第39話:また日常
ダンジョンから地上へ出ると外は既に暗くなっており、探索者達の姿もまばらだ。
時刻は21時を過ぎている為、残念ながら探索者ギルドの営業時間には間に合わなかった。
公共施設にしては21時までやっていることを考えれば良心的な方だろう。
なので地下10階のボスからドロップした指輪の魔道具は後日、売りに出すこととなりこの日は帰宅することになった。
陽輝と帰りは同じ方向なので途中まで一緒に帰る。
「じゃあな、優斗」
「おう!また明日な」
陽輝と別れてから数分後、家に着くとすぐにお風呂に入り体の汚れを落としてついでに洗濯を済ませてから今回の成果を確認していく。
ちなみに夕食はダンジョン内で簡単にお弁当で済ませている。
まずは探索者カードを取り出しランキングを確認。
ランキング486位
「おお~!」
潜る前はまだ10万番台だったのについに3桁まできた。
ランキング3桁ともなればトップランカーの仲間入りだ。
一人で感動しつつ次はステータスボードを確認する。
「ステータスオープン」
レベル23 御影優斗
スキル
・索敵Lv:10
・危険察知Lv:10
・気配遮断Lv:10
・棍棒術Lv:10
・剣術Lv:10
・体術Lv:10
・身体強化Lv:10
・カウンターLv:10
・威圧Lv:10
・影魔法Lv:10
・闇魔法Lv:10
・超回復Lv:10
・サイドステップLv:10
エクストラスキル
・地図
・アイテムボックス
・鑑定
新たに覚えたスキルはないがレベルが5つも上がっていた。
この結果に満足しながら、探索者カードとステータスをしばし眺めてから就寝する。
1日ぶりのベッドはいつもにも増してふかふかに感じた。やっぱりダンジョン内での夜営には慣れていない分、辛いものがあった。
翌日は早朝に陽輝からメールで少し遅くなると連絡があった。
陽輝が少し遅い時間に来るなんて珍しいので理由を聞いてみると強化する武器?を買う為、スポーツ用品店やホームセンターに寄ってから来たそうだ。
買ってきた武器の種類もなかなか多様だった。まずは俺も愛用している金属バットに始まり大きいハンマーにバール、ピッケル。変わった物だと枝切り鋏だろう。
目に映った武器に使えそうな物を手当り次第、買ってきたみたいだ。
早いとこ強化に取り掛かりたい陽輝を鎮めながら約束していたコミュニティーサイトを教えてもらい陽輝承認のもと入会する。
簡単に新入りですと挨拶しておくが反応はない。皆が集まるのは探索が終わった夜とのことなので当たり前ではある。
入会も終わり強化のやり方を説明していざ開始しようとすると当たり前な質問が飛んできた。
「ところで優斗。強化出来るのは武器だけなのか?」
何気ない質問に衝撃を受ける。言われてみれば確かに他の物も強化出来ない理由はない。
探索者サイトで武器が強くなったという書き込みを見てから武器にばかり集中しており、その時身に付けていた物にまで目がいかなかったのは盲点だった。
確認すべく慌てて自身が着ているジャージを鑑定する。
このジャージはDPを稼ぐ時によく着ていた物だ。
『伝説のジャージ』
充分に魔力で満たされたジャージは丈夫で汚れにくく、着心地は最高峰。各種魔法攻撃に耐性。
「もちろん、強化されるぞ」
自信満々に答えておく。
「じゃあ、今日はフル装備でDP稼ぎアンド強化だ!」
「ちょうど俺もそうしようと思ってたんだよな(汗)」
二人で着替えてDP稼ぎを開始した。ちなみに陽輝が買ってきた武器類は二人で分けてリュックに突っ込み背負っている。なんか色々とリュックから飛び出していて動きずらい。
◇
いつものように夜までサイドステップを踏み続けた結果、それぞれ材質が魔鉄製に変質していたが防具類に関してはこの日は変化がなかった。
リュックも変化して魔法のリュックとなり容量が少しだけ増えていた。
まだまだ検証が必要なようだ。




