第46話
家の中へ通され、陽輝の後についてリビングに入るとそこには陽輝の父親と思われる男性がひとりに妹とその友達だろうか女の子が二人、一斉に俺へと視線を向けてきた。
俺は軽く会釈すると陽輝に勧められてソファーへと腰を落とす。
「とりあえず、みんな優斗とは初対面だから簡単に紹介するよ」
この中で全員を知っている陽輝がそれぞれを紹介し始めた。
「まず、そこに座ってるのが俺の父親でこっちのが妹でその隣が妹の友達の沙耶ちゃんだ」
紹介がちょっと簡単すぎやしませんかね。陽輝よ。
「ちょっと、お兄ちゃん流石に紹介が雑すぎるよ」
みんなが思っていた事を妹ちゃんが代弁してくれる。
陽輝は悪い悪いと言って改めてそれぞれで自己紹介が始まった。陽輝には任せてられないからね。
「初めまして優斗君。私が陽輝の父親で陣内達也だ。いつも陽輝がお世話になっているようで迷惑かけていたらすまない。それと陽輝が大怪我をした節は大変お世話になったようで感謝しているよ」
陽輝の父親は会社を経営しているだけあり、貫禄のある人で俺のことも陽輝から聞いていたみたいだ。
「次は私かな。初めまして陣内美嘉です。歳は16歳で好きな物は甘い物、嫌いな物は虫です」
これぞ自己紹介といった感じだ。
そんな美嘉ちゃんはショートカットの似合う活発っぽいスポーツ系美少女といった感じで目がくりっとしていて陽輝と目が似ている。こちらも陽輝の怪我のことについてお礼を言われた。
次は美嘉ちゃんの友達の番だ。
「は、初めまして、吉田沙耶です。よろしくお願いします」
見た目はセミロングの黒髪に少しタレ目な感じが可愛くおっとり系美少女といった具合だ。
なんでも美嘉ちゃんと共に探索者登録に行き、異常事態に巻き込まれて今に至るそうだ。
そもそも片親で苦労している母親を助けたいと美嘉ちゃんに相談したところ、探索者になろうと提案されたらしい。
陽輝の影響なんだろうなと思いつつ。
最後に俺が自己紹介する。
「初めまして、御影優斗です。陽輝とはコンビを組ませてもらってます。よろしくお願いします」
俺の自己紹介が終わると陽輝が話し出した。
「自己紹介も終わったし、優斗が来てくれてほんと助かるぜ」
「そう言ってもらえると俺も来た甲斐があったよ。それでどんな問題が出てるんだ?」
今来たばかりで状況を理解していない俺に陽輝達から現状と事情を簡単に説明してもらう。
「つまり、陽輝に代わって沙耶ちゃんを家もしくは母親の元まで送り届ければ良いんだな」
「そうだ」
「優斗君、悪いな。本来なら年長者の私が責任を持って送り届けないといけないのに」
「いえ、適材適所という言葉もありますし今回は戦闘力が求められるので仕方ないですよ」
「それで優斗さん、出来そうですか?」
背定する陽輝に謝罪する親父さん、心配そうに聞いてくるのは美嘉ちゃんだ。
「それくらいなら問題なく出来るよ。」と言ってはみたが初対面ではなかなか信じてはもらえないか。
「美嘉も沙耶ちゃんも安心しろ。優斗はほんとに強いぞ。それこそ俺でも簡単には勝てないし何よりもうすぐ日が暮れるからな」
「「「???」」」
「とにかく、優斗は問題ないと言っているから後は沙耶ちゃん次第だな。どうする?」
陽輝が問いかけているので俺は見守ることとしよう。
「わ、私は早くお母さんに会って無事を伝えたいし、無事を確認したいです」
「じゃあ、決まりだな。優斗も良いよな?」
「さっきから言ってるけど、俺の方は問題ないよ」
「優斗さん、どうかお母さんの元まで送ってください。お願いします」
切実に頭を下げてお願いしてくる美少女に頼まれては断る訳にはいかない。むしろ内心ではノリノリだったりする。
「それじゃあ、お母さんを待たせるのも悪いから沙耶ちゃんさえよければ早速、出発しようか?」
「はいっ!」
沙耶ちゃんの気合いの入った返事を聞き、出発しようとしたが魔除け石を渡していないことを思い出した。
「あっ!そうだ。陽輝、これ使ってくれ」
アイテムボックスから魔除け石を4つ取り出して手渡す。
「これは?」
「魔除け石っていう魔道具で家を囲むように置けば、モンスターが近寄らなくなる便利道具だ」
「マジかよ!」
美少女を待たせるのは俺の主義に反するので興奮気味の陽輝を放っておいて出発する。
「それじゃあ、沙耶ちゃん行こうか」
俺と沙耶ちゃんの二人は日が暮れ始めた街へ向かい歩き出した。




