EP8-3
駅の一時停車場に車を停めて、
『行ってらっしゃい』
と言うといよいよ寂しくなる。
「うん、すぐ帰ってくるよ」
『忘れものないよね?スマホ持った?』
「うん、持った。よし、行ってきます」
キャップを被ってサングラスを掛けると、レイは私の頭を引き寄せて触れるだけのキスをして車を降りてしまった。
『頑張れ…』
レイの姿が見えなくなるまで見送って、私も帰路につく。
家に帰るといつもの家がすごく広く感じた。
『私…この家で1人の夜って初めてなのか…」
レイがくれたコーヒーマシンでコーヒーを淹れて、キッチンから部屋を見渡す。
帰るよと言われても不安なものは不安なのだ。
もう会えなかったらと思うと。
やっぱり韓国がいいなって気付いたらと思うと。
2度と会えない訳じゃないのに、変なの。
レイの居ない毎日は長かった。
誕生日にはお兄ちゃんとヒロがウチに来てお祝いしてくれた。
「え、レイ東京に行ったのか?まりあの誕生日に?」
『私の誕生日とかはどうでもいいんだけど、10日からメンバーが日本で仕事らしくて…ケジメ付けるって行ったよ。』
「ほおー、いよいよ…なのかな」
『うん、そうだね』
「プレゼントも渡さないで行ったの?彼氏失格じゃない?」
「あの男がプレゼント無しはないな…何か企んでるよ絶対」
「えぇ?なにその肩持つ感じ。星兄はどういうつもり?」
「いや、触らぬ神に祟り無しって覚えておけ」
「なにそれ」
「お前はあの子の恐ろしさ知らないだろ?だったら知るその日まで何もするな」
ヒロとお兄ちゃんは何やらこそこそ話して2人で頷いていた。
「そうだ。あの子いないなら俺がクリスマスツリーだそうか?」
『え!??ほんと!?助かる!!重くて持てないから今年はもう諦めてたの〜!!』
「やろう。毎年楽しみにしてただろ」
『やったー!!!』
お兄ちゃんと洸とツリーを出して、洸が作ったバースデーケーキを食べて楽しい誕生日になった。
レイが帰ってくるまでまだまだ先は長いけど、なんとなくやっていけそうな気がする。……かも?
どうしてーも寂しいときは、レイの部屋で寝たりもしたけど




