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2人のシェルター  作者: 倉るて
君が居ないこの世界じゃ
110/124

EP9-9




----…




ー1月2日。



撮影中にまりあと電話してると、ヒョン達は揶揄う雰囲気を出しながら周りを囲んできた。




電話を切ったあと



「《名前、まりあさんって言うの?何だよその表情〜?初めて見るんだけど》」


リーダーのシウ兄さんがニヤニヤしながら僕の両頬を包み込んで言う。




「《ヒョン!勝手に名前呼ばないで!》」



「《名前くらい良いだろ!》」



「《だめです》」



「《マリアか…なんかすげえな。助けてくれて、それでいて最終的にレイと結婚して。聖母?》」


シウ兄さんの2つ年下のジホ兄さんは感慨深そうに頬杖をついた。





「《結婚の決め手はなに?レイは一生独身だと思ったんだけどな〜》」


ジホ兄さんと同い年のイアン兄さん。



「《決め手は…わからないです。でも早く結婚して僕のモノにしたいって思ったんです》」


「《え……!?自分のモノって……レイそんなに独占欲強かったっけ?》」


無口なイェジュン兄さんまで珍しく話に混ざってきた。





「《いや…、僕も初めてこうなりました。》」



「《それってさ……好きって言うか…なんか違くない?まりあさんに助けてもらったから恩を感じてフィルターかかって好きと愛着みたいなものを履き違えてんじゃないの?》」




イェジュン兄さんは口数は少ないけどいつも先回りで僕を心配してくれる。それ故の言葉なんだろう。



 兄さん達はイェジュン兄さんの言葉に"うーん…"と、納得するようななんとも言えない雰囲気でただ沈黙している。



「《僕…、まりあのために何でもしてあげたいんです。何かしてあげられることは僕が全部やりたいから、誰にもその立場を譲りたくないですし。もしこのタイミングで僕が韓国に帰って…、いずれまりあが僕を忘れて誰かと恋に落ちて結婚すると思ったら怖すぎてゾッとしましたし、僕以外の誰かが彼女に触れると思うだけでまだ見ないその相手にすっごい殺意沸いたんです。》」



ジホ兄さんが頬杖から顔を浮かせてパチパチと瞬きを繰り返す。



「《彼女がもし転ぶならそれを抱き上げるのは僕がいいし、彼女が泣くならそれは僕のためであってほしい。彼女が笑うのは僕の前であってほしいし、彼女の瞳に映るのも正直僕だけでいい。まりあに起こること全て僕1人で解決したり消化してあげたいって思うんです。さらに欲を言えば誰も居ない世界で2人だけでもいい。そうすれば誰もまりあを見つけられないし、まりあも誰も知らないまま僕だけ「《わかったわかった》」…シウ兄さん、これって好きじゃないんですか?僕の勘違いですか?》」




「「「「「《いや好きすぎるだろ》」」」」」





「《イェジュンが余計な事言うからだろ…。》」

呆れた様子でシウ兄さんが言うと


「《だって…心配じゃないですか…。弱ってる時に出会った人なんてどう転んだって良い人に見えるに決まってる。》」

少し申し訳なさそうにイェジュン兄さんが答えた。



「《まあまあ、2人とも。それで、レイはあっちで何して過ごしてたの?どうやってここから抜け出す決心がついたの?》」

イアン兄さんは安心したように優しく微笑みながら僕に言う。






「《彼女が…まりあが言ったんです。逃げておいでって。世間から…みんなから僕を隠してあげるからって。》」




たまたま手にした手紙の、

何気なく書かれていたSNSのID、

朦朧とした無意識下でただ送ったDMのこと。



彼女のもとに着くまでのことを話すと

シウ兄さんが僕の肩を抱いて慰めるように撫でた。




「《彼女の家で過ごす毎日の中でも、まりあは僕に何も聞かないんです。何もない日々の繰り返しで…朝起こされて食事を出されて、食べ終えた僕がうとうとしてると毛布を掛けてくれて気の済むまで眠らせてくれて。》」




いつ起きるかわからない僕のために、

いつ起きてもあったかいご飯とお茶を出してくれた。



夜にうなされて目を覚ますと大丈夫だよ、って

僕の呼吸が落ち着くまで背中を撫でてくれた。



日当たりの良いリビングにいつも居場所を作ってくれた。



恩着せがましく仰々しく世話をするでもなく、

まるで僕がずっと昔からその空間にいたように、

その空間にいるのが当然のように。



ダメなことはダメ、

やらなければいけないことはやるように、

人として当たり前にそれらを繰り返すことを彼女は思い出させてくれた。



朝日を浴びること、夜になれば眠ること。

食事をとること、水分を取ること。

怒ること泣くこと笑うこと。


そして徐々に望みを言うこと。


たまに悪態をつくことも喧嘩もすることも。




アイドルである前に1人の人間としての日々の営みを繰り返し思い出させてくれた。



そうして今日まで

自然にまりあに導かれるようにこうして此処に戻ってこれた。



まりあが僕を此処に立たせてくれた。





そこまで言い切って笑うと、兄さん達は泣きそうな顔をしていた。





「《レイ……お前…今日までずっとまりあさんに本当に大切にされてきたんだな。》」



「《そうかも…。だって、あっちで生活するうちに辛かった事全部1ヶ月もしないうちに忘れてたもん》」



シウ兄さんは涙が溢れないように天井を見上げて「兄さん達もまりあさんにお礼言いに行かないとな」と言った。



「《…え?会わせないよ?》」



「《はあ!!??お前兄さん達はいいだろ!》」



「《やだよ、僕の話聞いてた?まりあの瞳に映る男は僕だけでいいんだってば》」



「《こいつ……頭のイカれ具合に拍車かかってんじゃん》」




僕を指差しながら言うシウ兄さんの言葉に他の兄さん達もみんなで笑った。





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