EP4-10
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レイがその後部屋から出てくる事はなく、
夕飯が出来上がってしまった
『ご飯できたよ〜!』
と日本語で言うと理解できたのか
ガチャと扉が開くと汗を流したレイが出てきた。
「《ごめん、こんなに早くできると思わなくて…先にシャワー浴びてもいい?》」
シャツの袖で汗を拭う仕草も、
首に張り付いた長い襟足も全部が色っぽい
その姿に見入っちゃって、少し慌てて返事した
『……あ、うん!うん!もちろん!』
レイはキッチンに入ってきて水を飲むと、
「《シャワー終わったら僕があとやるから休んで》」
『いいの?ありがとう』
レイは私の背中を押してキッチンから追い出し、ソファに座るように促して廊下に消えて行った
『少し仕事しちゃおうかな〜』
リビングの奥の作業スペースで仕事に没頭していると遠くでキッチンの音がした。
お風呂上がったのか…
ほんとに準備してくれてるみたい
作業が煮詰まってしまって、本棚から資料とこの間の取材の写真を出して椅子に座ろうとしたところで視線を感じた。
『………あ、レイ。どうしたの?』
壁にもたれかかるように覗いていたレイと目が合う。
「できたよ」
当たり前に日本語で返事されて少しびっくり。
『《日本語勉強してるんだね、上手じゃん!》』
「《うん、なるべく日本語で話して行こうと思って》」
『《そっか、じゃあ私も日本語で話した方がいいかな?》』
それに"うん"と短く返事して私の手を引く
この距離で手を引かれる理由はわからないけどドキドキしちゃうのは確かだ。
『ど、どうしたの?』
無言のまま腕を引かれテーブルを見ると
「やったけど…まりあみたいに…あの…《綺麗にはできなかった》」
途中日本語に詰まり、韓国語で彼は言う。
『ううん、そんなことないよ上手だよ!綺麗に盛り付けできてるよ!』
ちょっと恥ずかしそうに笑うのもまた可愛い
2人で手を合わせて"いただきます"をすることにもなれた。
まだ少しその度に嬉しくて浮かれてしまったりもするけど。
『どう?』
「もちろん美味しい」
パクパク食べる目の前の子を見て、私も安心して口に運んだ
「僕は…」
とポツリと話し始めたので、手を止めて彼を見た
「《こうやって何も心配しないで、あったかいご飯を美味しいと思いながら食べれる日が来ると思ってなかった。》」
『………。』
「《あのままずっとあの時間が続くと思ってたし、あの時間が終わるわけないって思ってた。死ぬしかないって。》」




