EP7-6
「んもうまどろっこしい、一発やってセフレにでもなっちまえばいいのに」
誰かにもおんなじようなこと言われたな、しかも昨日。
『やめて。』
「でもさーあ、手慰みの女にブレスレットとかあげる?ただあげるならまだしも、自分も買ってお揃いにするなんてさ」
確かに。
「もしただのセフレならそれっぽく取り繕って、そいつの分だけ買ってぬか喜びさせればいいんだからさ。自分の分まで買う必要ないよね?」
その言葉の意味を考えた
「そしてアンタは、ボーダーラインと相手の意思を明確にしてくれなかったことに拗ねてブレスレットを置いてきた、と。めんっどくさ。あんたがなんぼのもんじゃい」
『ねえ。味方だよね?』
「は?違うし。てかさあー。そんなにボーダーがどうのこうの言うなら最初から触れ合わなきゃよかったじゃん。それであんたが被害者面するのおかしくない?むしろ相手は段階踏んでくれてるように思うんだけど」
『……ッ』
優ちゃんにガミガミ言われるまでレイの優しさに気づいてなかったのが情け無い。
優ちゃんに言われて気付いて目頭がまた熱くなった。
「もし私があいつの立場で悪だとするなら、普段手なんて繋がないし夜だけ優しくするよ。」
そう言われて、靴を履かせてくれたり髪を乾かしてくれた
レイの甲斐甲斐しい行動の数々を思い出して涙が出てくる。
「はあ?生理痛?だる!って言うね、私がクソ男なら。でもあいつはわざわざ起こしに来て、おぶって、アンタが仕事中に薬やらなんやら買って、寝返りも打たずにずっと腕枕して抱きしめてくれた、と。それなのに理由足りないんだ?ふーん。あんたも随分と偉くなったもんだねえ」
『おうちにかえる…』
「さっさと帰れバカ!ウジウジ鬱陶しい!心配して損した!ほんっとバカで可愛いんだから。手のかかるバカ女。」
『優ちゃんごめんねえ〜!ありがとうねえ〜ッ!!』
「あー!うざい!抱きつかないでよ!!そんっなに大切にされてるくせに調子乗って甘えてんじゃないわよ!!」
優ちゃんはハンドルを切って、私の家まで車を走らせてくれる。
後部座席から出てきた沢山のアパレルの袋を手渡されて、優ちゃんは帰って行った。
『ふぅー…!』
一息ついてから家に入っても、家から人の気配がしない。
レイの部屋からも物音一つしない。
コンコンとノックして
『レイ…?』
返事もないし、そーっと扉を開けてもそこにレイの姿はなかった。
胸騒ぎがする。
出て行った…?どこに…?
キャビネットの中にはレイのパスポートが残っててホッとしてる自分がいた。
ブーっとテーブルの上の携帯が震えて、急いで手に取ると
【連絡おそくなったけど、今レイ借りてるから。あと送り届ける】
とお兄ちゃんから連絡が入った。
『なんだよぉ〜、先に言ってよ…』
なんでそうなってるのかは知らないけど
今晩はレイが好きなもの準備しよう。
夕飯はカレー。
前に喜んで食べてたヨーグルトのサラダも作ろう。
料理してる間に考えるのは優ちゃんの言葉。
レイがこれまでにしてくれたこと。
私がレイに求めすぎてたこと。
全部反省するし、
私はもうとっくの昔にファンの好きを飛び越えてたんだなって自覚させられた。
もうレイが私をどう思ってるかは置いておいて、
レイが私を大切そうにしてくれるだけで、大切にされてるって思い込むことにする。
夕飯の支度が終わって、レイの帰宅を待ってる間にテレビを見ていると電話が鳴った。
『珍しい…どうしたんだろ…』
通話ボタンを押す
『はい、もしもし』




