第45話
ダンジョンコアへの追加登録を終えて、テレビで状況を確認する。
状況はますます混乱している様子で相変わらずモンスターの出現が続いているようだ。この状況に危機感を抱いた人達が焦って避難し始めたことも尾を引いて混乱に拍車をかけているみたいだ。
その為、テレビの画面の下や横に最寄りの避難場所が表示されるようになり、混乱を少しでも収拾しようと警察などが避難所へ誘導し始めたらしいがモンスターの対応に追われて上手くいっていないようだ。
避難したところで自衛隊の基地でもない限り、防衛戦力もいないだろうから危険だと思うが戦う力を持たない人達は家に居ても同じなのかもしれない。
そんなことを考えているとどうやら日本政府が非常事態宣言を発表したようだ。
日本政府にしては対応するのが早かったと思うがこの様子では混乱が治まるまでにはまだまだ数日はかかるんじゃないだろうか?
そう考えるとその間に何が起こるのか予測出来ない以上、陽輝と離れたのは得策ではなかったかもしれない。
電話もメールも混線が続いており、連絡は取れない。ひょっとしたら通信基地が被害を受けているのかもしれない。
やはり今後の事について話し合う必要もあるので早めに陽輝とは合流した方が良いと考える。
だけど、流石の陽輝でも家族を連れてはうちに来づらいだろうし、移動も大変だろうからと俺が出掛ける準備をするのであった。
◇◇◇
場所は陽輝の実家へと移る。
無事に妹の美嘉とその友達の沙耶ちゃんを保護して家にたどり着いたが問題はまだ解決していない。
それは沙耶ちゃんをどうするかという事だ。
普通なら心配しているであろう親御さんの元に送り届けるのが当たり前なのだろうが正直、家族を置いて出掛けるのはこの状況では心許ない。それに妹達を迎えに行き、飛翔魔法に攻撃魔法と必要だったとはいえ、多用し過ぎたようで休息が必要な状態だ。
みんなもその事にうすうす気付いているようで何も言ってはこないが沙耶ちゃんは家族が無事か気が気じゃないだろう。
「お兄ちゃん、顔色が優れないけど大丈夫?」
「ああ、少し休めば大丈夫だ。」
ここで唯一の戦力である俺が不安を与えるわけにはいかないのでなるべく強がっておく。
こんな時、優斗が居てくれたら良いんだが残念ながら連絡がつかない。
こんな事になるのなら優斗に応援を頼めば良かったと思いながら今は少しでも早く回復するように体を休めようとするが俺の索敵に反応が一つ。
こちらに近付いて来ている。こんな状況ではどんな輩がやって来るかわかったもんじゃないのでみんなに注意を促すべく、小声で囁く。
「誰かがこっちに近付いて来てる。みんな静かに」
◇◇◇
さっさと出掛ける準備を整えた俺は陽輝と合流するべく家を出た。
ちゃんとダンジョンコアはアイテムボックスに収納してある。
家を出た俺は陽輝の家がある方へ向けて歩き始めるが実は陽輝の家の場所を詳しくは知らない。
ただこれまで過ごした会話の中でだいたいの場所は知っており、陽輝の家が会社を経営していて『陣内建設株式会社』と看板が出ていることも知っているのでそれほど、探すのは難しいとは思っていない。
歩きながら出会ったモンスターをほふりながら地図スキルで確認して進んでいく。
うちと陽輝の家はそこまで離れておらず、本来なら歩いて20分くらいの距離だろうか。
避難する人々を見ながら歩いているとお目当ての看板を見つけた。
陽輝から聞いていた通り、個人経営の会社は自宅と連なるように建っており、町工場といった風情だ。
建物に近付いていくと一応、慎重を期す為に使っている索敵スキルに4つの反応がある。
どうやら無事なようで良かったと思いながら自宅と思われる正面にまわると玄関や壁が壊されている様が目に入る。
ひょっとして来るが遅かったのかと焦りつつも帰る選択肢はないので玄関へと足を踏み入れる。
「すみません。陽輝くん居ますか?」
玄関から見える家の中は荒らされていて物音も聞こえない。しかし、索敵で人が居ることはわかっているので待っていると疲れた顔をした陽輝が出てきた。
「驚かすなよ、優斗」
驚かした覚えはないが状況が状況だけに警戒していたのだろう。
「悪い、合流した方が良いかなと思って来ちゃった」
「正直、マジ助かるわ」
どうやら問題が発生しているみたいだ。
「とりあえず、ここで話すのもあれだからあがってくれ」
「おう」
「せっかく来てくれたのに散らかってて悪いな。それと非常事態だから靴のままで良いぞ」
お言葉に甘えて欧米スタイルで家へとあがらせてもらおう。




