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2人のシェルター  作者: 倉るて
始まりのための終わり
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EP8-8




真夜中。



寒さで目が覚めて布団を手繰り寄せた。


バフッ、と効果音がなりそうなほど布団を被ると

布団に当たった何かがカタンッと音を立てた。



『…………?」




細く目を開けて、枕元を見ると見覚えのない小さい紙袋があった。






『………ん……』




寝る前の記憶を遡っても全く記憶にない。



下着屋さんの袋とも違う色をしてる。


ボーッとその袋を眺めていると

リビングに灯りが点いてることに気付いて飛び起きた。




駆け足で階段を降りるとそこには誰もいない。



『レイ…?』




だけど、リビングのクリスマスツリーの下にはたくさんのプレゼントが置かれてる。



レイの部屋の扉を開けてもどこにもレイの姿はないのに。





『なにこれ、夢…?』




サンタクロース…な訳もないし。




『夢だとしてもタチが悪すぎるよ…』




玄関に向かって辺りを確認しても、ただ寒くて何も変わらない空間が広がっているだけ。




全く理解できなくてツリーの前に戻ってボーッと立ち尽くしてると涙が出た。


スマホを見ても連絡は来てないし。





ただ体が冷えただけだった。



これはなんの冗談?それとも夢?


くるっとかかとを返してリビングの電気を消すと、侘しくクリスマスツリーが光る。




もう寝よう。


起きたら何もなくなってるんだろうし

中途半端に甘い変な夢から早く覚めてしまおう。




寝室に戻って、ベッドに入ろうとしたとき


身に覚えのある力で後ろから強く抱きしめられた。




『…………!?』



どこまでが夢?



「どのプレゼントも開けないなんて嘘でしょ?」




その声で勢いよく振り返ると、少し大人びて見える彼がいた。




『………レイ…!』




「ただいま。色々用意してたら遅くなっちゃった…ごめんね」





『レイ…だよね?あれ…夢じゃないよね…?』




「夢にしないでよ、まりあに会いたくて真夜中でも無理矢理帰ってきたんだから」



『どこにいたの?』



「まりあが起きた時、こっち側に立ってたんだけど声掛ける前にまりあ飛び出して行ったから…せっかくならびっくりさせようと思ってずっとここから見てた」



『意地悪〜…!!!』




「まさか泣くと思わないし、さらにまさかのどのプレゼントも開けないし、いつ出ていこうかと落ち着かなかったよ」



『プレゼントよりも先にこうして欲しかった…!』





「なにそれ…可愛い…。今日からはずっとこうするから。だからそんな泣きそうな顔しないで」




『ご飯は?』




「食べてきたし、なんなら帰ってきてからお風呂ももう済ませた」



2週間弱離れただけなのにレイがすっかり大人びて見える。




ぎゅーっとしがみ付くと、頭にキスされて仔犬抱きでベッドに下ろされた。




「メリークリスマス、まりあ。仕切り直したいんだけどいい?」




そして私が枕元に放置してた袋を手に取ると、中から小さい箱を取り出したレイ。




「これ何入ってるかわかる?」





どう見てもイヤリングとかとは違う指輪サイズの箱




『ゆ、びわ?』




「そう。」




外箱を外して、中から出てきたボックスをパカッと開けて中が見えるように私に向ける。





どう見ても今までの贈り物と違うのは一目で分かった。





箱には2つリングが入ってる。



片方のリングは

一際大きいダイヤとその両脇にもさらに一つずつ違うカットのダイヤがあるもの。


もう一つは

大きすぎないダイヤがぐるっと一周してるもの。




「僕たち結婚しよう。」




『そんな……』




「ヒョン達にももちろん会いに行ったんだけど、1番はこれが目的だったんだ。東京に行ったら物が大阪にしかないって言われて、そこから検品したあとに送るって言われたから自分で取りに行ったら時間かかっちゃった。」



2つとも私の薬指にはめると



「やっぱりピッタリだ。僕まりあの体の事で知らない事ないから」

 


ニイッと笑う彼を笑っていいのか、さすがと言った方がいいのか、少し怖がった方がいいのか。




「まりあの事は僕が1番に知ってたい。嬉しい顔をする時も、泣いた時も、怒った時も、今後一生僕がそばで1番に見守りたい。多分僕の愛は重いよ。自分でもそれは分かってる。」



そこまで一息に話したのに私の手を握って不安そうに困った顔で笑うレイ。




「月並みな言葉だけど、愛してる。まりあだけを。僕と結婚してください。」






喉の奥からぐいぐい込み上げてくる何かを飲み込んで




『はい…、もちろん…!』



と答える。




レイは泣きそうな顔になって、飛びつくように抱きついた私をギリギリと抱きしめた





「よかった……僕気持ち悪いところあるから断られると思うと怖かった…」




気持ち悪い自覚あったんだね…




「愛してるよ、まりあ。まりあだけをずっと。まりあがいない毎日なら生きてる意味ない。まりあもそうだと言って。僕以外にこうやって触れさせないって約束してくれるよね?あぁこのままどこかに閉じ込めて、まりあの髪となり肌となり血となるもの全部僕が『レイ!落ち着いて』…なあに?僕の奥さん。」




これは当分ダメだ。




「子供は何人欲しい?僕もいずれは欲しいけどまずはまりあと2人の時間を何十年か過ごしたいな。そうして朝も夜も時間を気にしないでずっとまりあを愛したい。一日中だっていいよ?あぁ、もう考えただけで今から幸せだね?」




何十年も2人で過ごしたら私もう子供産めない年齢じゃないかな…。



その猟奇的で閉鎖的な愛で幸せを感じられるのはレイだけだよ…


と言いたいけど、なんだかんだレイが幸せだと私も幸せになってしまうんだろうな。





『それもいいけど、私はレイと色んなところに行きたいよ。手を繋いで。近所だっていいし、少し遠くの国でもいい、まだ見たことない沢山のものをレイと見て、2人で共有したいな』





私がぎゅうっと抱きつくと、レイは必ずもっと強い力で抱きしめ返してくれる。




『レイと2人で過ごす時間ももちろん大好きだけど、いつかはレイとの子供も欲しいな。今は2人がいいけど』






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