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2人のシェルター  作者: 倉るて
明々白々
66/121

EP6-10




夕飯とお風呂も終えて温まった体は、すっかり回復して普段通りになった。





『そういえばあれやらないの?』




「………?」




先にソファに座ってコーヒーを飲むレイの横に座って、少し前に買ったゲームの袋を指差した。





「《ああ、そうだ。まりあが大号泣したからそれどころじゃなくなったんだった。》」





私の恥ずかしい過去をわざと掘り返すように言うレイ。



部屋からゲーム機を持ってきて、袋からは私に買ってくれた可愛いセットも出してくれた。






『これやる!?』



「うん、やろうかな」




謎の感染症が蔓延する街を探索する新米警察官のホラーゲームを指差して聞くと、時計の時間を確認してそう答えるレイ。



『そしたらそのリモコンのグレーのボタン押してみて!』




振り返ったレイがリモコンを見つけると言われた通りにボタンを押した。



少しの機械音が聞こえてキョロキョロするレイの背後に大きいスクリーンが降りてくる。





「《なにこれ…!》」



珍しく少し興奮してるレイがスクリーンをまじまじと見つめて、私を振り返った。




『レイのライブDVD見るために、本気鑑賞セット作ったの!これでゲームやって!』




彼はゲームを立ち上げてコントローラーを持って私の隣に座ると、私の足元を見たあとに何かを探し始めた。


そして少し離れた場所に置かれた膝掛けを見つけて引っ張ると、私に掛けてくれる。



『大丈夫だよ、ありがとう。優しいね』




「あれは?」


と手で丸いジェスチャーをされた。



あれとは充電式の湯たんぽのこと。





『あるよ』



腰に当てていた湯たんぽを出して見せると、頷いて隣に座り直した。






スクリーンの両サイドにスピーカーが降りてくると、レイは感動してるみたいでなんか可愛いかった。





自分のゲーム機にレイが買ってくれたシリコンのグリップカバーを装着して、さらにレイが買ってくれたスタンドに立てかけて、動物だらけの島のゲームをつけた。



スクリーンではホラーゲームのオープニングが始まっている。





『すごいリアルだね、怖いかも』




「久しぶりにこのシリーズやるけど、すごいね」




スクリーンがよく見えるようにダイニングの電気を消すと、余計に没入感が凄い。




『怖い?緊張する?』




「どうだろ?久しぶりにやるから少し怖いかも?」





そうは言うけど淡々と始めて、淡々と探索してる。



私はレイの画面に夢中になりながらも少しずつ島開発を進めた。







私も島開発に集中し始めた頃、突然大音量で聞こえたゾンビの叫び声にびっくりして体が跳ね上がった。



『わぁ!?』



「………!?」




ゲームをやっていたレイじゃなく、隣で違うゲームをやってた私が飛び上がったことでレイが驚いて私を見た。




『ご、ごめん…』



レイは私が驚いて落としたコントローラーを拾いながら笑いを堪えてる。




『だって…私も集中してたのに突然おっきい音したから…』




多分顔を真っ赤にしながら言い訳する私。




レイの手からコントローラーを受け取ると、いよいよレイが吹き出した。





「ごめんごめん、僕のゲーム音大きかったよね」



大人の対応をされて余計に恥ずかしくなる。




『違う、大丈夫!やめて!音量変えなくて良いから!』




リモコンを持とうとした手を止めると、レイはそれを置いてひとしきり笑った後




「《なんでそんなに可愛いこと繰り返すの?わざと?》」



なんて大人っぽく微笑んで言った。




思い出し笑いしながらもまたゲームに戻るレイ。





可愛いと言ってるけど全く褒められてる感じがしない。






その後も


「大きい音でるかも」


とか


「心の準備して」


とか合間で注意喚起されるたびに恥ずかしくなった。









ウトウトしながらゲームを見てると




「そろそろ寝ようか」



と言われて、リビングの電気を消して各々の寝室に向かう。




部屋に向かう途中、



「まりあ」



とレイに名前を呼ばれて腕を掴まれたけど

レイはそのあと少しの間を開けて「おやすみ」と短く言った。





『………?おやすみ、また明日ね』




と返して、そのまま部屋に入っていくレイを見届けた。







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