EP5-4
私のシャンプーが終わって席に戻ると、
入れ違いでレイが席を立った。
「なーんか読めない子だね」
『レイが?どうしたの?』
「いや、よく目が合うけど感情隠すのうまい子だな〜って」
『そうなの?私今日全然目合わせてもらえない』
「もしかしてウチに惚れた?」
『無理なんだけど。許せない。』
「実際一緒に住んでみてどうなの?」
と聞かれて、私は待ってましたとばかりに
今日までのレイの素敵なところを洗いざらいに話した。
もちろん、こんな話優ちゃんか家族にしかできない。
『それでね、すっごい高いコーヒーマシン買ってくれてね…!そしてその後飲んだコーヒーもね』
『一緒にお皿洗ってくれたり、お掃除一緒にしたり、夜ソファでウトウトしてるといつの間にか布団かけられてたり、でもねあまりにもずーっとそこにいると肩ぽんぽんってして"ベッドで寝た方がいいよ"って起こしてくれるの!!』
『そしてあんなに中世的な綺麗な顔してるのに仕草が雄々しい……!手櫛で雑に髪の毛ガシガシ〜ってやるのも好きだし、汗かいてるのも好きだし、たまにぼーっとしながら歌ってる鼻歌なんて極上なんだよ!?わかる!?わかって!!』
優ちゃんはドン引きした顔で「きも」
とだけ言ってきた。
『どうなの?って自分から聞いてきたんだからちゃんと聞いてよ!』
「ちがう、ウチが聞きたいのは気持ち的なことなの!あんたらが毎日どんなことして過ごしたとかそんなのはどうでもいいの!」
『え〜?例えば?』
「好きになったりしないの?」
『もともと好きだもん』
「ほんとポンコツ。そういうことじゃない。あの子に彼女できてもいいの?」
『一般人の彼女は絶対無理だし落ち込むけど、同業者とかだったら仕方ないかなあ〜って思うかな』
「まあね、一般人なら私でいいじゃん!!ってヒス起こしたくなるかもね」
『そうそう』
「仕方ないのかあ〜…推しとしての時間も長いしそう諦めがついちゃうのも仕方ないのかな」
『うん、高望みするのも怖いよ。だってむしろ今のこの時間が奇跡っていうか夢みたいなものなのにさ』
「もしあの子があんたを好きになったら?」
顔周りの毛をコームでとかして、何度も鏡を確認しながらハサミをいれる優ちゃん。
『私を好きにかあ…。嬉しいけど一回は諭すかな。しんどい時に一緒にいたからそう感じてるだけだよって』
「そんなわざわざ相手の好意を否定することしなくてもよくない?」
『うーん…否定っていうわけじゃなくて』
「大体相手の行動でわかるよ。大切にされてるなあって思ったらそれはもう愛だよ。その上で伝えてくれたならわざわざ否定はしないであげてよ」
と優ちゃんが言ったところでレイが戻ってきそうだったので、どちらともなく、なんとなく会話は終わった。




