EP3-2
沈黙を破ったのはレイくんだった。
「ヒョン…ミアネ…(兄さん、ごめん)」
ヒョンということはやっぱりグループのリーダーだった
「《ご飯は食べてんのか?》」
「《うん》」
「《寝る場所は?》」
「《あるよ》」
「《安心して…毎日過ごせてるのか?》」
「《うん、助けてくれる人がいたんだ》」
レイくんの言葉に電話の向こうのリーダーは黙った。
泣いてるようだった。
「《よかった……。よく…逃げてくれた。》」
「《うん…》」
「《まだ帰ってこなくていい、あとは兄さん達に任せておけ。レイがやることはとにかく全部忘れてゆっくり休む事。ご飯を食べること、寝ること…笑うこと。今居る場所でそれはできそうか?》」
「《うん…いずれ…多分。》」
「《面倒見てくれてる人と電話変われる?》」
「《それは…》」
困った様に私を見るレイくん。
「《今側に居てくれてるの?》」
「《うん》」
「《じゃあスピーカーにして》」
彼はスピーカーにするとスマホを私に向けた。
「《僕たちの弟のお世話をしてくれてる方にお伝えしたいです。僕が勝手にお礼を言いたいだけなので返事してくれなくて大丈夫です。ただ聞いてください。
僕達の末っ子のレイは言われも無い噂で今韓国ではとてもじゃないけど人としての安全な生活を送らせてあげることができません。
僕たちは何も負担に思っていませんが、レイはそんな僕たちのことも気にしてると思います。
こうして手を差し伸べてくれただけでも感謝しきれないのですが、さらに厚かましさを承知でお願い致します。
レイ本人が望んで帰りたいと言うまで…もしくは僕たちが迎えにいく準備が整うまでレイの面倒を見ていただきたいです。》」
涙声で言うリーダーに釣られて泣かないように
上を向いて目を扇ぎながら、
レイくんに手で大きい丸を作って返事した
「《兄さん、大丈夫だって》」
すると電話の向こうから
「「「《ありがとうございます》」」」
と何人もの声が聞こえた。
メンバーみんなだった。
レイくんはそれを聞いてまた目に涙を溜めた。
「《まんまると太って帰ってこいよ》」
レイくんが泣くのを堪えて何も言えないのをわかったリーダーは「《夜更かししないで早く寝るように!》」と言って電話を切った。
レイくんは静かにスマホを置いて
肘をついた手で顔を覆った。
私はそっと立ち上がって食器を片付けた。
なんて良いグループなの。
私は最高なグループを推してたと再認識して胸がいっぱいになった。
しばらくするとレイくんがキッチンに入ってきて、スマホを差し出した。
「《僕が必要になるまで預かっててくれませんか?》」
『かしこまりました』
ニッと笑ってスマホを受け取ってエプロンのポケットにしまった。




