元人間悪魔と少女物語
誰かが言っていた、あの山には悪魔が住んでいると。
「はあ、暇だ」
その山のログハウスの様なところに住む悪魔はいつも退屈だった。
他の悪魔だったら人を襲うなどして愉しむのだろうが
その悪魔は人間に手を加えず見ているのが好きだった
悪魔として弱い訳じゃない、というか最強クラスと言っても過言ではなかった。
それなのに見ているのが好きなのは彼が悪魔になった経緯が特殊だからかもしれない。
彼は普通の人間だっただかある時悪魔に捕まり眷属になった。
やがてその主人の悪魔も死んだ。
主人に対して思い入れもなかったので更には死ぬ理由も特に見つからなく長い時を過ごして今の様に強くなった。
退屈していた風景はとてものどかなものだった。
しかし一変してその風景は興味深いものになった。
のどかな風景が今はまるで地獄の様に燃えている。
「火事か?いや違うあれは同族かの仕業か」
興味深い少し降りてみるか。
「ほう、そうかそうかそう逃げるのかそこだ頑張れ
いけ!そこだ!あ〜捕まったか」
元人間と言えども今は悪魔、大して人間の生死に興味はなかった。それより人間がどう動くかどう考えるかが興味をもたせた。
そんな時だったさっきまで死んでいたと思っていた足元にいた人間が、その悪魔の足をつかんだのだった。
「どうかお願いしますどなたでもよろしいのでこの子供をどうかお助けください」
そういうと力のこもってない腕で側にいた1、2歳くらいの子供を抱き上げ渡してきた。
なんだこいつもう目も見えていない様だ、悪魔だと知ったらどんなふうに反応するか見ものだな。
「おい人間俺は今お前達を襲っている悪魔だぞそれでもいいのか?」
悪魔がそう言うと人間は少し驚いた様子ででも安心した様な表情をした。
「構いません、今襲わずに話を聞くとはあなたはあいつらとは違う悪魔なのでしょう?」
そして女は一度血を吐くと。
「それにこの死に損ないでよろしければ魂を契約あてます。悪魔とは契約は守るものなのでしょう?」
すると悪魔は
「あはははははははっ」
高らかに笑い答える。
「いいだろう人間!お前の魂で手を打ってやろう」
女はその言葉聞きふっと笑う。
‥‥‥‥‥
「さてと、契約は、果たしたこれで十分だろ」
自分の住む山まで子供を連れて逃げてきてそっと、地面に降ろして去ろうとするが‥‥‥
「やんやー、まんまーうぇーーーーん」
離れようとすると子供が泣き叫ぶ。
「はぁ、まあ魂は美味かったしなもう少し面倒みるか」
そう言いながら離れた人里に行き食べ物を奪ってきたり、言葉を教えたり、布を縫い服を作ったりと世話していきました。
そうして何十回も「もう少し」繰り返した時もう子供は少女になっていました。
「おじさん!見て見て!綺麗な虫!」
「その辺にしておけ、そんなにベタベタ触るもんじゃないぞ」
「はーい」
そんな生活にも慣れた時ふと思った。
「お前名前は欲しくないか?おいとかお前じゃなんか
寂しいからな」
ふふ、俺も変わったな名前なんて、そう言えば俺はなんて名前だっけなー何百年も前だから忘れたが。
「名前てなに?」
「うーん、ものを呼ぶ時の記号みたいなものだ」
「うーん、わかんない」
「じゃあ質問を変えるかなんて呼ばれたい?」
再び少女は考え込みそして何か思いついた様に笑顔になる。
「ニナがいい!」
「ほうなんでだ?」
「呼びやすいから!」
なんとも単純な理由だなだかそれも面白い。
「じゃあお前は今度からニナだ」
「うん!」
そしてニナが不思議そうな顔をして聞いてくる。
「おじさんは?」
「おじさんはおじさんて名前なの?」
また不思議そうに聞いてくる。
「ん、ああ、まあ違うが、あったが忘れた」
「じゃあ決めよ今!」
「俺はいらないよ悪魔だし」
「やだ決めたい!」
「わかったよ好きにどうぞ」
そう言いうとワクワクした様に考え込み。
「アルはどう?」
「いいんじゃないか?」
「じゃあ私達は今からアルとニナね!」
「ああ、いいんじゃない?」
「反応薄〜い!」
そうした日々が続き人里に降りてきたある日。
「アル?学校てどんなところ?」
「ん?なんでだ?」
「さっきの人達が話してた」
そうかニナも学校に行く様な歳か
「学校ていうのはいろいろなことを勉強したりする場所だよ」
「勉強て?」
「いろいろなことを見たり知ったりすることを増やすことだ」
「ふーん」
「学校行きたいか?」
「うん!」
それからニナは学校に通うことになった学校と言っても廃墟になった場所で子供達が授業を受ける、無料の塾みたいなものだが。
それからというものいろいろなことを知っていくニナを見て、嬉しくも寂しくもあった。
いろんなことを聞いた、数字の数え方のこと、文字の読みのこと、そしてジンという友達のこと。
そして
事件が起きた‥‥‥
それはニナが学校に行ったのを見送った後空から何百という悪魔が襲ってきていた。
俺は初めて全力で飛んだ
「間に合え、間に合ってくれ」
アルが着いた頃にはもう学校は燃えていた、
だが幸いなことにニナは離れたところでうずくまり生きていた。
「無事だったか!?」
「うん、ありがとうアル」
「よかった、お前無事なら大丈夫だ」
「ジンは?」
「ん、わからないだがお前が無事なら俺は‥‥」
俺はなんだ?
