EP2-1
曇天の空に捨てられる
曇天の空が僕の体を包むような。
真っ黒な空が押し寄せてそのまま押しつぶされるような。
虚ろな目で天井を見つめる事しかできない僕が
明日を迎えたとして何をしたらいいんだろう。
根拠のない噂が報道されてから誹謗中傷が止まらない。
毎日SNSの通知音でノイローゼになる。
事務所は最後まで僕から絞りと取ろうと回収作業を始めた。
セミヌード写真集、ファンとのファンクラブ旅行。
もう手段は選ばないとでも言うように。
それに加えて前より減らされた警備。
どこに出向いても気安く触られる身体。
どこから手が伸びてくるかとビクビクして外にも出なくなった。
まるでお前はもう無価値だとでも言うように、すり減らされていく毎日。
メンバーは変わらず僕をフォローしてずっと寄り添ってくれた。
だけど最期の決断をしてしまいそうになる。
それを何度も堪えて、消したくなる自分の身体を守るように、必死に抱きしめて毎晩眠った。
あの日から日を追うごとに体に増えていくタトゥー。
またそれで騒ぎ始める世間。
そんな誹謗中傷の通知でスマホの充電もすぐ無くなった。
リーダーはタトゥーが増えていく僕の体を撫でたあと
「これ以上体を傷つけるな」と怒りで声を震わせながら
涙を流して僕を抱きしめた。
だけど僕は
その時ですら虚ろな目で何もない壁を見つめることしかできなかった。
止められない、
誰もこの状況を変えられない。
僕のヘイトを減らすために他のメンバーもお揃いのタトゥーを入れて、僕の印象を薄くなるようにしたけどそれすらも逆効果で
僕がタトゥー入れる事を強要した、と世間は声高に意見を主張した。
僕の意見は全てかき消されて、
メンバーの言葉すら世間に届かない。
僕のせいでメンバーが余計な心労を追ってる。
まともな活動ができない。
全部全部僕のせいだ。
移動すら危険でメンバーもどこにも行けない。
僕は宿舎に隔離されて、
メンバーが外で仕事してる間1人で過ごした。
ここ最近まともに寝れない。寝たい。
でも寝て起きたあとの苛烈になった世界を見るのが怖い。
睡眠薬を度数の高いアルコールで胃に流し込んだ。
時間を待たずして身体が浮く感覚がする。
この気持ちいい浮遊感のまま、全てが終わらないかなあと勢いよくベッドに倒れると目尻から熱い涙が流れた。
血液でも流れ出てるんじゃないと思うほど熱くて、自分の身体を抱きしめる力もない。
倒れ込んだ時の反動でベッドサイドの棚から一つの段ボールが落ちて、その中身が身体の周りに散らばった。
力の入らない身体でそれを手探りに一つ取る。




