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2人のシェルター  作者: 倉るて
君が居ないこの世界じゃ
103/121

EP9-2




日本のテレビ番組でも【FABLEフルメンバーで完全復活のカウントダウンライブ!】



と言う見出しでワイドショーが取り上げていた。

レイを批判したことも忘れたように、華々しく。





 世間は解散ライブになる事をわかってない。みんな復帰ライブだと思ってワクワクしているんだと思うとなんだかやるせないような気持ちも溢れてくる。


 解散を少し喜んでしまうのはきっとレイの事務所の事情を知ってるから。






「活動を休止していたメンバーが今夜復帰ライブになるみたいですねぇ〜」


「ほんとにどこのメディアにもSNSにも出ていなかったですからね、ファンの方々は久しぶりに姿が見れて嬉しいんじゃないですかねぇ?」


「えー、カウントダウンライブは、現地時間の22:30開演で翌朝の1時、25時ですね、25時まで行われるということです!」


「どうやら公式からの発表も1週間前だったらしいですしね〜!行けなくて涙を飲む方も居たんじゃないんですか?」


「そうですよね〜?年末年始ともなれば予定が詰まってて当然ですからね。そこら辺の配慮もあったらもっとよかったんでしょうね〜」



は?最後の女なに?こいつむかつく。あんた何様ァ?

あんたも所属タレントに対する配慮あってもいいでしょうよ、どう考えたって本人達がスケジューリングしてるわけないんだから。



完全にレイに肩入れしていた私はブツンとテレビを切って、夜まで仕事にとりかかった。




-----…





夜になると、優ちゃんと友梨が大量の食料品とお酒を手にうちに来た。





 初めて私の新居にきて


「えぇ〜?ここがお稽古部屋かしら?」


と下世話な事を言いながら家を探索する優ちゃん。




友梨は家に入って、私の左手を見るなり泣いて喜んでくれた。



2人は初対面なのにめちゃくちゃ意気投合してしまい、双子のような阿吽の呼吸でわーわーと会話を繰り広げる。





お酒も食事も進んで開演時間間も無くという頃。




少し困ったように笑った友梨が


「緊張する?」と私に問いかけた。


『する…手震えてる…』


「解散か〜…こうやって裏の事情を知ってると、ファンってほんと一部の情報しかもらえないもんなのねえ…」



大きいスクリーンに配信を写して、スマホで配信のコメントを見れる様に準備する。







-レイオッパに会いたかった


-会場行ける人羨ましすぎ


-弁明も何もしないでしれっと復帰するんだね


-アンチ帰れ





すごい速さでコメントが流れていく。





-レイオッパ生きててくれてありがとう!


-これからもずっとFABLEについていく!





いいコメントばかりじゃないけど、

母親のような気持ちで"お願いだから、酷いこと言わないでね"と願うしかない





オープニングのステージ映像と照明が忙しなく動く。


心音が広がるように少しずつ大きくなって

メンバーのシルエットが現れ始めると会場のボルテージがMAXになった





激しいEDMが消えて一気に暗転すると




暗闇の中から聴き覚えのある歌声が聞こえた





悲鳴のような歓声が会場を揺らす。




『レイだ…』




「え!うそ、あの子こんな声で歌うの!???」



センターステージにスポットライトが当たって、レイだけが照らされる。光の範囲がじわじわ広がると、レイを中心にメンバーがその周りをぐるっと囲んでいた。





会場のモニターに初めてレイの顔が写し出された瞬間、会場と隣のゴリラから発狂に近い歓声があがった



「ぎゃぁぁぁぁぁー!!!!!」


「うっわ!うるさい優ちゃん!!!まじうるさい!!」




友梨は片耳を塞いで、優ちゃんの肩に拳をお見舞いしていた。



私より先に優ちゃんが発狂したことに笑えてきて、なんか肩の力がぬけたかも…



『ふふっ…』



コメントは追えないくらいの速さで流れていく




-レイオッパエロくなってる!!!


-は?レイじゃないでしょ?


-過去一のビジュ!!


-歌い方変わった?なんか聴いてるだけで涙出る。


-レイ!!!


-わたしたちのレイが進化して帰ってきたぞー!!







「えっっっろ…!!!ただ歌ってるだけなのにえっっっっろ…!!いやぁぁぁあぁ!!!抱いてー!!!!!!」



「ねえ!!優ちゃんまじうるさい!」



とは言いつつも2人ともレイが映るたびに私より興奮して、スクリーンの中のレイに手を振ったりしている。



そんな2人が突然愛しく感じた。



私の変な緊張も吹き飛ばして、


変な不安も奇声で掻き消してくれる。






『ねえ、ほんとあなたたち2人好き!!!!』




「やだぁー!!友梨もまりあ好きぃ〜!」


「あんたやめな!!殺されるよ!!」




私はコメントをそっと閉じた。


私がするのはコメントを追う事じゃなくて、今こうしてステージに立ってるレイを存分に味わうことだと2人が教えてくれたから。




「ちょっと無能カメラマン!!今のところはレイを写しなさいよー!!ほんっとバカねえ!!役立たず!!」



「今の人だれ?!だれなの?!かっこいい!!」




「「ぎゃぁぁぁぁーー!!!!やばぁい!!!」」






そして一台のカメラを指差して手招きするレイ。


カメラはレイに向かって真っ直ぐズームされると


いつもの何か企んだ顔で片方の口角で笑った後、

泣くそぶりをしてこっちを指差して、白目を剥いてやれやれと呆れ顔をした。




「いまのアタシにファンサよー!!」


「いや、違うよ優ちゃん……絶対こいつだよ…。」



メソメソ泣いてる私を2人ともドン引きして見てる。




「あんた…何やってんのよ…。カメラ越しでも泣いてんのバレてんじゃん。」



「泣いてんでしょ→そこのまりあ→ああいつものことか。ってこと!!!??やばい!!!!私も今から泣こうかな」 





ゲラゲラ優ちゃんは笑って友梨は泣いたフリをし始めた。





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