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2人のシェルター  作者: 倉るて
明々白々
63/121

EP6-7




それは見た事ない靴。もちろん私のじゃない。




でも女物の形をした、かかとの高いローファー。

そして見たことあるブランドのエンブレム付き。




『なに、これ』




「前に僕が履いてるローファー羨ましそうに見てたから」




『え、買ったの?』




「うん、少し前にね」




『私に?』




「当たり前じゃん」




甲斐甲斐しく足元にしゃがんで靴を履かせてくれようとしてるレイに頭を抱えた。




『はあ〜…私にお金使わないでよ』




「僕のお金は僕がどう使うか決めるからいちいち怒らないでよ」




私の言い方を真似して言い返してくる。



しかもサイズもピッタリだ…




「可愛いね、似合ってるよ」



私の靴下のくしゅくしゅまで調整するレイに笑ってしまった。



こんな甲斐甲斐しいの?


でもやってやってる感も出してる訳でもないしレイの中では当たり前というか普通なんだろうな〜と、目の前にいる末っ子丸出しの男の子がとても可愛いく思えた




「《何が面白いの?》」



少し拗ねたようにして見上げる彼の頭を撫でて



『《お利口さんだね〜》』


と笑った私の手を不満そうに振り払われる。





外で止まっていたタクシーに乗り込んで行き先を伝えたら、レイは着ていた上着を脱いで私に掛けてくれた。




「着いたら起こすから」



レイの手が私の頭を引き寄せて、自分の肩にもたれかかる様に促す。




『ありがとう、おやすみ…』








30分ほど車に揺られて、レイに起こされた時には大分スッキリしていた。





タクシーを降りて、当たり前の様に繋がれる2人の手にはお揃いのブレスレット。



そして足元を見ればお揃いのローファー。




君も今日の靴合わせてきたんかい…




年甲斐もなく、

自分より年下でなおかつイケメンで高身長ハイスペックアイドルとお揃いしまくってる事にとても恥ずかしくなった。



いやこれは言い訳をするのであれば

私からお揃いを強要したのではなく、準備されたものを身につけていたら全部お揃いだったんです。


誰にも届かない言い訳を1人で悶々と考えてはたと気付いた。


この子、洸の幼少期よりもおねえ好き好きが強いかもしれない。




涼しい顔して歩く横顔は少し色っぽくなった様に見えた。







『私あのカフェで打ち合わせだから』



少し先のカフェを指差して繋いでた手を離す。





『いい?買い物してもいいけど私の物は買わないでよ?自分の欲しいものを買いなさい。分かった?』



「終わる頃に連絡ちょうだい。迎えにくるから」



『ちょっと、分かったの?お返事して』



「《ほら、行ってらっしゃい》」




うるさい母親を追い出すようにくるっと体を反対に向かされた。




『分かったの?!変なお買い物は禁止だからね!』




背中を押されながらも念押しすると、レイはやれやれとでも言う様に首を振ってヒラヒラと手を上げた。




『なっにあの反抗的な態度…!』





でもああやって前のレイみたいに悪態をつけるほど回復したのはとてもいいことだ。



ガミガミうるさい私を側から見たのを想像して、自分で馬鹿らしくて笑いが出た。






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