EP6-1
明々白々
『いっぱい歩いたねえー!』
車の後部座席に買った物を積んで、時計を見ると17:30。
『そしていっぱい買ったね』
レイは少し不満そうに
「あのネックレス買わなくてよかったの?」と言う。
あのネックレス、とは通りがかりにチラッと見えた飾られていたネックレスのこと。
そんな簡単にポンっと買うようなブランドじゃないし、
金額だって想像もつかないようなものをなぜ買うと言うのだろうか…
少し苦笑いして
『ああ言うのは頑張ったり、特別なプレゼントにするときに買う物だから。日常のお買い物で即決で買ったりする物じゃないの』
「だから僕が《普段の感謝の意味も込めて買おうと思ったのに》」
『どうして年下のレイに買ってもらわなきゃないの。そのお金は私にじゃなくて、いつか好きな人が現れた時に買うために取って置いて」
「あれ一つ買ったくらいでお金無くなるわけじゃない」
少し拗ねた様に言う。まさしく末っ子丸出しだ。
『君にはお金の教育が必要だね。』
指を差して言うと
少しため息をついてやれやれ、とでも言う様に首を振って車に乗った。
伝えるのを諦めたような…そんなような大人びた呆れ方。
『なんなのあの態度…小さい時の洸みたい』
私も運転席に乗り込むと
「買ってあげるって言ったのがゆうちゃんでも断る?」
『えっ?』
また優ちゃんだ。
何があってそんなに優ちゃんを引き合いに出すんだろう。
『ゆうちゃん?なんで?まあでも…優ちゃんなら貰うかなあ〜』
笑いながら言うとレイは、信じられないとでも言いたげに私を見ていた。
『な、なに?でも万が一にも優ちゃんはくれないよ』
いまだ笑ってる私に何も言わないレイは少し変だった。
『ねえ、どうしたの?なんか拗ねてる…?』
「別に、そういう訳じゃない…」
そんな綺麗な顔して拗ねたところで可愛いだけなのに。
「じゃあ、まりあが今度そういう頑張ったときのもの買う時は僕に買わせて」
『どうして?自分で買うよ』
「だめ。僕に買わせて。絶対」
そんなに私に恩を感じて返そうとしてくれてるなんて思ってもみなかった。
別に良いのに。私だってまさかこうして推しを助けられるとも思ってなかったんだから。
帰宅して買ったものをしまっているとレイが後からキッチンに入ってきた。
『今日は煮込みラーメンにしようと思うんだけどどうかな?』
「うん、嬉しい。あれ好き。」
『上の棚からお鍋取って〜』
こき使ってるようで申し訳なくなるけど
家に男手があるといいなあ〜なんて思う。
高いところの物取るのにも踏み台いらずだし。
取り出した鍋を私が言う前に水洗いするレイ。
家庭的になっていくのがなんか可愛いな〜って改めて微笑ましくなった。




