EP4-11
例えようはないんだけど、
なんとなく彼なりにここまでの気持ちの整理をつけようと話してるんだろうなと思った。
『《死ぬなんて言わないでよ》』
「《今は思ってないよ…!そのときはそれで頭がいっぱいだったけど…。でも今は夕飯のあとのゲームが楽しみだったり、なんでもない食材の買い出しが楽しかったり、トレーニングして入るお風呂の気持ちよさとか、朝に起きて飲むコーヒーだとか、日当たりのいいこのリビングで日本語の勉強したりだとか……韓国では感じなかった喜びみたいなのがそこらじゅうに溢れてるのが嬉しいんだ。》」
途中まで我慢して聞いてたけど、
だんだんと鼻の奥が痛くなって目が熱くなってしまう。
「《まりあの日常に僕も混ぜてくれてありがとう。最近は毎日が満たされて幸せです…。》」
貯めてた涙がボロボロと溢れた。
「《なんで泣くの…!》」
『だって…だって…!レイの幸せが私達の幸せなの〜…ッ!』
うあーん、と効果音がつきそうなほど
泣き出してしまう私にアタフタしたレイがティッシュを目元に当てて笑ってくる。
「《変だよ、泣くとしたら僕なのに》」
『《いいの!もうレイは充分悲しんだし泣いたんだろうから!私が代わりに泣くの!!》』
「そっか」
と困ったように眉を下げて笑う彼はなんだか大人びて見えた。
「ああ…ごめん、泣かないで」
向かい合わせから隣に席を移動して、
新しいティッシュで次々涙を拭いてくれる。
「《目擦ったらダメだよ…あぁ…ごめんね》」
しゃくり上げながら泣く私は
どれだけ子供っぽい泣き方してるんだろうと、そう思うけど、
この優しい子が受けた悲しさや辛さや絶望感を思うと
いたたまれないような、やるせないようなそんな気持ちになった
全く知らないイイ歳した女の涙まで拭いてくれる優しい子なのに。
「《ごめんね、ありがとう、まりあ》」
しきりに何度もいいながら私の背中をさすって涙を拭き続ける彼は、本当の本当に絶対幸せになっていい子なんだから
「《どっちが年上かわからないじゃん》」
そう笑って背中をさすっていた手で身体を引き寄せられると、ギュウッと彼の大きな胸に収められた。
「《ごめんね、本当にありがとう》」
と体に回した手で背中をぽんぽん叩いて笑うレイ。
なんで私は泣いてるのに張本人は笑ってんだ
そう思ったけど、それでいいのかもしれないね。




