EP7-5
レイに声もかけずに家を出て、
優ちゃんの車に乗り込むと優ちゃんは
「ボコボコにしようか?私とたっちゃんであいつのこと」
と満面の笑みで肩を回していた。
『違う違う、やめてよ!私も悪いの!』
「まりあを泣かせたってだけで許せないんだけど。」
私がシートベルトを付けたのを確認すると車を発車させる。
『はあー…』
また深くため息をつくと涙が出そうになった。
「なに?喧嘩?」
『うん…喧嘩…なのかな…。レイ怖い顔してたもん…っ』
自分で言いはじめたのに、思い出して涙が出る。
「やめてよ!泣かないでよ〜!!」
優ちゃんは"んも〜!"と言いながらティッシュを差し出してくれた。
『あんなふうな態度されたことないのにっ…』
「まじムカつくんだけどあの男!何様ァ?」
お〜ヨシヨシ と高い声で言いながら私の肩をさすって優ちゃんが続けた
「なに、なにがあったの?」
『最近…わたしもレイとの距離感がわかんなくなっちゃったのね…?』
「うんうん?」
『それで…私が少し怖くなっちゃって…。距離感のボーダーラインをしっかりしなきゃって思ったの。』
「ねえ〜!泣くのやめてよ〜。アンタ泣いてると私まで涙出るんだからァ〜」
そう言った優ちゃんはほんとに泣いてた。
『ねぇー!なんで泣くの〜…!!』
「ねぇ〜、あんたでしょ〜!?」
2人でねぇーねぇー文句言って少し笑って元気が出た。
とにかく私が優ちゃんに伝えたのは
ボーダーラインが分からなくなって好きになっちゃうのが怖かったこと、勘違いしてレイに甘え切ったりしたくないこと、一般人と芸能人の違いがあることを全部話した。
「なんでそれをあいつに伝えなきゃって思ったの?なんか変に体触られたりしたの?」
『違う、触られたとかそういうんじゃなくて』
ここ最近のレイの距離感に戸惑ってたことを話すと、優ちゃんが"やばーい!"と騒ぎ始めた。
「え、そして?朝起きたら同じベッドで好き好きホールドされてたってこと?やばいんだけど!!!」
『その言い方やめて!』
ドライブスルーでコーヒーを買って、あてもなくドライブが続く。
「そしてアンタはそれが嫌だったの?何様?」
今度は私に矛先が向いた。
『なんで!?怖いじゃん、手慰みでって感じだったらどうするの?私だけ馬鹿みたいに好きになるんだよ?』
「うん、でもアンタ恋愛に関してはもともとバカじゃん。」
なにこの人。全然味方してくれないじゃん。
「バカみたいに好きなることのなにがダメなの?」
『えっ…?』
「永遠の愛の方が珍しいんだよ、この世の中。どうせダメになるなら今だけでも甘い蜜吸ってたらいいじゃん」
『なにその斬新な考え』
「いっぱい可愛がられて何も知らないふりして流されてたらいいじゃん。どうして行動に理由を求めるの?ほんっとバカらしい。女ってバカだよね。」
『え、ゆうちゃんって女の敵なの?』
「ウチらのゲイの世界って一期一会のぶつかり稽古ばっかりなんだから。2回目の稽古組めたら奇跡、3回目は運命ってくらいハードル低いのよ。あんたの身体での一回のsexにどんだけ価値あると思ってんのよ」
言い過ぎだしオブラートも何もあったもんじゃない
『だってもし、その一回でこの上なく幸せを感じたのにそれでおしまいって辛いじゃん…』
「一回が地獄のパターンもあんのよ?一回でも天国見れたならいいじゃん」
なんかすごい納得させられてる。
「ましてやあんな世界で人気のアイドルとsexできる女何人いるの?やれるだけラッキー、触られるだけラッキー!の気持ちで黙って流されてなさいよ」
『ねえ、そのsexってやめて!』
「おだまり」




