EP7-12
首、鎖骨、胸はもちろん
脇の下の胸横、二の腕の内側至る所に赤い跡があった。
胸と腕の内側に関しては噛み跡まである。
わ、わ私……レイにこんな愛され方してたの…
そして浴室に入ると、低い位置にある浴室の鏡に写った腹部より下を見てさらに驚愕する。
足の内側の足の付け根ギリギリの位置、内腿にも噛み跡とキスマークがたくさん付いてる。
噛まれた瞬間の記憶がない。
多分噛まれる以上の何かをされてたか…、
あるいは普通に意識がなかったか。
鏡の前でくるくる回って体を見て、
顔を赤くしてる私はさぞ気持ち悪いだろう。
お風呂を上がってレイの寝室を覗くと、寝ぼけたようなレイがベッドに座って片足を下ろしていた。
筋肉質の体が刺青でところどころ埋め尽くされてる
『レイ…?起きた…?』
「まりあ…?」
掠れた低い声で名前を呼ばれて部屋に入ると、レイが手を差し出した。
私はその手を握り返して、
『ねえ…あの…今日はこのベッドじゃなくて…私のベッドで一緒に寝ない…?』
レイは歯切れ悪く言う私の言葉で、振り返って荒れたベッドを見た。
「ああ…」
ああってやめて。
『私もうお風呂済ませたから、レイも入ってきて。私シーツ洗濯するから』
「ふふっ…」
なぜ私が恥ずかしそうにしてるのか察したレイが笑う。
立ち上がって私にキスすると、
「可愛かったよ。」
と言い残しレイは寝室から出て行った。
恥ずかしさで死にそうになりながら寝具を外して、散らばった服を集める。
いいもん、いいもん、いいもん、いいもん!
恥ずかしいけど後悔はしてないんだ!!
『でも…恥ずかしさで死にそうなことには変わりないんだよなぁ〜…』
情けない独り言が漏れる。
トボトボ洗面所に向かって、洗濯機を回す。
レイが出てくる前にそそくさとリビングに戻ってお水を飲んだ。
『私…一生恥ずかしいままなの…?んもう…!優ちゃんのバカぁー!!!』
優ちゃんは何も悪くないのに。
スマホを開くとたくさんLINEが来ていた。
全部優ちゃん
【大丈夫?ちゃんと話せたでしょ?】
【ちょっと、落ち込んでるんじゃないよね?】
【スタンプくらい返信できるでしょ?】
そのあとに
電球が光って何かを閃いてるスタンプ。
【ははあーん?もしかしてぶつかり稽古中?あらやだ、だとしたらもう私ったら気がきかないんだから…!】
ぶつかり稽古ってやめてよ…!
恥ずかしさと面白さでおかしくなる。
その後も
【お稽古終わった〜?】
【ちょっとやだ、お稽古長くない?何回お稽古してんのよ】
【お利口さんでお稽古終わるの待ってます♫】
ずっと優ちゃんだ。
なんでお稽古終わるの待ってるの…
問いただす気マンマンなんだきっと…。
【え〜、もう22:30なんだけど。お稽古熱心すぎない?】
最後はうさぎをボコボコに殴ってるクマのスタンプで終わっていた。
ピコン、と携帯が震えて
【既読ついたな?】
と優ちゃんのメッセージが追加された。
『ひぃ…!!』
【落ち込んでたのか、お稽古だったのか答えなさい】
お稽古でしかないけど言うのは憚れる。
『後者です、送信…と』
【ふぅーん?熱心なお稽古だったみたいね。近々2人で来なさい】
「誰?それ」
いつのまにか背後に立ってたレイの声にびくっとする。
『ゆ、優ちゃん…近々2人で店に来いって…』
「これなんて読むの?」
レイが指差した先は【稽古】だった。
『これは…けいこって読むの…』
「…ってなに?」
『習い事とか…そういうやつ…』
「なんで稽古?まりあ何かやってるの…?」
完全なゲイのスラングなのに、この子になんて言えばいいの…
『私も詳しくわからないから、お店行った時に優ちゃんに聞いてみて…?』
私の顔をジーっとみて「ふーん?」と言う。
『お願いもう何も聞かないで…』
視線に耐えきれず、顔を隠すように抱きつくとレイは笑った。
「わかった、まりあは言えないことなんだね。さっきまでは『やめて…!』…くっくっ」
何かを言おうとしたレイの口を咄嗟に押さえて『もう寝る!!!』と言うと
笑いながら「一緒に寝ようよ」と仔犬抱きで私を抱き上げた。




