EP6-8
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「連載は好調ですね。原稿も何本か先の分までもういただいてますし…」
とタブレットを見ながら担当者が言う。
「あ、次巻の表紙ももう頂いてたんでしたね。作業ペース上がってますけど何かあったんですか?」
『今ちょっと人を預かっていて…その子と生活してたら規則正しい毎日になったので作業時間が明確に確保されたのもあるかもです!』
「なるほど〜!よっぽど大切にお預かりしているお子さんなんですね。先生が生活リズム正すほどだなんて」
"お子さん"と言われて飲み物を吹き出しそうになった。
さっきの別れ際の悪態はお子さんそのものすぎる。
確かに少し前の私の生活は褒められたものじゃなかったから自覚させられて驚いた。
そして今日の打ち合わせは今後の年間計画とかだったのもあって、あっさりと終わった。
レイに【間も無く終わるよ〜】と連絡すると
【もう近くにいたよ】と返事があった。
「では、また年末によろしくお願いします」
『はい、ありがとうございました』
「うわ〜、なんですかあれ」
担当さんが店の外に何かを見つけた。
「ファイナルファンタジーに出てきそうな綺麗な男の子じゃないですか」
その表現に思い当たる節があって急いで窓の外を見ると、外のガードレールに腰掛けてスマホをいじるレイがいた。
「美男子は絵になりますねえ」
『あははは〜…』
「では、出ましょうか」
促されて少し気まずいままカフェを出ると
レイは私を見つけて立ち上がった
「ん?」
担当さんがそんなレイを不思議そうに目で追う。
「終わった?お疲れ様」
私に声を掛けたレイに驚いて、私とレイを交互に見て何も言わない担当者。
『うん。今終わったところ。こちら担当の後藤さん。一緒にお仕事してるの』
後藤さんが気まずくならない様に彼を紹介すると、意外にもレイは大人らしく挨拶した。
「いつもお世話になっております」
「いえいえ、こちらがお世話になっているばかりです…!先生恋人いらっしゃったんですね…!」
『あ、いや恋人ではなく…』
「わたくしはこれで失礼致しますので、お2人でごゆっくりお過ごしください」
そそくさと立ち去ろうとする後藤さんに笑顔を向けてまた会釈するレイ。
「ひぃ〜…あんな美男子が僕を冷たい目で睨んでるのに恋人じゃないなんて無理がありますよ先生…」
まりあから離れた場所で独り言をこぼす後藤。
「先生は気付いてなくてもあれはもう完全な敵対心だ…」
そんな後藤のことなど知りもしない2人は
「担当って男の人だったんだ」
『うん、ずっとあの人』
「ふーん」
『な、なに?』
「何も?」
何もなくはないような感じだけど
レイが何もないと言うなら何もないということにしておこう…




