EP2-8
夕飯を食べてしばらくすると、ガクンとれいくんが眠そうに揺れた
薬も飲んだし、この後は朝まで寝てくれると良いんだけど。
ベッドの枕元のタオルを変えてリビングに戻ると、
椅子から転げ落ちそうになった彼の頬を咄嗟に手で包んだ
彼がハッとしたように顔を上げると、
少し目にかかる位置で切られた前髪の奥の瞳と目が合う。
頬に添えた手に少しくすぐったそうに片目を閉じる猫のような様子は、バックステージとかで見る彼そのもの。
『《眠くなった?それなら布団で寝よう》』
頬に添えていた手で肩を叩くと一度だけ頷いて寝室に入った。
よほど体力的に限界だったのかドサっと横になった体に布団を掛け直して、
ベッド横の体温計をおでこに当てても
もうお構いなしとでも言うように寝息を立て始めた
『無防備なんだか、何なんだか…』
少し笑いが込み上げた。
彼がこうして目の前で睡眠を取ってくれてる。
それだけで私は少しでも役に立てたかなって自惚れてしまいそう。
枕元の小さいライトをつけて寝室を出て、テレビの設定をした。
除外ワードに【FABLE】【Lay】【レイ】と相手の女優の名前を入れた。
とりあえずそれだけでいい、
あまりにも敏感に消しすぎると彼も不自然に思って落ち着かないだろうから。
これで明日テレビをつけても彼の目に関連事項が目に入ることはない。
『あとやることはー…』
部屋の中央に仁王立ちして、順序を考えた後に作業に取り組むことにした。
『ふぁ〜あ』
お風呂にも入り、
とりあえず引越し作業は音立てちゃうから、とネームに取り掛かっていた時
寝室から唸り声が聞こえた。
『…………!?』
夜中の2時
寝室に入るとレイ君がうなされているようだった
『《大丈夫、大丈夫。もう全部大丈夫だよ》』
慌てて顔を覗き込んで胸元に手を添える。
彼は少し薄く目を開けた後にドッと息を吐いて
ゆっくり呼吸を整えるとまた規則的に寝息を立てた。
ぽんぽんと赤ん坊をあやすように、睡眠を邪魔しないように
子守唄を鼻歌で歌う。
効果があるかどうかもわからない。
でも今は安心して眠ってもいい場所にいると
彼にも知って欲しい。
だから神様。
今はお願いだから朝までゆっくり眠らせてあげて。
彼の胸を叩きながら子守唄を歌っていると私までなんだか眠くなってしまうようだった。




