EP2-9
優しい夢を見た。
暖かい暖炉のある部屋で
優しい音楽を聴きながら
心地が良いリズムを胸に感じて
ゆりかごで眠りにつく夢。
地獄からの叫びを聞きながら逃げ続ける夢を見ていたのに、いつのまにか真っ黒だった空が割れてオレンジ色の光が差して
優しく暖かく僕を包んだ。
ずっとこの世界でまどろんでいたい。
何か考えなきゃいけない事があったはずだ。
向き合わなきゃいけないことが。
でもその光は全て考えなくて良いと言った。
全て大丈夫だと言った。だから多分良いんだと思う。
このまま微睡のなかで永遠の眠りにつけたらどんなに幸せだろう。
オレンジの光は明るい白い光に変わった。
遠くで鳥の鳴き声がする。
夢?いや…これは…
「……………っ…?」
目を開けるとカーテンから、朝日が差し込んでいた。
手に何かを感じてその方を見てみると
昨日空港にいた女の人が僕の手を握って、僕の胸に掌を当てたままベッドに伏せるように眠っていた
「ヌナ…《お姉さん》」
『……ん…?』
小さい声で、なんとなく呼んだだけなのに彼女はすぐ目を覚ました。
『《起きた?まだ早いよ、もう少し寝てなさい》』
繋いでいた手を離して、時計を確認すると
また僕の布団を掛け直した。
『《ご飯ができたら呼ぶね》』
フワッと微笑むと、んんんーっと伸びをしながら彼女は寝室を出て行った。
遠くでリビングのテレビの音が聞こえた。
カチャカチャと食器の音。
冷蔵庫の開け閉めする音。
よくわからない機械音。
彼女が部屋を出ていく時に言いようのない寂しさを覚えたけど、多分それは気のせいだと思う。
朝のテレビらしい明るいBGMに笑い声、家事の音
それを聞いてるうちにまた眠りに落ちてしまったようだった。




