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「ところでさ、あのクサナギは本物なの?」
と私は会場遠くにあるユニットを指さした。遠くから見るには本物っぽく見えるが実際に動かすことはできるのだろうか?
「あれは本物だよ。」とイリア。
「本当だよ。だって、私は実際に近くまで行って見てきたんだもん。エンジン入れれば実際に動かすことだってできるよ。」
イリアはユニットバトラーに関してはほとんど無関心に近いが、こういうメカニックなことに関しては詳しい。
「なんでそんなに詳しいの?」
「いや、だって、私の家、ユニットの修理工場だから。」
「いや、それ、初耳なんだけど・・・。」とミスズ。
「そりゃ、あんたイリアの家に遊びに行ったことないからねぇ~。」
私はイリアとは幼なじみだから知っている。間近で本物のユニット「クサナギ」に触ったことだってある。さらに言えば実際にコクピットに座ったこともある。あの時はイリアのお父さんにしこたま怒られたなぁ。
「それにしても警備、すごく厳重になってない?」
これは私が会場に着いてからそう思った。
何より警備員の数が多いし、会場に入るときには荷物検査や金属探知機のチェックも受けた。
「それはあれが理由よ。ほら。」
そう言ってイリアは指を差す。
その指の先には1人の少女に「向けられていた。
「みんなぁ、応援ありがとう~!おかげで決勝に進出できたわ!本当にありがとう!」
「だれ?あれ。」
「このコロニーの富豪、草薙シズカよ。あのクサナギを設計した企業の娘。ニュージャパンコロニーの主力ユニットとして採用されたおかげで大富豪にまで登りつめたとか。その娘がこの大会に出場しているのよ。
えっ!?あのクサナギの設計者の娘!?
「ねぇ、サインもらってきてもいい?」
「勝手にしなさい。」
そんなこともあったが私たちは揃って決勝トーナメントも準決勝まで進むことができた。勿論あの草薙シズカも準決勝へと進んだ。
「ミスズは次はあの富豪の娘との対決ね。」
「そうね、でも負けないわ。何がクサナギの設計者の娘よ。私のジェネラルでこてんぱんにやっつけてあげるわ。」