一回きりの
冷たい金貨の感触と一瞬の過ちが、消えない傷となって心に刻まれる。失ってから初めて気づく尊厳の価値と、闇の中に残された圧倒的な孤独を描いた物語
一回きりの男と寝た目的は勿論、お金だ
これは売春という立派な犯罪らしい。
差し出された金貨の冷たさに
男の薄笑いが重なる
「これで終わりだ」
向けられた背中はあまりに遠く
手に入れたはずの救いは
最初から牙を剥く罠だった
掌の金貨を握りしめると、金属の角が皮膚に食い込み、微かな痛みが走った。この数枚の輝きのために売ったものは、身勝手な誇りだけではなかったのだと、失ってからようやく理解する。
「待って」
擦り切れた声は、彼の足音にかき消された。振り返る気配すら見せない背中は、冷酷な現実そのものの厚みを持って目の前に立ちはだかる。
最初から、男にとって自分は気まぐれに買い叩かれた暇つぶしに過ぎなかった。金貨に手を伸ばした瞬間に仕掛けられた罠は、いま静かに、けれど確実に己の首を締め上げていく。戻れない夜の闇の中、残されたのは虚飾の救いと、汚れた手のひらの冷たさだけだった。
一瞬の誤ちが残す深い痛みを、言葉の端々に込めて綴りました。
手に残る冷たさと、拭えない孤独の重みが、少しでも胸に届いていれば幸いです。
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