EP5-9
「プライドが許さない感じ?」
そう言われて目を開けると、彼はまだ僕を見ていた。
「誰のプライドデスカ」
「君の」
再びニコッと笑ってシャワーを出すと
「てっきり、君のプライドが邪魔してるのかと思ったの」
と言われ、何を言おうか考えてるうちに顔にガーゼをかけられてしまった。
「まりあちゃんは他人からの好意に鈍感だよ〜。そして掴みどころないしねえ〜。何と言うか、気ままというか。猫ほど強くはないんだけど〜…んーーー」
と彼は悩んだ。
「あ!強いていうなら蝶々みたいな感じかな。誰にも嫌な顔しないで、不規則に見えてでも彼女の信念に則って花から花に移動する感じ?ちょっとポエムっぽいかな」
と少し笑って、彼は話さなくなった。
僕に対してなにを言いたいのかはわからないけど、少なくとも彼の方がまりあに詳しいことだけは分かった。
僕がシャンプーしている間も内容までは聞こえないけどまりあの楽しそうな声だけはずっと聞こえてくる。
今日はやたらとまりあの様子が気になる。
多分、僕といる時よりも楽しそうにされるのが気になるんだと思う。
今の僕にはまりあしか居ないから余計に。
顔のガーゼが外されて、椅子が起こされた
「おつかれさまでした〜」
「ありがとうございマス」
席に戻ると、まりあとゆうちゃんは変わらず2人で仲良く雑誌を見ている。
「俺が買ってあげようか?」
そんな声が聞こえて、雑誌を見ながら話す2人を反射的に見てしまう。
担当者も微笑ましい様子で2人を見てる。
雑誌のページにはジュエリーが載っていた。
日本では友人間でジュエリー贈り合う…のか…?
それともすでに2人って…
「あの…2人って恋人同士なんですか…?」
「えっ…?なんで?!」
「もし恋人同士なら僕がまりあの家にいるのダメなんじゃないかと思って…」
「仲良いけどそういうんじゃないよ!」
少し焦ったように担当者が言う。
「だから気にしなくて大丈夫。まりあちゃんの家でゆっくり休養するといいよ」
そのあとは髪の話だとか、次来る時も店休日の方が良さそうだとか、そういう話で仕上げまで終わった。
少しモヤモヤは残るけど仕方ない。
これ以上聞くこともできないし、まりあが居ないところで2人で話すのも良くないだろうから。




