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ゾンビの面白さ

作者: ゆ-うぃん

 ゾンビ物における面白さってなんだろうか?

 ふと疑問に思ったが、それは他のジャンルにも言えることだろう。

 では、どこが他のジャンルと違うのか――まず認知度だ。


 今やゾンビは、ホラーやパニックの要素を合わせつつ独立した認識になっている。

 ホラーと一言で言われてもどんなタイプのホラーなのかパッケージを見ても分からず、物語中盤まで観ないと伝わりにくいことも多い。

 だが、ゾンビと聞けば人を襲ってきて感染もするグロテスク系だなとすぐ分かる時代だ。


 それも先日亡くなられたジョージ・A・ロメロ監督が吸血鬼をモチーフにゾンビのイメージの礎を築いたからで、化け物ではなく人が人を襲って感染していく様は、未だにどのゾンビ物でも引き継がれている。


 しかし、ゾンビ物には同じジャンルのホラーとは違う要素があった。

 視聴する人の心構えというか好き嫌いがハッキリと別れていることだ。

 ん? それはホラーと一緒じゃないかって?

 では、ホラーとは怖いもの見たさの難易度が違うと訂正しておこう。


 どういうことかと述べるとゾンビは怖がらせるという点よりは、どう始まってどう襲わせるかに重きを置いて進んでいき、必ず捕食シーンが出てくる。

 ゾンビ物の宿命と言えばいいだろうか。

 数の暴力があってこそよりピンチなシーンに緊迫感が生まれ、ストーリーの中で全く捕食をしようとしないゾンビや一匹ずつ現れて処理できてしまうゾンビ等、そんな要素で魅せようとしてもあまり求められていないのだ。


 つまり、ゾンビが大挙して押し寄せて逃げながら誰かがやられるグロテスクなシーンに耐えられるかが分岐点だ。

 ここで脱落する人も少なくはないだろう。


 そして、めでたくゾンビ好きになってしまった人は作品に取り憑かれてしまう。

 ゾンビ物と聞けば観たくなり、より物語の展開を想像して最後にはどうなるかを知りたくなる。

 一時期流行りで量産された○○・オブ・ザ・デッドというタイトル詐欺に引っ掛かった人も多いのではないだろうか。


 次に、起承転結が分かりやすいのも特徴だ。

 「起」でゾンビが何かしらの原因で発生しじわじわ拡大、「承」で主人公達の前に出現し立ちはだかる。

 「転」で人類が対抗策を練り反撃、「結」でハッピーエンドかバッドエンドか続編示唆の気になる終わり方をする。

 だいたいこんな感じだろう。


 映画の中にこれらの要素を詰め込んでいると時間が足りず、「起」を省いた上に「結」を投げやりエンドにするパターンも多い。


 ゾンビになった原因も様々あるが、主人公の立ち位置が科学者側やそれを知る人物でない限り、ウイルスが漏れ〜ワクチンが〜なんてご都合展開にはなり得ずに終わる。

 だからこそ何も関係ない一般人を主役に立たせる場合、「起」の部分を省いていきなりゾンビに襲われてなんで!? と視聴者を引き込む手法もありなのだ。


 ただし、この場合の終わり方「結」の部分が曖昧にぼかされることが多く、原因が分からない物を相手に倒しきるか逃げきるしかないので、結果としてどこかへ逃げたような終わり方で締める。

 具体的にはロメロ作品を基にしたリメイクである『ドーン・オブ・ザ・デッド』がそんなストーリーだ。


 ロメロ監督はゾンビが走ることに否定的だったと記憶しているが、この走るゾンビがより逃れられない恐怖感を後押ししヒットしたため、既存の恐怖慣れから変化が求められた時代の流れかな……とも思えた。

 それでも一時代を築いただけあり、○○・オブ・ザ・デッドの中でもロメロ監督が関わった作品は注目され、ゾンビの中で必ず挙がるタイトルが存在し、今でもオススメされるのは素直に凄いことだ。


