EP6-13
【あのね、いまちょっとまずいことになってる】
そう送るとすぐに既読が着いた。
−【??まずいこと?】
【友達にレイと歩いてるところ見られてたみたいで、一緒にいたのは誰かって問い詰められてる】
−【なんて言ったの?】
【言えないから困ってる】
−【なんで言えないの】
【レイは活動休止中のアイドルでしょ!なんて説明すればいいの?】
−【《そのまま活動休止中のアイドルが彼氏です、って言えば?》】
すごい早く返信きたと思ったら韓国語で帰ってきた。
『……かっ…!!?』
彼氏ってなんだ彼氏って…!!
そしてすぐ
−【《その友達のこと信じてるなら嘘つかないでそのまま話したらいいよ》】
と案外冷静な返信。
『わかった。友梨には話すよ…。あのね…話すと長くなるんだけど…』
そうして今日までの、事の顛末を全て話した。
「え?いや、え?……え?レイってまりあが好きなあのレイ…?え??」
友梨はオーバーヒートを起こしてる。
『だよね、わかるよ。それが普通のリアクションだよね』
「理解した…。いや、してないけど理解したことにしよう、ひとまず。」
友梨はグラスのお酒を一気に煽ると、一息ついて
「まあ、まあ…うん。すごいとんでもない縁があって今まりあの家にいる…と。」
「付き合ってるんじゃなくて、居候なのね…?」
『そう』
「じゃあなんで手繋ぐの…ッ」
友梨はそこまで言ってドンっと悶えるようにテーブルを叩いた。
「どういった経緯でこうなったんですか?どうお考えですか?」
『えーと…手繋いでいることに関して言えばなんですけど、この写真の時だけではなく外出中はずっと繋いでおります……』
「ふぁ!?!?もしかして…あなた無理矢理!!??」
『待て待て、なぜ私が狼の襲う側前提なの』
「彼にはまりあと手を繋ぐメリットがないから。」
デカ目のナイフでしっかり胸を抉ってくる。
『家を出た時に手出されるから握ってるだけです』
私の言葉に目ん玉が落ちそうなくらい目を見開いた。
「無理無理無理無理!私べつにそのグループのこと知らないけどそんなことされたら無理!!!」
胸をぎゅっと抑えて女の顔をしてる。
なんともなく手を繋いでいたけど、友梨の言葉を聞いて客観視するととんでもないことをしてると気付いて顔が熱くなった。
「なにいまさら顔赤くしてんの!とんでもないよ!!ねぇ!!?」
『やめてやめて、急に恥ずかしくなってきたから!』
「どんな感じで手出してくるの?」
私は顔をパタパタ仰ぎながら冷静にその時のことを思い出した。
『どうって、わかんない普通に…』
「うっざ!その顔うっざ!」
私がどういう顔をしてるのか分かんないけど、顔に血が集まってるのはわかる。
熱くなっておしぼりに手を伸ばすと、友梨は私の腕を掴んだ。
「なにこれ。」
友梨はそのままぐいっと袖を押し上げてブレスレットを丸出しにした。
「成美にごちゃごちゃ言われてからアクセサリーなんて付けてなかったじゃん。しかもこれ…」
おしぼりをサッと取って腕をテーブルの下にしまう。
「吐きなさい。自分で買ったんじゃないでしょ、それ」
そこまで言ってハッとしたようにまたスマホをいじって、わなわなと口元を抑える彼女は名女優と言えるほど感情表現がすごい。
「やだ…クラクラしてきた…」
ガクンッと項垂れたあとに、ずいっとスマホを見せてくる。
画面はレイの手を拡大表示していて、そこにはお揃いのブレスレットが写っていた。
『くっ……』
私も言い逃れできないその写真を見て、
考えていた言い訳を捻り潰されたことに項垂れる。
「どっちが買ったの」
『あの子が買いました…』
「ねえ、ちょっと待って…靴もお揃いって言わないよね…?」
額を擦り付ける勢いで画面を見つめる友梨。
『私がその靴履いた日に、あの子が合わせて履いてきてたの!私が強要したんじゃない!!無罪を主張します!!!』
「うっっっ……」
うっぜぇ、と言おうとしただろ。
何言おうとしたかわかるんだからな、顔で。
「待ってやばい女性ホルモンめっちゃ出てきた。え、私胸おっきくなってない?」
『ううん平らだよ』「ころすぞ」
「そのお揃いはなに?どういうつもり?!舐めてんの?」
『舐めてないよ、すぐ喧嘩腰になるのやめて…!32歳でしょ…!』
「だめだめ、分かんない。今日はもうこのあと何言われても頭入ってこない。」
『………わかる』
「わかんないだろ」
ふぅーー…
と2人で長めのため息をついた。




