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妖怪イヤイヤベイビーVS適応障害ブラザーズ

序章:謎の赤ん坊


適応障害ブラザーズ、**しん(37歳)とりょう(32歳)**は、妖怪母性強すぎ女との戦いを終えたばかりで、少しずつ落ち着きを取り戻していた。しかし、ある日、二人が暮らすマンションのドア前に、一人の赤ん坊が置かれていた。赤ん坊は真っ白な肌と大きな目をしており、泣きじゃくりながら「イヤ!イヤ!」と叫んでいる。


驚いた二人は赤ん坊を保護しようとするが、赤ん坊はどんなにあやしても泣き止まないどころか、「イヤ!」という言葉をひたすら繰り返して抵抗する。食事を与えようとしてもイヤ!寝かせようとしてもイヤ!まるですべてを拒絶しているようだった。


しかし、その夜から奇妙なことが起こるようになる。二人の部屋に謎の霧が立ち込め、物が勝手に動き出し、二人は幻覚を見るようになる。赤ん坊を置いていった張本人を突き止めようとするが、調べるほどに謎は深まるばかりだった。




第一章:拒絶の力


赤ん坊を保護してからというもの、しんとりょうは徐々に疲弊していく。赤ん坊が発する「イヤ!」という声には奇妙な力があり、二人の体力や精神力を奪っていくようだった。りょうは早く手放した方がいいと提案するが、しんは「誰もいないこの子を見捨てるわけにはいかない」と言い張る。


そんな中、近所の住人たちから二人に対する冷たい視線が向けられるようになる。住人たちは赤ん坊の泣き声に苛立ち、二人を避けるようになった。孤立を深める二人は徐々に追い詰められていく。


ある夜、赤ん坊が突如として言葉を話し始めた。

「イヤ!イヤイヤ!全部イヤだ!」

その瞬間、部屋の壁がひび割れ、二人の頭に強烈な痛みが走る。赤ん坊の正体は「妖怪イヤイヤベイビー」。あらゆるものを拒絶し、周囲のエネルギーを吸い取る存在だったのだ。


第二章:拒絶の連鎖


妖怪イヤイヤベイビーの力が強まるにつれ、しんとりょうは互いに不信感を抱き始める。

「兄さん、もう無理だ!この子を放って逃げよう!」

「りょう、お前はいつもそうだ!自分の都合ばかりだ!」


二人の間に亀裂が生じ、言い争いが絶えなくなった。妖怪イヤイヤベイビーはその様子を見てニヤリと笑い、さらに「イヤ!」と叫ぶたびに部屋が暗闇に包まれていく。


絶望しかけたしんは、一冊の古い書物を見つける。それは、過去に妖怪イヤイヤベイビーと戦った人々の記録だった。そこには、「イヤイヤベイビーに勝つためには、その拒絶を受け入れ、理解することが必要だ」と書かれていた。


第三章:理解への挑戦


しんは、りょうと再び話し合い、赤ん坊の「イヤ!」に込められた意味を探ろうと提案する。二人は過去の自分たちの体験を思い返し、自分たちもまた、周囲から期待されることを「イヤ!」と拒絶してきた時期があったことに気づく。


「もしかして、この赤ん坊も、何かを拒絶し続ける理由があるのかもしれない。」

「俺たちが受け入れられなかった時の苦しさと同じなのかもな。」


二人は赤ん坊に優しく話しかけ、その感情を理解しようと努める。しんが赤ん坊を抱きしめ、りょうがそっと微笑むと、赤ん坊の「イヤ!」という叫びが徐々に弱まっていった。


最終章:拒絶から共感へ


赤ん坊は泣き止み、ぽつりと言葉を漏らす。

「怖かった…全部が怖かったの…」


その瞬間、赤ん坊の姿は霧のように消え去り、部屋に静寂が訪れる。妖怪イヤイヤベイビーの呪いは解けたのだった。しんとりょうは、自分たちが拒絶してきたものや向き合えなかった過去の苦しみを再び見つめ直す機会を得る。



エピローグ:成長への一歩


二人は今回の経験を通じて、拒絶する気持ちもまた人間の自然な感情であることを学んだ。そして、相手の「イヤ!」を無理に変えようとするのではなく、まず受け入れることが大切だということを実感した。


「俺たちも少しは強くなったかな。」

「ああ、でもこれからもきっと迷うことはあるだろうな。」


こうして適応障害ブラザーズは、また一つ成長し、次の戦いに備えるのだった。


教訓:拒絶には理由がある。それを受け入れることが、真の共感への道である。

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