「ジンを助けなきゃ」
「やめろもう悪魔がきている手遅れだ、あきらめろ」
「でもジンは!友達なの」
知ってるだがお前のことが‥‥
お前のことが?
なんなのだろう?女から契約で預かりそれでももう契約はきれていて、
なのになんで俺はこいつを守るんだ?
「そんなに大切なら勝手に行け」
「アルはどこいくの?」
「帰る」
「アルも手伝ってよ!2人なら見つかるよ!」
「うるさいなあ、行くんだったらお前1人で行け俺は‥‥面倒だ」
そうだ面倒だ、これでいい
「もういい、」
ニナは走って行ってしまった。
そうだこれでいい俺は悪魔だ名前をもらって調子になってしまったな。
「どこジン?」
ニナは学校へと走っていた、
そして学校の中に入った時。
「う、うぅ」
「ジン!大丈夫だった?」
「うん、まあなんとかね」
そっと胸をなでおろす。
「さてとここからどうする?」
外には悪魔、中は炎。
ああ「アルがいたらいいのに」
口にでていた。
いない奴を頼ったてしょうがないそう言う気持ちで
考える。
「一か八か外に逃げるしかないか」
そしてジンも走れることを確認して外を見る。
外には悪魔が五体見つからない様にいくには、正面突破しかないか。
「じゃあ行こジン」
「うん大丈夫だよ」
「じゃあ1、2の3で行こう。」
「うん」
「1、2の3!」
20メートル進んだところで、
見つかったか?でももう走るしかない!
うしろからの羽の音もう嫌だ死ぬてところで
「ぐぉ、ぐぇ」
声を上げて死んでいった。
そこにいたのは
「はあ、割に合わねえな本当」
アルだった!
「走れこのまま進めば違う街に出るそこで匿ってもらえ、やっぱり俺とお前じゃ住む世界が違うわここで、
さようならだな」
「え、何言ってんの?アルも逃げれば‥‥」
「気づいたんだよね、俺は悪魔だろ?」
「そんなこととっくの昔に知ってるよ!」
「そこじゃなくて、おれの住む場所て悪魔がやってくるてことよ」
「!」
「ほらやっぱり俺もさっき気が付いたまあ人間を近くで見たきた代償だよね」
「で、でもアルは人なんか襲わないじゃない」
「それでも、寄ってくるってことは呼んでるのと一緒にだ」
「そんな、」
「だから俺もお前も一緒に住めない、
今までありがとうな」
「おい!そこのジンて奴!」
「は、はい!」
「うちの娘、幸せにしろよ」
そこから後の記憶は曖昧だが、アルが私の走っている時に何人かの住民を逃してしたこと、アルも強い悪魔だったこと、
そして元の家にいなくなったことは分かっている。
それから何年経っただろう‥‥
誰かが言ったそこの山には悪魔を狩る悪魔がいると、
「おじさん!」
そこに見覚えのある少女が立っていた。
「なんで?お前がここにてかお前変わらなすぎじゃないか?」
「?」
少女が首を傾げていると、
「変わらないのはあなたですよアル」
そこには少女と同じ顔をした女性が立っていた。
俺はふふ、と笑い言った。
「おかえりニナ」