第3話 それぞれの過去
この過去は今後の展開の比較としてお読みいただくと今後が楽しくなると思います。
前回のあらすじは、作戦会議ののち、勇者一行の3名、神の龍、魔王、魔王の娘エルフィーが過去に行き人間社会の破壊と再生を軸としつつ魔族側の脅威も排除して平和な世界を築く。
そして過去へは10年前。この10年が勝負な訳ですが…
魔王との戦のあった、西暦2539年6月11日
そして過去への転送、西暦2539年6月15日
この日を境に勇者たちは過去へ転送された・・・
皆の簡単な生い立ちは
勇者フェイクはフィンマール港で生まれる。誕生日は西暦2521年8月1日
4歳まではフィンマール港で育つが、1月の魚の大量収穫により収入が大量に入り、同年8月アリアムセームという町で手芸と雑貨などで生計を立て生活する。
7歳の誕生日お祝いに北央王国都市ホクレイドール国に観光に行くが、そこで王国騎士団と出会い騎士団へ憧れを抱き、騎士団試験に合格し騎士団員として活動。
12歳の誕生日の日に左手の甲に紋章が現れ、勇者として認識される。この時、勇者カインは帰還しており、その際にあった左手の甲の紋章が消えた。
15歳の誕生日に勇者任命式にて正式な勇者として国から聖剣を承る。
メンバーを集め17歳の誕生日に魔王討伐に出発
10か月後には魔王と対峙する
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フィナの出生は不明。
どのような経緯があったのか不明だが、わずか1歳でホクレイドールの孤児院に預けられる。
その際に備えられていたのは僅かな金貨と名前、誕生日だけである。
名前はフィナ 誕生日は2521年1月15日です。と記されたメモ。
転機は前勇者カインが出発する数週間前、西暦2526年に前聖女メイナが孤児院を訪れた際、フィナの才を見つけ出した前聖女メイナは国王へ頼み、フィナ引き取る為の寄付金を授かり孤児院へ。
フィナ引き取り後はメイナの母へフィナを預けフィナは聖堂にて以後を過ごす。
西暦2538年8月1日に勇者と旅立つ
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魔法使いメルニーはピチアドラゴム領領主、父ダリアン・ドラゴム、母セルフィン。ドラゴムの4女として生を受ける。
誕生日は西暦2521年5月3日
しかし没落貴族である、ダリアン・ドラゴムはイースト・バレン国王の命令に逆らえず、年に数回はホクレイ国領のグルバート・ハイム領地へ出兵を余儀なくされ、領主内は荒れに荒れている。
メルニーは5歳で魔法適正を授かるべくホクレイ・ドールへ入国し、魔法管理団で魔法適性検査を受ける。ここで5属性の適正持ちであると判明し、魔法魔術師協会の入会を希望。
魔法魔術師協会では勉学や実習をこなす毎日。一度は賢者モーゼンと出会うがその一度きりであった。
西暦2538年8月1日に勇者と旅立つ。
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魔王の生い立ち
生前魔王は1000年の間に今の大陸を築き完成と同時に神龍との間に子を授かる。
翌1001年に現魔王誕生、イーストバレン領、ウエストボルドン領を制圧し、現魔王が20歳になるまで維持し続ける。
1021年、現魔王20歳の誕生日にホクレイ・ドールの当時の国王バレッティット・ドール国王に1対1の勝負を挑み、現国境ラインまでを開放条件に勝負を仕掛ける。
両軍見守る中、バレッティット・ドール国王と前魔王の一騎打ちは1日続き、魔王は当初の予定通りわざと隙を作り、バレッティット・ドール国王の攻撃を受け討伐される。
父を失い怒りを持った現魔王は、前魔王の遺志を継ぎ数十年の時を経て再び宣戦布告し戦争へ。
しかし、自分の力が予想以上に強く人間が弱い事を知り、日に日に前線へ赴く回数が減っていった。
そうして500年ほど過ぎた頃、何故、人と争っているのか疑問に思った。
100年が過ぎ、力でねじ伏せても反発を生むことを知った。
200年が過ぎ、人は他民族に対し見下し、利用していることを知った。
100年が過ぎ、魔族と亜人族、エルフ族、フェアリー族と交渉することに成功。残るはドワーフ族、龍族との交渉だ。
更に100年が過ぎ、亜人族とフェアリー族の助けもありドワーフ族との交渉も成功した。エルフ族とドワーフ族の垣根には少し疲れたが、これで残るは人間と龍族のみだ。
龍族の交渉は難儀した。そもそも居場所が分からない。城の中の本からウエストヴォルテの存在を知った。龍族の中でも龍人族は知恵が高く、ウエストヴォルテに身を潜めていることが分かった。交渉に赴こうと思う。
何年も探したがウエストヴォルテが見つからない。上空から見ても一面森しかない。村があるようには思えない。これはもしや結界か・・・城に戻り本を漁った。
ドワーフ交渉から100年、ようやく龍族の長である神の龍にお目通りがかなった。話をすると、神の存在を知る事が出来た。更に私が思うように、神も神の龍も私と同意見だったことに驚きを隠せなかった。
神のお言葉通りに、事を進めた。しかし生まれてくる子は魔族よりの面持ちの子ばかり。これでは恐怖で魔族に嫁ごうとは思ってもらえない。しかし人間とは寿命が短すぎる。子を孕めるのが30歳半ばまでとは。
350年が過ぎた頃、神が一人の女性を連れてきた。普通の女子では魔族の力が勝ってしまうので、人間の聖女というものを連れてきた。
" 神よ、この人間は生きているのか?"
