府の支援、対策に追い込まれた者達が生きる為、ついに略奪し始めた。
一度点いた火はみるみる燃え広がり、またたく間に全国を駆け巡った。
家や店は荒らされ、物資を巡り争いが起き、犯罪も横行し、街にはモンスターと略奪者達が徘徊する危険な様相を呈し始めていた。
このままいけば、街は荒廃の一途を辿りそうだ。
しかし、それと同時に『クラン』を名乗る集団が各地で活発に活動し始めている。
元々、ゲーム等を参考に探索者達が作ったダンジョン攻略集団であったのだが今では生きる為、力を合わせて生産を行い、時には積極的にモンスターを狩る集団になっている。
そして、我らが『光のもふもふ』パーティーはといえば、相変わらずサイドステップを踏んでいるのであった。
お読み頂き、ありがとうございました。
次話ですが現在、執筆中につきまして少々・・・そこそこお時間を頂ければと思っております。
すみませんm(__)m




