EP5-14
まりあを見ても怒られるし、見たとしても何かしてあげたくなっちゃうから窓の外の行き交う人をぼーっと見ていた。
あの帽子まりあにも似合いそうだなーとか
そろそろまりあが家で飲むコーヒー買わないとなあとか
あの人持ってる紙袋、さっきまりあが雑誌で見てたジュエリーのブランドのやつだ、とか
ふと我に返ると僕の日常はまりあでいっぱいだと気付いてまた笑いそうになった。
クラブサンドを食べながらしばらくそうしていると
トントンとまりあが肩を叩いた。
「………?」
『たべる…?』
まりあはナイフで半分にしたミートパイを差し出して首を傾げた。
「お腹いっぱい?」
『ううん、クラブサンドだけじゃ飽きちゃうでしょ?だから半分こしよう』
そう言って僕の前にもフォークを準備してくれた。
『ドーナツも食べてみる?』
「うん、食べる」
ちょっと待ってね、と自分が食べたところをナイフで切り落としてくれようとしているのを止めて
ドーナツを持った手首ごと引っ張って一口食べた。
「甘いね。無理して食べなくてもいいよ」
『ううん、大丈夫だよ。美味しい甘さだから』
無理して食べてる様子もないし、そのままにしてたらちゃんと食べきれたみたいだった。
『ごちそうさまでした…!美味しかったね』
「うん、ミートパイ美味しかった」
『じゃあお買い物いくぞー!』
トレーを持って立ち上がったまりあに店員の女の子が駆け寄ってきた。
「そのままトレーごとこちらでいただきます」
『あらっ、ありがとうございますっ。美味しかったです、ごちそうさまでした』
ニッコニコのまりあに続いて頭を下げて店を後にした。
店を出て彼女に手を差し出すと
少し驚いたような顔をしたあとすぐ手を握り返してくれる。
正直、握り返してくれるかドキドキした。
恋をしたことない子供みたいで情けないけど、
今日はまりあの一挙手一投足に喜んだり落ち込んだりさせられてる。
彼女の行動に振り回されてる自覚はある。
でもまだ少しカッコつけてたいからそんな素振りが彼女にバレないように頑張るから…だからもう少しこのままで居させて。