: 生きておる、しかし意識が戻らぬ。だが、人間としての遺伝子は強いはず。子を生せば人間見かけをした魔王の子が生まれるであろう:
神の言葉を信じ20年が過ぎた。子を生すどころか意識が戻らぬまま、ずっと寝ておる。
それから5年後、神が再びやってきた…赤子を連れて。
: すまぬ。前回の反省は成人した女性を連れてくる際、心を閉ざし精神が崩壊してしまっていたようだ。なので、聖女の赤子を連れてきた。ここで世話をし、年頃になったら試してみよ。:
神の言葉通り、子育てをした。
環境に慣れたその赤子は、魔王城を我が家のように遊び学び、すくすくと成長を遂げた。
そしてついに誕生した!
西暦2521年5月25日 妻ギルミーナとの最愛の子、エルフィーと名付けた!
時は満ちた!
西暦2526年10月28日に妻が亡くなった。子育て任せきりにしたせいだろうか。神の龍に相談してみよう。「くしくもその日は前勇者カインの誕生日であり、勇者として芽生えた日である」
西暦2529年10月24日 勇者カインが現れた。が戦意は無く私の話を聞き入れてくれた。
話も終盤に差し掛かり差出人はモーガンという事に。モーガンには魔王城牢屋で数日待機させてその間にカイン、ブルーム、メイナに合言葉とアイテムを渡しホクレイ・ドールに帰還してもらった。
モーガンを牢から出し、神の龍とエルフィーの居る神の聖域へ移動してもらった。モーガン自身は殺して構わないと言ったが、モーガンの残り少ない人生を私の子を孫の代わりとして育んで欲しい。残り少ない余暇を。
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龍の神
世界誕生から神と世界を見守る、守護者として命を受ける。
【 人間同士の争いが始まったぞ】
: 人間という生き物は賢い、が故に哀れな者たちだ:
: 取り合えず隔離しようか、この辺り。人間が増えないうちに:
【 どうやってやりますか?】
: ここから北西に山脈あるじゃろ、そのさらに奥は海に面しておる。山脈より北は全ての大地を破壊して構わぬ。:
【 全部ですか?結構かかりますよ?時間的に。】
: 人が蟻程度の小ささになる程度の高さから見て大陸が見えなければそれ以上は壊さんでよい:
: だがその前に魔王に許可を得て魔王領地南側からやろうかの:
【 何故魔王側からやるのですか?】
: なに、魔王は反抗せぬ。:
【 魔王を信用してるんですね。】
それから900年が過ぎた。
: そろそろ魔王が激おこのようじゃの:
【 人間が人間主本主義のように振舞ってますね。】
: よし、時は来た!全龍に告ぐ。西方、北方、東方の指定した台地を破壊しつくし海に変えよ!:
【 はっ!仰せのままに】
大陸はここから今の形と変化したのだった。
実際は東西南北20km~30km進めば大陸はあるのだが、大陸住人には4~5kmしか見えない。
詰まる所は籠の鳥である。それから1100年は退屈だった。
小さい動物の補充やら、森林の植樹、果実の生る木の調査や植え替え、動植物のパワーバランスの管理等
後は鳥籠計画後の、亜人、エルフ、フェアリー、ドワーフ、の著しいパワーバランスの激変により籠の外への勧誘や住む場所や整地、建物建造等々
これも200年~300年程度で終わってしまい、神との関わりも少なくなっていた。
他の龍族は西海、北海、東海の上空を常に徘徊し、鳥籠から出れないようあたかも自然の力による災害に見せ、この1100年で完全に他大陸が無い。ハルハイフィリアの小さな大地の完成になった。
星の誕生ハルハイフィリアから2000年が過ぎたある日。
神から呼び出された。
【 お呼びでしょうか?】
: うむ、実はな先代魔王は1000年前に力を得るため代替わりしたじゃろ。:
【 はい、私の力で子を授け先代魔王の数倍はお強いかと。ですので、現魔王の心配は不要かと思われますが。】
