EP7-4
食事を終えて店を出ると
「レイ、まりあの誕生日何あげるの?」
「………!!??」
誕生日!?
「い、いつですか!??」
「何も聞いてない?12/12なんだけど。俺ら兄弟もそれぞれ準備するから被らないようにしよう」
全然知らなかった、クリスマスのことは考えていたけど誕生日だったなんて…。
「俺は今日買ってしまおうかな…まだ時間あるなら付き合ってくれるか?」
「行きます…!」
お兄さんに連れられて百貨店に到着する。
「お兄さんいつも何にしてるんですか?」
「俺はあんまりよくわからないからな〜。まりあの写真見せて店員さんに選んでもらった化粧品とか、流行りのもの調べて贈ってる。」
「弟さんは?」
「あいつはシスコンだしまりあの好み熟知してるから。洋服とかバックとか贈ってるね。」
そう言って苦笑い。
新たな敵が増えた気がした。
「百貨店じゃなくて家電量販店にすりゃよかったかな〜…」
と言いながら店の中を進むお兄さん。
「なんでですか?家電量販店」
「まりあコーヒー好きだから、コーヒーマシンとかいいかなーと思って。」
「それなら僕がもう…」
「え!?もしかしてもうあげた?なんで!?」
「欲しそうに悩んでたからです」
「大きいやつ?簡易的なやつ?」
「えっと…」
そう言って購入履歴からコーヒーマシンを出してお兄さんに見せた。
「いち、じゅう、ひゃく……え!?これ!???」
「これです、色は黒ですけど」
「なんの日でもないのに!?これあげたの?!」
「なんでもない日ですけど普段のお礼もあわせて、です」
「値段中古車じゃん…。すごいな」
お兄さんはまた「すごいな」と小さい声で言って店を進む。
まりあが好きなものってなんだろう。
勝手に似合いそうなものを贈ってたけど、彼女にも好みがあるんだった。
「なあ、レイ。あれ。」
「………?」
お兄さんがどこかを指差して、そのお店に吸い込まれるように入って行く。
「このブレスレット、レイが今つけてるやつに似てるんじゃない?」
ガラスケースの中の商品を指差す。
「そうです、ここで買いました」
お兄さんは信じられないというようにケースの中のそれと僕の腕を交互に見る。
「あと…これです」
「………?これがなに」
「まりあが付けてるやつです」
「あいつも持ってるの!?は?お揃い?」
「そうです、お揃いです」
「何ニコニコしてんだよ、怖いよこの金額。あいつジュエリー買わなくなったのにまた買うようになったんだ。」
「あ、いや」
「え、なに…?怖い。聞きたくないんだけど…。まさか…」
そう言って恐る恐る僕を指差してきた。
「はい、僕です。勝手にお揃いで買いました。」
「まりあは受け取ったの…?」
「怖いって嫌がってました。」
「いやいや、そうだろうよ…!だって好きとも言わずに贈ってんだよな?」
驚愕の顔をしながら僕を見てくる
「それもうまりあの事好きじゃん…」
「そうです好きですよ?」
お兄さんは頭を抑えてため息をついた。
「どういうつもりで渡したの、こんな高価なもの。ましてやお揃いなんて」
「僕が贈ったもの身につけてくれるのが嬉しくて…です。
あわよくば僕がいなくてもブレスレット見るたび僕のこと思い出して欲しいですし。でも最近は長袖を着ると隠れてしまうのでそうなると見えないなあ〜とは思ってたところだったんです。もっとちゃんと見える場所のものにしようって考えてました。ネックレスも良いんですが首輪みたいで重いかなと思ったり、ピアスだと髪で見えないし、んじゃそうなると指輪…「ストップストップ!!落ち着け!!」…落ち着いてますよ?」
「指輪ってなったらそれはちゃんと筋通さないと。どういうつもりであげるのかは知らないけどさ。まあ多分婚約指輪というよりただのペアリングなんだと思うけど」
「帰ったら筋通します。絶対。婚約指輪はダメですか?ペアリングなら良いんですか?とは言っても僕の刺青だらけの手とまりあの手に合う指輪なんてありますか?指輪のサイズなら目測でも自信あります。ほぼ毎日手繋ぎますし、多分僕ほどまりあ「それやめろって」…どれですか?」
「その瞳孔開いた感じでまりあのこと話すのやめろ。なんでまりあがそんなにトリガーになってんだよ…」
「お兄さん。」
「…なに」
「恋って幸せだけど、苦しくて辛いって知ってました?」
「何言ってんの?」
胸を抑えてため息つく僕に心底引いたような顔をしたお兄さん。
「あ、これ、まりあに似合いそうです。」
「聞けよ人の話。」
「僕、まりあの誕生日指輪にします」
「今までの話聞いてたか?」
「帰りましょう、まりあがすでに帰ってるかもしれません。今日はお兄さんにまりあの事話せて嬉しかったです。僕にはまりあのことを共有できる人が必要だったみたいです。」
「…………うん、ソウダナ。」
「連絡先交換しましょう。僕にはお兄さんのチカラが必要です」
「人の話も聞かないやつが誰の力も必要なわけないだろ…。」
ぶつぶつ文句を言いつつもお兄さんは連絡先を交換してくれた。




