第15話:オークション
明くる日、午前中にバットを買いに行き、久しぶりに陽輝からメールが来たので返しておく。
内容としては相変わらず俺の体調を気にかけたメールと今度、地下17階まで潜るといった近況報告だった。
それを聞いて流石、今ノリノリのプロ探索者は違うなと思った。
なぜなら17階というか15階あたりから出るモンスターって銃が効かないくらい強いんだぜ。
そのせいで各国での探索が思うように進まず、2年以上経った今でも最高到達階数で25階に到達した国はないのに陽輝はずっと、ソロで挑み続けて今度は17階に挑むっていうんだから凄い。
俺もそんな凄い友人に感化され、午後からのお務めに励むとしよう。
◇◇
時計は午後20時を指している。
俺は時計を確認して、いつもより早いが切り上げることにする。
今日は午後21時から開催されるオークションに俺が売りに出したスキルクリスタルが出品されるとの連絡を受けたのでその中継を見る為だ。
。
いったいいくらの値がつくのかまた、どんな奴が競り落とすのかワクワクしながらシャワーで汗を流す。
体も清め終わり、冷凍食品で夕飯を済ませるとパソコンの前に移動する。
時刻は20時50分、探索者サイトにログインして、探索者ギルドが運営するオークション中継ページに飛ぶ。
中継は参加者ページと観覧者のページがあり、当然俺は観覧者ページへ。
このオークション中継は観るだけではなくチャット機能も付いており、観覧者が好き勝手に発言出来たりもする。
◇
《観覧者ページ》
名前:名無し
今回の目玉商品って何?
名前:名無し
スキルクリスタルが1つ出るらしいぞ
名前:名無しの男
どんなスキルなんだ?
名前:名無し
知らね~( ・ε・)
名前:名無し
誰か鑑定してこいよ
名前:通りすがりのランカー
鑑定スキルなんてまだ確認されてねーだろうが
名前:名無し
そうなのっ!Σ( ̄□ ̄;)
名前:通りすがりの暇人
ネット界隈で噂されてるだけで未だに未確認だぞ
名前:名無し
マジかよ。俺の鑑定チートで成り上がる計画が・・・orz
名前:名無しの厨二病
ここにも同志がいたか
名前:名無し
お前らそろそろ始まるぞ
◇
時刻が21時になると同時にスーツを着た男が檀上に姿を現し、開催を告げる。
まずは珍しいモンスターの素材から始まり、指輪型の魔導具らしき物、禍々しい変な像に効果不明な液体が入った小瓶等と次々と落札されていく、そして午後22時を回った頃、遂に本日の目玉商品である俺が出品したスキルクリスタルの番がやってきた。
スキルクリスタル自体、久しぶりにオークションに出品されるとあって、いつもよりも高値がつくんじゃないかと何日か前からネット等で騒がれていた。
現に観覧者達も盛り上がってきているようだ。
俺は期待を胸に最後のオークションが開始された。
「それでは2000万円からスタートです」
スキルクリスタルとしては普通よりも安い値段なのだが出品者としては既に2000万円は確定したようなものでパソコンの前でそわそわしてしまう。
「2100!」
「2500!」
「3000!」
次々と札と声が上げられ値段がつり上がっていく。
気付けば、手に汗を握り爪がくい込むくらいに力が入っている。
「3500!」
「4000!」
「おおぉ~!!」
スタートから倍の値段に会場内、観覧者ページから驚きの声が上がる。
「4500!」
「4600!」
「5000!!」
「おおぉー!!!」
さらなる競り合いに歓声は勢いを増す。競合者もついに2人になった。
「5100」
「5500!!」
片方は流石に値段を刻み始めたがもう1人は勢いが落ちない。
◇
名前:名無し
ひょっとしたら過去最高額いくんじゃね?
名前:名無しの変態
それはないな(-)_(-)
名前:名無し
ちなみに過去最高額っていくらよ?
名前:名無しの変態
日本では1億2000万(-)_(-)
名前:名無しの貧乏
世の中、お金ってあるところにはあるんだな(´・ω・`)
名前:名無し
それにしても誰だよ。あの二人
名前:名無しの猫
1人は知らんがもう1人なら知ってる。某大手企業の馬鹿御曹司(ФωФ)
名前:名無し
俺も知ってる(^_^)vアイツ、SNSでお前達と違って俺はトップランカーになるとかほざいてた奴
名前:名無し
へぇ~競り負ければいいのに( ̄人 ̄)
名前:名無し
もしくはクソスキルが当たれば良いのに|゜Д゜)))
◇
「5600」
「6000!」
「・・・」
「他にいませんか?」
トントンッ!
「それでは6000万円での落札となります。」
木槌を叩く音が響き、落札者が決まる。
落札者が檀上に上がり、カードで支払い落札品を受けとる。
馬鹿御曹司は受け取ったスキルクリスタルを見せびらかすようにどや顔でカメラに向ける。
一通りカメラに向き終わると司会が締めくくりのトークをしているのも気にせず、スキルクリスタルを吸収してステータスボードを開き、自分が獲得したスキルを確認している。
そして、誰が見てもわかるくらいに馬鹿御曹司は石のように固まった。
パソコンの画面越しにも『ピシッ!!』と聴こえてきそうな固まりかただった。
オークションが終わり、中継の画面が途切れる寸前に馬鹿御曹司が膝から崩れ落ちる様を最後に中継は途切れた。
◇◇◇
その後、馬鹿御曹司のSNSは更新されることはなかったとさ。
俺の出品したスキルクリスタル。
スキル名は『豊胸』。
胸が大きくなるであろう。夢や希望がたくさん詰まった女性用スキルだと思う。




