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ダンジョンコアを手に入れたのでチートする  作者: くろのわーる
フェイズ1

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20/63

第19話:ごきげんよう




 皆さん、ごきげんよう。


 こちら御影優斗です。


 只今、地下7階に来ておりますがこちらも草原が広がっております。


 時刻はちょうど、12時。


 広々とした草原で食べるお弁当はなかなか良いものです。


 ただ食事の途中に無粋なモンスターが何度か襲ってきたりもしましたがそこはバットでぶん殴って、返り討ちにしたのでゆっくりと休めてます。


 弁当も食べ終わり、今は食後のデザートを堪能しがてら、遠くに見える5人組の探索者達の戦闘を観察しています。


 5人組はモンスターを見つけるなり、囲んでボコボコにしているみたいです。


 流石にまだ7階くらいではゲームのような連係は見られず、囲んでボコッた方が早いのかな。



 さてと、特に見ていて楽しくもないので探索を再開しようかな。


 今日は10階のボスを倒してから地上に戻る予定なのでお昼の時点て7階層まで来れたことを考えれば、なかなか良いペースだと思う。


 休憩を終わらせると、向かってくるモンスター以外は無視して草原を突っ切り、階段を目指す。


 地下8階も同じような草原で脇目も振らずに階段へ。

 9階も草原、10階も草原。


 10階にもなると探索者の姿はほとんど見かけないので、ここで経験値を稼いでからボスに挑むとする。


 ちなみにボスはボアタックルの上位種であるボアタンクというモンスターで草原を普通に闊歩かっぽしている。

 ゲームでいうところのいわゆるフィールドボスってやつなのかな。


 ボスの位置を確認しつつ、エンカウントしないように距離を取りながら、まわりの雑魚を片付けて経験値稼ぎにいそしむ。


 そうしているとボスからの熱い視線を何度か感じるようになってきた気がする。


「(気のせいかな?)」





 作業のように雑魚モンスターを倒していると何度目だろうか。また、視線を感じる。


「(あれ、また俺の方を見てないか?)」


 俺の違和感はどうやら間違いではなかったようでボスが近付いてくる。


「(これ確実に捕捉されてるわ)」


 さらに勢いを増して、近寄ってくるボスを迎え撃つ。


 ボアタンクは名前にタンクとついているだけあって、その巨体はなかなかの迫力がある。

 まだ、距離があるので分かりずらいが大きさはだいたい2トントラックくらいだろうか?


 確実に今まで見たモンスターの中では最大級だ。


 のんびりと構えている俺にボアタンクは完全に弾き殺す勢いで走って来ている。

 だが俺に焦りや緊張はない。



「おりゃー!!」



 なんとなく、手に持っていたアダマンタイトバットを掛け声付きで全力投球する。


バッコーン!!


 身体強化レベル10の俺から投げられたバットは高速回転しながら、見事にボアタンクの眉間に当たり、鈍いが派手な衝突音が響く。


 ボアタンクはバットが当たると徐々にスピードを緩めていき、その進みは俺の前でぴたりと止まった。


 眉間の辺りは陥没しており、鼻からは大量の血が垂れていたが俺の投げたバットが原因だろう。

 俺の目先で止まったまま、動くことのなくなったボアタンクの目を覗くと完全にひっくり返り、逝っちゃっている。


 草原に広がった刹那せつなの静寂からボアタンクは大きな躯をかたむかせ、地響きと共に横倒しとなった。


 倒したボアタンクは当然、放置して投げつけた大切なアダマンタイトバットを拾いにいく。

 大切なら投げるなよと思ったかもしれないが投げたくなったのだから仕方がない。


 大事なバットを拾い、今日の目標でもあったボス攻略を達成したので記念にボアタンクを写真に撮って、死骸が消滅するのを見届けてから帰ろうと思う。


 数分後、まったく手をつけずにいるとボアタンクがダンジョンに吸収され、その後には見慣れない箱が現れた。



「た、宝箱だ・・・」



 これまでに2年近くダンジョンに潜っていて俺自身、話には聞いたことはあったが自分がドロップしたのは初めてだった。


「ま、まずは記念に写真を撮っておこう」


 アイテムボックスにしまったスマホを取り出して、興奮で震える手で正面から1枚目をパシャリ!写り具合いに納得出来ずに角度を変えてパシャリ!


 その後、なんとか手の震えが止まり、納得出来るまでに何十枚も撮ったがやっと満足のいく1枚が撮れた。



 さて、残すは中身の確認だ。



「レアアイテムだと良いな」


 欲望センサーが働きながらも期待を込めて、宝箱に近付くと俺の目の前で儚くも淡く光り出して、宝箱は消えてしまった。



「・・・まだ触れてもいないんですけど・・・」



 浮かれて写真を撮ることに集中し過ぎた為、出現タイムが切れて宝箱は光になってしまったのだ。


 こうして、俺の初体験は苦い思い出となり、地上へ戻る帰り道、荒れに荒れた俺は出会ったモンスター達に八つ当たりをして、なんとか精神を保つことが出来た。





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