第94話 自転車
「・・・答えなきゃダメ?」
そりゃそうだよね。さっきの後輩との会話は「私がいるから」次のバイトの時にでも、ってことだろうし。二人だから答えてくれるなんてことはないよね。・・・まぁそれだけ気になっちゃったんだからしょうがない。
「・・・少し意地悪でしたね。いずれ聞かせてもらうということで。」
今はこれくらいで止めておこう。少し困らせるのもいいけどあんまり意地悪して嫌われちゃうのも悲しいからね。
ここで「よし。遊技に戻るか。」といった無言の意思疎通を合図にそれぞれの台に集中する。しばらく経過して時刻は20:00。CZのヒキが弱く少し減らしてるがまだまだプラス。高設定ではない以上、早く切り上げてもいいけど、今日で新しいCZにはほぼ確実に対応できるようにしときたい気持ちもある。今日も22:00くらいまで打つことになるのかな。なんて考えてた矢先。
「ルネさん今日も飯行かない?」
喫煙所から戻ってきたツキヒトさんからのお誘い。待ってました。
「いいですよ。何時ごろ切り上げます?」
前回ラーメンだったからなぁ。今回は何だろうなぁ。
「21:00頃のキリのいいタイミングで上がっちゃおうか。行きたいところある?」
和風パスタの「ごうえもん」が頭に浮かんだ。少し距離があるけどどうだろう。
「ごうえもんとかどうです?ちょっと距離ありますけどおいしいですよ。」
どれどれと言いながらアケうにょに接続してあるプラスで場所を調べている。
「車で20分程度か。全然大丈夫。むしろ自転車の方が大変じゃない?」
「大丈夫ですよ。乗っけてもらえるなら嬉しいですけど。」
ちょっとずるい言い方かな。こう言うとツキヒトさんは、
「もちろん。ぜひ乗っていってよ。」
こう言ってくれるよね。さて、あとは乗ってきた自転車をどうするかな。
「ありがとうございます。さて、私の方はART終了したので少し早いけどここで終わりにします。沖土器打ってる親に声かけてきますんでそのまま打っててください。」
「了解。」
さぁ、まだ帰ってないよね。うん。見つけた。
「ん。調子よさげだね。」
上がり始めたグラフを見ながら父親に声をかける。
「お。そうなんよ。2発目から天国上がって今5連目。」
「やるじゃん。ところでさ、今日わたしの自転車に乗って帰ってもらえない?」
父親は私と身長があまり変わらない。多分問題なく漕げるはず。
「別にいいけど。理由聞いても?」
んー。まだ言いたくないかな。
「あんまり年頃の娘を詮索しちゃダメだよ。大丈夫。心配されるようなことはしてないよ。」
どうだろう。これで通る?
「・・・まぁな。いいよ。今日のところは何も聞かずに自転車で帰るよ。ただし日付が変わる前には帰ってくるように。」
うん。それは大丈夫。ツキヒトさんにそんな危険性はない。
「助かる。そしたら鍵ね。駐輪場の喫煙所側に停めてあるから。」
軽く手をあげ無言で受け取る父親。・・・隣で打ってる後輩君のグラフは下がりっぱなしだけど大丈夫だろうか。すでに2000枚くらい負けてそう。まぁ目的は達成。戻ろうっと。




