EP3-3
翌日、朝からお兄ちゃんとヒロがうちにやってきた。
「あの子は?」
『寝てるよ、昨日すごい頑張ってメンバーに連絡したからホッとしたみたい。』
「寝かせておこう」
お兄ちゃんはポンっと私の頭に手をおいて部屋に入った。
「んじゃあさ〜あの子寝てる間に2人で運べるものは運んじゃおうか?業者は午後からくるんでしょ?小物類運び出しちゃおうよ」
「そうだな」
お兄ちゃんとヒロは玄関入ってすぐの部屋にまとめていたダンボールを次々と運び出した。
「じゃあ俺らはあっちの家にこれ置いてくるから、まりあは側にいてあげた方がいい」
『私の引越しなのにごめんね…』
「起きた時姉ちゃんいないと不安だろうしね」
「まああと2.3往復ってとこか?案外少ないかもな」
先に家を出るお兄ちゃんに続いて、
じゃあまた後で〜と言ってヒロがヒラヒラと手を振って出て行った。
デスク周りの仕事道具を最後に運び出す箱にまとめるでしょ、
えーとそれから…
食器棚も使うもの以外は箱に入れて空にしたし、
冷蔵庫にはレイくんが起きたら飲むかもしれない飲み物とフルーツだけ残して…
洗面所も空にしたし、クローゼットも空にしたし
家電と家具は業者に頼むとして…
『こんなもんかな?あとは掃除しちゃおうかな』
空になった部屋の掃除をしてる間にお兄ちゃんたちは何往復もして、あっという間に最後のダンボール軍を持って行った。
洗面所の掃除も終わって手を洗っていると、少しバツが悪そうにレイくんが起きてきた。
「《寝過ぎた…ごめんなさい》」
その様子にハハハッと声を出して笑ってしまった。
『《ちがうよ、わざと起こさなかったの。ご飯はどうする?》』
「いただき…マス…」
たどたどしい日本語でレイくんは言う。
『《座ってて、すぐ用意するから》』
キッチンとリビングを困ったようにウロウロして、意を決したようにキッチンに入ってきた。
『《手伝ってくれるの?》』
「はい…」
私はよそったばかりのご飯とお味噌汁と箸が乗ったお盆をレイくんに渡した。
あれ、彼こんなに背大きかった?
ずっと一緒にいたはずなのに、なぜか大きく感じる。
そーっとリビングに食事を運ぶ姿が可愛くて、思わず笑ってしまった。
レンジから取り出したおかず達も持って私も後に続く。
『《おかわりもあるよ、沢山食べてね》』
ジャーから注いだお茶を彼に差し出すと、そのまま一口飲んだ。
「《なんか…美味しい》」
コップのお茶を見つめたあとに私の顔を見上げる彼に
『《気に入った?それは黒豆茶》』
と言うと少し首を傾げて
「《聞いたことないです》」
と呟いてまた一口飲んだ。




