EP3-1
木漏れ日
あれから1週間、レイくんは毎晩ではなくなったけど
やっぱりたまに魘されたりしなかったり。
仕方ない。
彼が負った傷はそう浅いものじゃない。
少しずつ回数が減っていずれ無くなればいいなーとは思うけど。
朝昼晩、決まった時間に起こして食事を取らせて。
うたた寝したらそのまま寝かせて。
3日目の朝にお風呂に入るか聞いたら、彼は頷いた。
浴室の使い方を教えて、ドライヤーの場所、歯ブラシの場所、一つずつ教えた。
冷蔵庫の物も、お腹が減ったり喉が乾く時は勝手に食べるように言った。
最初は申し訳なさそうに遠慮してたけど、
遠慮されると私も遠慮しちゃうから必要なものは必要なだけ摂取すること!と伝えたらそうしてくれるようになった。
そして引越し前夜の夕食後。
「あの…」
と彼は切り出した。
『ん?』
「ありがとう…ございます…。」
食器を下げようと立ち上がったけど、もう一度座り直した。
『どういたしまして、こちらこそありがとうございます』
ニコッと微笑んで言うとバツが悪そうに目を泳がせた。
「《それで…僕…いつまでもここにお世話になるわけにはいかないので、明日出て行こうと思います》」
やっぱり。
予想していた事だった。
『《うーん、ちょっとだけ私の新居に一緒に住まない?》』
「《えっ…?》』
『《すんごい良いお家建てたの。お庭もあって陽当たりもよくて。そこでもう少し英気養ってからでもいいんじゃない?》』
「《誰にも言わずに来たので、みんな心配してると思います》」
『《そうだよね》』
そう言って私はレイくんのスマホを差し出した。
彼は緊張したように奥歯を噛み締めた。
『《レイにこれを返す前に私は少し準備したい。ロックだけ解除してほしい》』
彼はロックを解除して素直に私にスマホを返した。彼のスマホから全てのSNS系のアプリを削除してまた彼に手渡す。
『《無事であることを伝えたい人にだけ伝えてみたら?》』
彼は少し考えたあとに誰かに連絡を送った。
多分私の予想はグループのリーダー。
するとすぐに電話がかかってきた
内容を聞かないように立ち去ろうとすると、レイくんは私の腕を掴んだ。
「《ここに……ここにいて下さい》」
そうだよね…怖いよね…
意を決したように電話に出ると、電話の向こうは静かだった。