: いや、心配などはしておらんのじゃ。魔王が何か思い悩んでいるようでな、ちと話を聞いてきて欲しいのじゃ。:
【 思い悩む…ですか。あの強さで何を悩む必要があるのでしょうか。私などが話を聞いたところで役に立てるのは少ないかと。】
: まぁ、そう言うな。もし、お前さんを訪ねて来たらで良い。来た時には話を聞いてやってくれぬか?:
【 では、その時が来れば話を聞きましょう。】
: もし、主の手に余る事や、世界観を変えるような話であればわしに話を持ってまいれ。:
【 手に余る事象は多少あるとは思いますが、世界観を変える…そんな事…】
: だから、もしもじゃよ。わしもちとこさえたい者がある。:
【 こさえたい物?あまり無茶なものは作られないようにしてください。】
この100年後、魔王が迷いの森上空にて訪ねて来た。
" 神の龍様、この度は突然の訪問に対応して頂き、ありがとうございます。"
【 魔王よ久しいな。約1100年ぶりか…随分強うなりおって私を超えそうな勢いだな。】
" いえいえ、私は未熟者で神の龍様に勝つのはおろか、戦う勇気すら。"
【 様は要らぬ。お前は私の子でもあるのだからな。】
" え?私が神の龍様の子供?"
【 あやつ、説明しなかったのか。よい、説明してやる。】
【 先代魔王、お前の父は強かった。が人間に対しての憎悪が強すぎたのじゃ。そこで先代魔王は私に相談してきたのだ。先代魔王は今のこの大陸の90%を魔王軍で支配して、私に言ったのだ。100%にして良いか?と。】
" 確かに父は現状維持だー!子供の頃から一点張りで現状維持と言い続けてました。"
【 私が駄目だと言ったからだ。だから違えなかった。そして条件として私が子を宿し生んでやった。】
" それが私か。"
【 子を産んだ後は王が自ら育てたが、死は自ら望んだ。そしてお主はその後を生きた。均衡を保ってるし、人間以外を保護や協力関係になり、残りは人間だけとなった。】
" その人間なのですが…"
【 どうした?はっきり申してみぃ?】
やはり人間とは分かり合えぬ存在か…私たちに助けを乞うのか。私はそんな考えをしていた。
" 共存は無理なのでしょうか?戦争数を減らし死者を減らしても攻めてくる。亜人やフェアリーエルフやドワーフを協力関係にしたとたんに、講義や攻撃が激化し、奴隷や人身売買の数も増えこちらの話を全く聞こうとしない。"
私は耳を疑った。
共存?だと?いや、それが出来るなら…出来るならそれが一番良い!こやつ…予想以上に化けよった。
【 まさかな。魔王が人間と共存を望むなど予想もしていなかった。神はこれを知っていて…】
" 神の龍様、何を仰っているのか。"
【 いや、私の上には神という存在が居って、私はその神の使いの龍なのだ。】
" 神様?がいて、その神様に神の龍はお使いしていると?"
: そうじゃ、魔王よ。わしが神じゃ。共存が希望なのか?:
" はい神様!人間とどのようにすれば共存が可能でしょうか?"
: まず魔王は龍の力で擬人化は出来るよな?だが、人間ではない。どちらかと言えば魔人じゃ。でも魔人と人間が子を生せば人間の子が産めるやもしれん。見かけが人間なら人間と結婚が出来る。国の王子や勇者等なら人間国魔族領が認められる。やもしれん。:
" わかりました!まずは人と子を生してみます。"
: わしは忙しいでな、あと最悪の準備もしたいので以降は神龍に任せる。:
こうして400年かけて計画がスタートしたのでした。
因みに、魔王は死んだふりをする代わりに、勇者一行のメンバー1人生贄とし、勇者一行に花を持たせ安心感を与えるよう指示したのは闇の龍だったりで…私はこの後はエルフィーの家庭教師しただけなんだよね(てへ
第4章では過去へ戻った勇者達がついに稼働!
と、思いきや実は2章の伏線が開幕全開で始まります。
この3章が役に立つのは…