第34話:勧誘
ダンジョン内で仲の良い知り合いと再会してなおかつ積もる話しが弾めば当然、合流して共に夜営をすることになるのは自然な流れなんだろう。
ええ、『大地の旅団』と合流しましたとも。
そこそこの人数でする夜営は和気あいあいとしたキャンプを思わせる。
俺の想像していた緊張感溢れる夜営はどこへやら。まあ、楽しいからいいか。
「それで優斗は陽輝とどうやって知り合ったんだ?」
陽輝への尋問も終わり、どうやら質問の矛先が俺に向いてきたようだ。
「陽輝と出会ったのはダンジョンで死にかけてるところを助けてもらったんですよ」
「それは運が良かったな」
「そうですね。陽輝が来なければ確実に殺されていたからほんと感謝ですよ」
「俺も優斗がいなかったら怪我が治らなかったからな。優斗には感謝してるぜ」
「お互いに感謝しあってお前ら良いコンビだな。そういう俺もお前らには感謝だな」
「ん?陽輝は前から知り合いだったからわからなくもないけど、俺はどうしてですか?」
「それはな、陽輝と組んでくれたからだよ」
「ますますよくわからないんですけど?」
「俺達は陽輝のことを心配していたんだよ。パーティーに誘っても入らないわ、だからといって誰かと組む訳でもない。死にかけたお前達ならいやというほど理解しただろうが探索者っていうのは危険な仕事だ。年齢的に俺の息子と変わらない陽輝が心配で仕方なかったんだよ」
「親心みたいなもんですか?」
「そんなところだな」
ぐぅ~~
言っとくけど、俺じゃないよ。俺もお腹は減ってきたけど。
「なあ、小山のお、親父」
さっきまで小山のおっさんって呼んでたのに急に親父になったよ。しかも、照れくさそうにそっぽ向きながらだしデレてる。(笑)
「おう!なんだ息子よ」
「「「ぶはははっはは」」」
我慢出来ず、みんなで笑ってしまう。もちろん陽輝は一人恥ずかしそうにしている。
「うっせいな!それより腹へったからなんか食わせろよ!」
「バカ野郎!それが人に物を頼む態度かよ。まあ、今回は気分が良いから食わせてやるけどな。ハハハ」
実はさっきから凄く良い匂いが漂っている。
俺達が話していた間も『大地の旅団』のメンバーが話しを聞きつつ、ご飯の準備をしていた。
メニューはモンスター肉を使った肉のみのバーベキューだ。ご丁寧にバーベキューコンロを持ち込んできている。
ほんと夜営というよりキャンプだわ。
「そろそろ焼けるぞ!」
「俺、モンスター肉、食べるの初めてだわ」
「なんだ優斗、モンスター肉食ったことないのかよ?」
「そうなんだよ、親父」
俺も小山さんを親父と呼んでみたが久しぶりに親父という言葉を使ってちょっと、ほろ苦い気分。
「そうか、モンスター肉はうめぇからいっぱい食えよ!」
俺に呼ばれても嬉しそうな親父をよそにもうがっついてる奴が気になるが。
「やっぱりモンスター肉と焼き肉のたれは合うわ!」
なんだか俺の分まで食べそうな勢いなので俺も頂くことにする。
初めて食べたモンスター肉は確かに美味しかったがご飯が食べたくなってくる。
そんな中、誰かが同じことを言い出した。
「あ~、白米食いてぇ~」
俺は陽輝の脇腹を肘でこずく。陽輝は良いのかと目で訴えてくるがこの人達なら問題ないと思うので頷いて話し出す。
「白米ならありますよ」
「どこにあるんだ?」
「陽輝出してやれよ」
「なっ!?俺かよ!」
流れからいって俺が出すと思っていたのか驚きながらも渋々といった感じでアイテムボックスからホットホットで買ったお弁当のご飯のみを人数分取り出した。
「「「なっ!?」」」
突然現れたパック入りのご飯に驚愕する『大地の旅団』の面々。
なに食わぬ顔で一人にひとつずつ配り終えるともうどうにでもなれといわんばかりにご飯を貪る陽輝。
「やっぱ、日本人は米だよな」
俺もつられてご飯と肉を交互食らう。
「な、なあ陽輝。今どこから取り出したんだ?」
最早、この質問もテンプレになるのではないか。
「アイテムボックスから取り出したんだよ」
「・・・」
沈黙する『大地の旅団』の面々。
仕方ないのでフォローしておこう。
「早く食べないとご飯が冷めて美味しくないですよ」
米農家さん、どうですか?俺のフォロー。
「待てお前ら・・・」
待てと言われ仕方なく箸を止める。
「ダンジョンの中なのに荷物を持ってないから最初からおかしいとは思ってたんだ。」
「アイテムボックス超便利だぜ。ちなみに優斗も持ってるから」
なにっ!コイツさらっと俺を売りやがった!いや、先に売ったの俺か!
「優斗も持っているのか・・・お前ら二人、うちのパーティーに入るしかないな。そう思わないか?」
仲間達に問いかける親父。
「そうだな」
「間違いない」
「絶対入るべきだ」
「ようこそ、大地の旅団へ」
「せっかくなんですけど、お断りします」
この後、強引な勧誘とそれを断る攻防が続いた。