 そして、走るゾンビは後に様々出るが、『28日後…』がブームに火をつけた気がする。

 これは他のゾンビ物と異なり感染すると狂暴性が増すという認識。

 カラスが高い所で感染者の死肉を貪った時に、散った血が下で様子を見ていた人間の目に入り感染なんて経路もあり、感染し変化速度が数秒なのも特徴的だ。

 また、感染者が捕食できなければ餓死するというのも珍しい。


 続編の『28週後…』でその部分が冒頭に語られている。

 その区域さえ封鎖してしまえば沈静化するので、海外に逃げていれば平気だったり軍が管理できているので、全世界がゾンビだらけなんてことにはなっていない。

 更に続編示唆でこれは……な展開になるが、結局未だに作成されていないためスッキリとはせず、何も要素が被っていない類似タイトルが出てくる始末。


 話は逸れたが、ゾンビが走ることで逃げの選択肢が極端に狭まり、視聴者もそれに慣れてしまって本来のノロノロゾンビに免疫が出来た感は否めない。

 それをいい意味でぶっ壊したのが海外ドラマだ。


 ゾンビ映画を作るにも舞台やメイクで予算がかかると聞くため、今までは海外ドラマでも無かったジャンルだ。

 しかし、映画と違い短い時間でまとめなくても説明ができるため、視聴者が流れを把握しやすく作られている。


 そこで今や大人気に成り上がった『ウォーキング・デッド』では、歩く死者をメインにしながら人間の争いを加え、長時間観ているのでキャラへの感情移入がしやすくなっている。

 「起」をぼかしつつ「承」と「転」を繰り返しながら「結」が全く出てくる気配はないのだが、ゾンビに慣れてしまうマンネリ感を次はどんなキャラが来てどのキャラが死ぬのかと、海外ドラマ流のハラハラ感で楽しめるように仕上げている。


 他にも語りたいタイトルはいろいろあるが、今まで時間の限られた映画でしか観れなかったゾンビ物が、あれこれ工夫されて海外ドラマで観れるようになったので是非一度はお気に入り作品を探してみてほしい。


 ただ……海外ドラマの性質上、人気が出てしまうとシーズンが引っ張られ終わりが来ず、人気が無さすぎるとシーズン1、2で打ち切られてしまう。

 結果を知りたいタイプの人には早々に終わると消化不良になりがちで、人気作は延々と待たされることを覚悟しておいてほしい。


 最後にゾンビの設定と妄想対処。

 基本襲って食べるぐらいが共通な点で各作品の設定はあやふやだ。

 先程述べた『ウォーキング・デッド』は世界観からしてゾンビという存在を知らない設定で、呼び名もゾンビではなくウォーカーだったりバイターだったり統一はされていない。


 音に気付きやすいのか、視界で判断しているのか、匂いで判断しているのか様々な要因が入り交じっているが、ゾンビが夜に立ったまま睡眠してその近くを主人公達が通り抜けることもあったりする。

 歩くのか走るのか、感染速度は早いのか遅いのか、感染しても助かる方法があるのかないのか、返り血を含むゾンビとの接触はどうなのか等、どの作品も描かれる要素が違ってくる。


 新しい部類だとブラッド・ピット主演の『ワールド・ウォー・Z』が、パッケージや宣伝だとゾンビ要素が分からずパニックホラーとしかヒントがない。

 観始めればゾンビと分かるが、CGの大群ゾンビは逃げ場が限られ全力ダッシュと人海戦術で、もう無茶苦茶である。

 それなのに終盤がなんともショボい解決法で「俺達の戦いはこれからだ!」ENDなため、続編待ちかと思ったら現在は制作すら白紙になっている。


 これらを踏まえて視聴を終え現実に戻されると余韻で妄想し、もしゾンビ世界になったら自分ならどうするか対処を考える人も多い。

 武器はご都合主義な銃が存在しないためどこで何を調達するか、逃げる場所はショッピングモールにするのか近くのマンションに立て籠るか等々、リアルとリンクして考えやすい。

 どうせ噛まれて死ぬなら美女に噛まれたいとか、希望を持つ方向が違うジェントルマンも居る。

 そういう人は大好きだ! 残さず食べられてほしい。


 実際、アメリカで起きたバスソルト事件はかなりゾンビに近い現実味を帯びていた。

 また、ゾンビドラマを友人と観ていてトイレに行って帰ってきたら友人がゾンビの真似で迫ってきて、本気にしたその人が殴ったか刺したかで殺してしまった事件もある。

 こんな悲惨な事件もあると参考に、美女が噛んできても甘噛みなのか本噛みなのか余裕を持った判断をしてあげてほしい!


 結局は現実に発生してみないとどう転ぶか分からないが、こういった妄想が楽しめる所もゾンビ面白い! と人を惹き付ける魅力があるのかもしれない。


 キーワードに引っ掛からなかっただけかもしれませんが、似たエッセイが見つからなかったので勢いで書いてみました!


 個人で感じたことなのでだいたい合ってると共感していただければ幸いです。


 反響があれば観た映画のタイトルと感想なんかを随時追加するか、別小説に書いてみるかもしれません。

 ゾンビに付き物な美女ヒロインて欠かせませんよね(小声)


 短編にしては長めの散文をお読みいただきありがとうございました!




 かゆい

 うま

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