EP8-10
『準備しました……』
スマホをいじっていたレイは顔を上げて
「メイクして僕のガウンを着るのがプレゼント?」
と正解でも不正解でもない顔をした。
『違う…』
ベッドに座っているレイの目の前までそろそろと移動すると、レイが私の手をすくって指を絡めた。
『あの…レイに渡すプレゼント……』
と言いかけてる間も、レイは私を見上げたままガウンの腰の紐を解く。
パラッとガウンがはだけて、中を見たレイがポカンとした。
『プレゼントは……私でいかがでしょうか…?」
「……………。」
す、滑ったのでは…?
お願いなんか言って!!!
私の鎖骨を伝って肩を撫でてガウンが床に落とされると、
私の手首を掴んだまま彼はもう片方の手で目元を覆って肘をついた。
ため息ついてる…!顔が見えない…!
『い……いらなかったですか…?』
なんともか細い情けない声が出る。
「……要らないわけない。ありがとう。愛してるよ。お礼に僕の3日間をまりあにあげる。」
『…………!???』
おかしい!!
私は私の3日間を守るためにここに立ったはずなのに…!!
指の隙間から見えたレイの目は、
ギラギラと欲の熱を灯して私を見据えた。
別人みたいな引き絞るような鋭い目に、ひゅっと喉が鳴った気がする。
強い力で体を引き寄せられて、乱暴にベッドに押し倒される。
「ごめん、ちょっと力強かったよね?大丈夫?」
『だいじょ…ッ…!』
彼は別に私の返事を求めてないらしい。
その後の私は、彼からの大きすぎる重すぎる愛を全身に受ける代わりに、大人としての自制心とか自分を律する心とか我慢とかもろもろを失ってしまった。
そんな私を見てレイは心底楽しそうに私を弄んでた…瞳孔が開き切ったような目で…。
「こっち見てまりあ」
「可愛いね」
「ほら、寝てないでこっち向いて」
「声我慢できなくなっちゃったね。可愛いよ」
「どこに逃げようとしてるの、まだだよ」
何かを我慢したような苦しそうな声で耳元で何度も名前を呼ばれる。
片方の下唇をギリギリと噛み締めて眉間にシワを寄せた余裕の無さそうなレイを何度も見た。
下着を着たまま、ほぼ丸一日。
下着を少しはだけさせて、ほぼ丸一日。
全部投げ捨てられて、完全に丸一日。
気を失って寝てる時とトイレ以外は必ず身体のどこかがレイに触れているような3日間。お風呂も1人で入らせてもらえない。
あのレイの体に縛られて息もできないくらいの快楽を浴びると
ずっとこのまましていたい、と脳まで毒が周りそうになるのを理性で必死に繋ぎ止めた。
今まで生きてて一度も我を忘れるくらいのセックスを経験したことすらないのに、レイに自分勝手に翻弄されることに喜ぶ新しい私を発見した。
私をこうさせるのは今後一生レイだけであって欲しい。
レイをこうさせるのも今後一生私だけでありたい。
その目に私以外の女の人で熱を灯さないで。
朧気な意識の中で、
私はレイに必死にそうお願いしてたと思う。
何度も、何度も。
結局どう転んでも私の平和な3日間は完全に泡沫の夢のように消え去る運命だったのだ。
「心配しないで、まりあ。僕にはまりあだけだよ。まりあにも僕しかいないよ。」
意識を手放す最後…レイが抱きしめてそう言った。




