EP2-11
部屋を出て恐る恐るダイニングを見た。
「…………?」
夢で見たはずの食卓の光景はそこにはなかった。
『《天気いいからこっちにしちゃった》』
彼女の声がする方を見ると日当たりのいい大きな窓のリビングに朝食が並べられていた
テレビの前のローテーブルを囲むようにU字に置かれたソファ。
そのテーブルの上に朝食が並べられていた。
彼女はソファとテーブルの間の床にクッションを置いて手招きする。
テーブルの上に並べられていたのはパンでもない。
よく見るような和食だった。
促されるままに座ると
『《食べられないものないもんね?》』
と少し恥ずかしそうに気まずそうに笑う
「《ない…です》」
『《おかわりは沢山あります!じゃあ手を合わせて》いただきます!』
「マス…」
ご飯を一口運ぶと当たり前に温かいご飯にまた鼻の奥がツンと痛んだ。
こうやって温かいご飯を食べたのはいつぶりだろう。
「………ッ…」
箸を止めた僕の様子に気付いた彼女が、慌てたようにティッシュを掴むと僕の目に当てて笑った
『《そうそう、沢山泣いて沢山食べなきゃ》』
その一言で堰き止めてた何かが一気に溢れた。
全部無くなった。
いや無くなったと思って全部諦めたほうが良い気がした。
そうだ。夢の中の僕は全てを捨てることができていた。
僕自身さえも投げ出す選択をしてたんだ。
あの僕でいいんだ、
全部捨てて何もない自分で。
僕は一度死んだんだ。
わんわん泣く僕に、最終的に彼女まで釣られてわんわん泣き始めた。
よく分からないこの状況なのに、
取り繕う余裕も無くて
さらに彼女が僕の頭を撫でながら
『《守りきれなかった、ごめんね》』
なんて言うから僕は首を横に張るしかできなかった。
2人で泣いていると、知らない大きい男の人が入ってきて
僕たちを見てギョッとした。
『お兄ちゃん〜…!!!』
「また…っお前ってやつは……お前まで貰い泣きしてんのか!」
男の人は買い物袋を床に置くと、彼女と僕の頭をぐちゃぐちゃに撫でた。
「おう、泣け泣け!気が済むまで泣け!」
ニカッと笑いながら頭を撫でられてまたわんわんと子供のように2人で泣いたのだった。




