第36話:二人の陰謀
親父達がフリーズから復旧すると案の定、質問攻めにあった。
「優斗!何なんだ、あの魔法!」
「影魔法と闇魔法です」
「「「おおぉ!!!ダブルかよ!!」」」
淡々と告げる俺とは違い、大いに盛り上がる『大地の旅団』。
現状、只でさえ稀少なスキル。その中でも憧れであり人気の高い魔法系スキルを2種類も見せられれば嫌でもテンションが上がってしまうのが探索者という人種だろう。
「それで他にはどんな魔法が使えるんだ?」
子供が欲しいオモチャを見つけて目をキラキラさせているようだ。
そんなおっさん達の姿に少々引きながらも断れる雰囲気ではないので言われるまま、魔法を披露してあげた。
初級と中級魔法を中心に披露すると童心に帰ったかのようにはしゃぐおっさん達を尻目に夜も更けてきたので体を休める為、ダンジョンの壁に背中を預けながら仮眠をとることにする。
薄情な陽輝は既に寝ている。
その寝顔はとても穏やかでマジックペンを持っていたら間違いなく顔に落書きをしただろう。
そんなことを考えつつ、俺も眠りに就くとする。
◇
ダンジョンに明かりが戻り始めた頃、浅い睡眠から目覚めると既に皆は起きており、俺が最後で起きるまで待っていたようだ。
昨夜は魔法の行使を強要したので疲れているだろうと気を使ってのことらしい。
俺が起きたことで朝食となったが朝からまたモンスター肉を焼こうとする奴らを止めてアイテムボックス内からドーナツを提供する。
ドーナツの受けは良く、やはり皆も朝から脂のたぎる肉を食べることに迷いがあったようだ。
朝カレーくらいならたまに聞くが朝からバーベキューは流石に聞いたことがないし重すぎるからね。
朝食を済ませるとさっさと出発する。
親父達は気の良い人達だがまた勧誘されても面倒なので陽輝も即断で了承した。
「それじゃあ、俺達は先に行きますね」
「おう!無理するじゃないぞ」
「「はい!」」
「いつでもうちのパーティーに来いよ!」
「「・・・」」
「おいっ!返事はどうしたっ!?」
今回の夜営でスルースキルがだいぶ磨かれたようだ。
俺達二人はまだ見ぬ地下19階への階段を目指し、前だけを見据えて進んでいった。
遠くにいる親父達が米粒程の大きさに見える距離まで来たところで陽輝が口を開く。
「あのさ、優斗が良ければなんだが小山の親父達にアイテムボックスのスキルクリスタルをあげるのわ、どうかな?」
不安げな表情で俺の顔色を窺っている。
「いいと思うぜ!」
返事を聞くなり、明るい表情へと一変する。
「良い人達だし、何より世間にアイテムボックスの所持がバレてもあの人達ならなんとか出来そうだし、何より・・・」
「「勧誘の面倒がなくなる」」
二人で顔を見合わせ、そろった事に声を上げて笑いあった。
それからはせっかくなら他の有力なスキルクリスタルも付けて強化しようと勝手なイメージでスキルをピックアップしていき盛り上がった。




