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2人のシェルター  作者: 倉るて
天変地異
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EP1-5




お互いの近況をそれとなくみんなで話した。


漫画家であることは伏せて、

ウェブ関係とだけ伝えてほとんど在宅で仕事してるということで突き通した。




「てかさー、ウェブ制作系って儲かるのー?そのバックってこの間出たばかりのやつじゃん!」



嫌味もなく、驚いたように同級生が言った。




『そうなの!?仕事関係の人に昇進祝いにもらったからわからなかった…』



「ちょっとやばすぎー!」 


無頓着な私にゲラゲラ笑う彼女につられて笑う



本当にこのバッグは重版とアニメ化が決定したときに出版社の人がそのお祝いしてくれたものだからだ。





「てかその色って日本に数個しか入ってきてないってYouTubeでキャバ嬢が言ってたよ!?」



変わらずゲラゲラ笑って"すげー"と言いながら手を叩いている。




『私これのお返しにホテルのチョコレートしかあげてない…』





「「やばすぎ!!」」




同級生はみんなお腹を抱えて笑いながら

写真撮らせて、とバッグにシャッターを切った。




「うけるなあ〜まりあ。本当好きだわ〜」



私は内心まじでやばい…と思いながら変な汗がジワっと滲むのを感じた。







その時



「おまたせー。遅れた〜帰宅ラッシュやばすぎだわ〜」



気怠げな感じで入ってきた女の子。

彼女こそ私が苦手な同級生の成美だった。



「てかまじみんな久しいね、元気?」




少し時間が止まったあとに


「久しぶりー!元気だよ〜お疲れ様〜」


と口々に返事が行き交う。




私もお疲れ様とだけ言って、顔に笑顔を貼り付けた。





「まりあもいるじゃん!珍しい!ケバいなあー」




自称サバサバの成美は私を見て片方の口角をあげながらあからさまにいやそうな顔をした。



「うちら32歳だよ!?そろそろ落ち着こうよ」



と言って肩を組むように隣に座ってきた。






終わった…。



そう確信した。





「あ、成美こっち座って!まりあトイレ近いから端がいいんだって!」



「あ、んなの?りょーっかいっ」



そう言えばこれも嫌いだった。


ドラマのワンシーンを切り取ったかのような言い方と仕草。



青春ドラマとかでありそうな敬礼をして、

成美は友梨の奥のそれとなく全員が見渡せる真ん中の位置に座った。




「てかいつも成美真ん中にされるのなんで?!」



と言いながらまんざらでもない様子。



彼女は"ある"セリフ待ちなのはわかっていた




「いいじゃんリーダーみたいなもんなんだから〜!」



適当にそう言ってのける友梨は大人だ。




「この歳でリーダーはきついっしょぉ!」



とは言うものの彼女の鼻がメキメキと伸びている幻覚が見えた。










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