EP5-1
毎日少しずつ
----…
あの大号泣から数日経ったある日。
肌寒さで目が覚めた。
『空気も乾燥し始めたし髪もパサついてきたなあ〜そろそろ美容室かなあ』
と言ったところでハッと気づく。
イケメンにかき消されてすっかり忘れてたけど、レイの髪も伸びっぱなしだ。
『そろそろレイも美容室行かない…?』
根元のプリンはさることながら、
最近では前髪も伸びて私のヘアピンで前髪を留めてしまってるくらい。
「うーん…まりあと同じ美容室?」
『うんうん、私の昔からの友達が美容師なの』
少し考えるような素ぶりをして、
「《まだちゃんと日本語で注文できそうもない》」
と言うので
『私も一緒に行くから!』と答えるとうん、と頷いた。
『やったー!』
早速幼馴染に連絡して、レイの事情も話すと
今日が店休日だから今日やっちゃおうと提案してくれた。
ちょうど幼馴染のパートナーも暇してるらしく、2人でおいで〜と言ってもらえたので急いで出かける準備にとりかかる。
幼馴染とパートナー、2人で経営するサロンは
おしゃれな人なら絶対一度は耳にするくらい結構有名で。
サロンの後お出かけするかなーなんてちょっと期待して、いつもよりちゃんとした服でリビングに降りると身支度を終えたレイがすでに待っていた。
立ったまま器用にブレスレットをつけてる格好は
ドラマとかでみる演技仕立ての俳優そのもの。
レイに見惚れながらも階段を降りてきた私を見て
「今日…いつもとちょっと違う感じに見える」
と私の服を指した。
『ほんと?美容室行くのに近所のお買い物みたいな格好じゃちょっとね…』
「《張り切ったの?》」
『《うん、だって美容室終わりの格好いいレイと並ぶかもしれないでしょ?そんなときに変な格好してたら恥ずかしくて横歩けないもん。変?》』
「ううん、可愛いと思うよ」
可愛いと思う…"と思う"っていう不確かな褒め言葉だけどそれでもいいんだ…。
好きな人の隣は自分が自信をもって歩ける服装がいいの…
もうこれは全女の子が思ってることだからね
ましてやハタから見たらどう見たって私が見劣りするのにレイにも恥かかせるわけにはいかないのだ
褒めた事で私が喜びに浸ってるとも思ってない彼は
「どっちいい?」
と片手にメガネ、片手にバケットハットを見せた
『メガネ!絶対メガネ!』
興奮気味いうと、少し引いた感じでレイは頷く。
空港ファッションでしか見れないレイのメガネ姿…
もう一生分焼き付けないと…
『レイ、その服じゃ夜寒くないかなあ…?』
「寒い?いや、平気、大丈夫」
これで寒いわけなくない?みたいに
デニムのジャケットをつまんで首を傾げるレイ
助手席にレイを乗せて、昼前に私達は出発した。




