EP3-6
私の車に乗って2人で新居まで移動した。
少し緊張した様子で窓の外を眺めて
レイくんは一言も話さなかった。
新居に到着して、ある程度の間取りをレイくんに紹介する。
レイ君どこの部屋がいい?と聞くと、彼はリビングに面した部屋を選んだ。
玄関を入ると正面はあまり広くないエントランス。
玄関から家の中が見えないように玄関エリアと居住区はしっかり区切ってもらった。
玄関の左奥がシューズクロークになってて、そこを抜けるとリビングまで回れるようになってる。
基本的に玄関に靴は置かないつもりなので玄関自体はそこまで広くしなかった。
後から来た業者さんに入れ込む部屋をあれこれ指示して、強行突破の引っ越しは終了した。
あとは私がダンボール作業に勤しむだけ。
「よし…あとは…カーテンも電気も終わったし…大物も運び終わってるし…」
と腰に手を当てたお兄ちゃんが部屋を見渡す。
「良い家だね〜庭大正解だね。」
ヒロもリビングの窓から覗き込んで言った。
床からほぼ天井付近まである大きい窓。
その分、床が日焼けしないように庇を長く取ってもらうなどして色々と話し合いもした。
ぐるっと塀で囲まれた庭には手入れが簡単な植物をぐるっと植えている。
とはいえ私は無知なので、ここはプロの意見を主に聞いて作ったのだけど。
庭の広さと庇と植物も相まって、
外から家の中が覗かれることはないけど一応カーテンは付けた。
「じゃああとはお二人さんでごゆっくり」
出ていこうとするお兄ちゃんとヒロに家の鍵を渡そうとすると、その鍵をお兄ちゃんは受け取らずに
「俺とヒロがいつでも出入りすると思ったらあの子が落ち着かないだろ。あの子がいる間は俺らも呼び鈴鳴らして入れてもらうことにするよ」
『あっ…うん…』
お兄ちゃんはそこまで考えてたのか…。
匿うなんて言っておきながら私以外の誰かが頻繁に出入りするなんて、確かに嫌かもしれない。
『考えが至ってなかった。ありがと』
「お前も無理すんなよ。まあ…でもその辺はあんまり心配してない。まりあはいい意味で無頓着だし能天気だからな。あの子もまりあのそんな部分に救われるといいんだけど。」
お兄ちゃんとヒロを玄関まで見送ろうとすると、レイくんも後ろを着いてきた。
「ははっ、子供が気遣わなくていいんだよ。自分の家だと思って羽伸ばしてこいつに甘えるんだぞ?」
レイくんの頭にもポンと手を置いて、お兄ちゃんが扉を開ける。
「またね」
と言って去り際のヒロもレイくんの肩に手を置いた。
『《距離感おかしい兄たちでごめんね…!》』
と謝ると、彼は少し笑いながら首を横に振った。
『さーてと…キッチンの物は片付けちゃおうかな』
テレビでも見てて、と言うと彼はまた首を振って《手伝います》と短く言った。
『そう?ありがとう』
とあえて日本語で言うと
「いえ」と小さな声で返ってくる。
またそんな彼が可愛くて、彼には見えないように少し笑った。




